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【vol.20】賃貸借に関する民法改正

2018年3月19日

民法の一部を改正する法律案が2017年5月26日に参議院本会議にて可決しました。これは、民法の債権関係の一部が改正されるというもの。賃貸借関連の改正も多いので、改正点をしっかり押さえておきましょう。
大きく分けると次の4つのポイントに分別されます。

① 賃貸借契約と個人保証(改正民法465条の2項)

② 賃料の減額等(改正民法611条の1項、607条の2項)

③ 敷金に関する規定の新設(改正民法622条の2項)

④ 原状回復義務(改正民法621条)

① 賃貸借契約と個人保証(改正民法465条の2項)

賃貸借契約

賃貸借契約を結ぶ際、連帯保証人が必要になりますが、改正民法では、この連帯保証人がいくらまで責任を負うか(=限度額)を明記することになりました。
そのため、極度額の定めのない個人保証契約は無効になります。
極度額については、特に基準がありません。極度額の設定は、実務に合わせて決めることが必要になります。

例えば、家賃8万円に対し、極度額1億円と設定した場合、まず、これ自体が民法90条(公序良俗に反して無効)の考え方から無効となります。
それ以前に、1億円を保証するという契約に納得する保証人もいないと考えるでしょう。

② 賃料の減額等(改正民法611条の1項、607条の2項)

改正民法では、設備などの賃借物の一部が故障したときの賃料減額について明記しています。改正前は、賃借物の一部が故障した場合、入居者は、賃料の減額を請求できるとしていました。改正民法611条1項では、入居者の請求がなくても賃料を減額しなくてはなりません。

また、改正民法607条の2を新設し、入居者の修繕権も認められました。
「設備が故障して修理が必要だとオーナー様に伝えた」、「設備が壊れているとオーナー様が知っている」の場合、相当期間、修繕をしなければ、賃料減額が適用されます。

また、真夏にエアコンが壊れてオーナー様と連絡が取れないなど、緊急性のある事情があるときも入居者が修繕可能です。賃料の減額割合や免責日数(相当の期間)は、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が策定した賃料減額ガイドラインが参考になります。

賃料の減額

③ 敷金に関する規定の新設(改正民法622条の2項)

改正民法では、敷金についての考え方も明文化されました。
これまで敷金は、不動産業界の古くからの慣習として、やりとりされており、法律では定められていませんでした。そのため、敷金を返してくれないなどのトラブルが発生していましたが、今回の民法改正により、法律で「敷金」の定義とルールが明確になります。また、地域によって異なっていた名称も「敷金」で統一されます。

④ 原状回復義務(改正民法621条)

改正民法では、原状回復義務についても最高裁判決を明文化した形となります。通常消耗や経年変化、入居者に起因しない傷や汚れなどは、オーナー様負担となり、入居者の故意による傷や汚れに関しては、入居者の負担になります。

また、近年増えている特約についても従来と同様です。
契約を結ぶ際に、あらかじめ入居者様にクリーニング費用を負担してもらう旨を契約書に記載すると共に、その内容を説明し、納得してもらう特約も今までとは変わらず有効です。このような特約は、増え続ける原状回復トラブル防止に効果的と考えられています。

原状回復義務

制定から120年ぶり、初めての改正

日本の民法は、1896年に制定され、1898年に公布されました。
公布から約120年間ほとんど改正されてきませんでした。120年前というと明治時代の真っ只中。現代とは時代が大きく異なり、取引についても様変わりしました。民法の規定を現代社会に対応させるために、今回の改正に至りました。
改正の項目は、細かいものを含めると200程度にものぼります。
3年以内、2020年までには施行される予定ですので、賃貸経営をされるオーナー様はしっかりと確認しておきましょう。

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