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【vol.1】2017年10月からスタートした「IT重説」って何?

2017年11月30日

2017年の10月から、「ITを活用した重要事項説明」(以下、IT重説)が解禁されました。

IT重説とは、Web会議システムやスカイプなどを用いて、ビデオ通話で重説を行なうことです。

オンライン環境さえあれば、どこでも重要事項の説明を受けることができます。

不動産の重要事項説明(以下、重説)と言えば、家を借りるときや買うときに受ける説明のことを言いますが、IT重説は何が違うのでしょうか。また、一見すると賃貸経営をされるオーナー様には関係ないことのようにも思えますが、実際のところはどうなのでしょうか。IT重説の解説も交えながらご説明していきましょう。

IT重説

近年、お部屋の探し方が変化

ここ数年、実際の物件を見学せず、電話やメールのみで不動産会社とやり取りしただけで、住む部屋を決める人が増えています。

株式会社リクルート「住まいカンパニー」が2015年に実施した調査では、内見せずに契約した人の割合は10.2%に上り、過去最高を記録したという結果が出ています。

このように物件を決める段階までは、現地へ行かなくても問題ありません。

しかし、重説を行なうときには必ず不動産会社へ出向き、説明を受けなければなりませんでした。なぜなら、不動産に関する法律知識が不十分な借主や買主に契約内容を理解してもらうため、宅地建物取引業者が重要事項の説明を対面で行なうことが法律で義務付けられていたからです。この法律は、遠方からの転勤者や海外在住者にとって大きな負担でした。

そこで今回の「IT重説」が登場したというわけです。

IT重説の本格導入に先立ち、国土交通省は2015年8月~2017年1月にかけて、「ITを活用した重要事項説明にかかわる社会実験」を実施しました。同実験では登録した303社が、1,071件のIT重説を実施しました。

実際に同実験に参加し、13件のIT重説を行なった株式会社ホワイトホームズ(東京都大田区)の渡辺広美氏は「お店が忙しい時間を避けてIT重説を行なうことができるので、業務の効率化につながりました。また、不動産会社まで行く手間などが省けたとして、実施した13人すべてのお客様から好評でした」と言います。

また、同省が実験開始から半年後に、借主・登録事業者・管理会社・貸主のそれぞれに実施したアンケート結果によると、IT重説が原因となったトラブルはなかったということです。IT重説を受けることを選んだ借主の年齢層は20代が4割を占め、次いで30~50代と続きます。若い人程、新たな取り組みにも柔軟に対応していると言えそうです。

借主や不動産会社にはおおむね好評のようですが、デメリットはないのでしょうか。次の表で、IT重説の主なメリットとデメリットを見ていきましょう。

「IT重説」借主にとっての主なメリット・デメリット

主なメリット
  • 移動が不要であり、交通費が節約できる
  • 仕事や病気などの事情により、店舗に出向くことが困難な場合でも重説が受けられる

写真2

主なデメリット
  • 通信環境と通信機器を揃える必要がある
  • インターネット機器の扱いが苦手だと難しい

写真3

「IT重説」不動産会社にとっての主なメリット・デメリット

主なメリット
  • 予定をあらかじめ組んでおけば、お店の忙しい時間を避け、空き時間に重説を行なえる
  • 遠方や海外の顧客にも対応できる

写真4

主なデメリット
  • IT重説のための社員教育が必要
  • 通信環境と通信機器を揃える必要がある
  • インターネット機器の扱いが苦手だと難しい

写真5

IT重説によるオーナー様への影響は?

では、オーナー様には、どの程度の影響があるのでしょうか。

まず、物件探しから契約まですべてをオンライン上で完結できれば、どこにいても不動産取引が可能になります。その結果、不動産取引が活発化するのは間違いないでしょう。空室となってから入居が開始するまでの期間短縮も期待できそうです。

しかし、内見へ行かない場合、Webサイトや冊子などに掲載された物件写真を参考に部屋を選ぶことになるため、写真写りの良し悪しがそのまま物件のイメージに直結します。

よって、選ばれるためには、お客様に「ここが良い!」と思ってもらえるような写真を撮るのはもちろんのこと、魅力的に映る内装にするなどの工夫が求められるようになるでしょう。

果たしてIT重説は、空室問題などが浮き彫りになり停滞する賃貸住宅業界を、活性化させる起爆剤になるのでしょうか。今後の実施状況に注目が集まります。

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