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【vol.6】「サービス付き高齢者向け住宅」開始から6年経過、その現状とは

2017年11月30日

日本における65歳以上の高齢者人口は3,186万人(総務省統計局「平成27年人口推計」より)を超え、超高齢社会を迎えました。高齢者人口の増加に比例して、支援の必要な高齢者も同じく増加しています。

そのような中で、利用料金が割安な特別養護老人ホーム(以下、特養)などの公的な介護施設への入居待機者数は膨らみ続ける一方で、民間事業者による介護施設や高齢者向け住宅に期待が寄せられています。

厚生労働省が3月に行なった調査結果によると、特養の入居待機者数は約29.5万人に上ったということです。入居待機者は、2000年代に入ってから顕著となり、高齢者向け施設の不足が叫ばれてきました。また、単身高齢者の増加に伴い、見守りや地域の医療・介護サービスとの連携がますます重要になってきました。

そして、高齢者対策の一環として6年前に始まったのが、「サービス付き高齢者向け住宅」(以下、サ高住)の登録制度です。2011年の高齢者住まい法の改正に伴い、「高齢者専用賃貸住宅」、「高齢者円滑入居賃貸住宅」、「高齢者向け優良賃貸住宅」の3つがサ高住として統一されました。
サ高住は、60歳以上の高齢者を対象とした生活相談や安否確認付きのバリアフリー賃貸住宅です。サ高住として登録するには、一定の基準を満たす必要はありますが、登録自体は届け出制です。

サ高住

サ高住を増加させるため、国が支援策を打ち出す

サ高住がスタートして6年が経過した今、現状はどのようになっているのでしょうか。国は、サ高住の登録制度創設と同時に、登録を支援するための後押しを積極的に行ってきました。具体的には、建設や改修費に対する補助金の支給、新築・取得した場合の税制優遇、住宅金融支援機構による融資などです。

加えて、有料老人ホームのように老人福祉法の規制を受けないため、参入しやすいことも手伝い、サ高住の登録件数は2011年の3,448戸を皮切りに、わずか6年で2017年には21万8,195戸(出典:一般社団法人高齢者住宅推進機構「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」)まで急増しました。

一方で、国土交通省が2月に行なった調査では、倒産により廃業した施設数が、2011~15年度の5年間で計125施設に上ったことが明らかとなりました。
入居者様が思うように集まらないなどの理由により、入居開始前に廃業した施設が64施設、入居開始後に廃業した施設は61施設あったということです。廃業は年々増加傾向にあり、2015年度は最多の45施設に上りました。

低所得の場合、資金面がネックになる高齢者も

サ高住は有料老人ホームなどと違い、初期費用が抑えられるので、一度にまとまったお金がなくても入居することが可能です。また、通常の賃貸住宅と異なり、長期入院などを理由に事業者から一方的に解約されることがないため、安定した暮らしが保証されます。

国土交通省の「サービス付き高齢者向け住宅登録情報」によると、サ高住の月額平均利用料金総額(家賃、共益費、基本サービス相当費、食費、光水熱費)は、約14万円になるということです。そこに別途、利用回数に応じて介護サービス費用や生活サービス支援費用などがかかります。基本サービスには、安否確認と生活相談のみが含まれ、介護サービスはオプションとなります。そのため、介護サービスを利用する場合は自分で業者を選び、別途契約することになります。

しかし、同省によると、約97%のサ高住が食事提供や入浴などの生活支援サービスを提供し、約77%に高齢者生活支援施設が併設されていることから、有料老人ホーム並みのサービスを提供する事業所が増えているようです。

初期費用や月額料金からみても、利用しやすいようにも思えます。
しかし、介護保険が適用される特養の月額利用料金6~15万円と比較すると、利用回数に応じて別途介護サービス費用を払わなければならないサ高住は、同サービスを多用する利用者にとっては割高と言えるでしょう。また、月額平均14万円という金額は、生活資金に余裕のない年金暮らし世帯にはやや負担が大きいとも言えます。

空き家を活用したサ高住が登場

近年は空き家が増加し大きな問題となっています。そこで、空き家対策としてサ高住を活用する動きもみられるようになりました。2014年には、都市再生機構(UR都市機構)が、高島平団地(東京都板橋区)の空住戸を活用したサ高住を始めました。

また、国土交通省では空き家の活用を推進すべく、サ高住の登録基準を一部緩めるなどの措置も行なっています。

年金の受け取り額が減額されるなど、高齢者を取り巻く環境は年々厳しさを増しています。空き家などを有効活用することも大切ですが、年金生活者でも無理のない費用で、かつ安心して入居できる高齢者向けの住宅の整備が急務となっています。

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