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【vol.23】生産緑地法の一部改正で、生産緑地の要件や生産緑地内の施設の制限が緩和

2018年4月5日

都市の良好な景観や環境、潤いのある豊かな街づくりの上で欠かせない公園や緑地など、オープンスペースの確保を推進するため、「都市緑地法」等の一部改正が2017年6月に施行されました。

この法改正に伴い、生産緑地法の一部も改正されています。主な改正内容は、以下の通りです。

・要件面積を500平方メートルから300平方メートルへ引き下げ

・生産緑地地区内で、直売所や農家レストラン等の設置が可能に

・生産緑地解除のための買取り申出の延期制度を新設

最初に、生産緑地とはどういった土地を指すのかをお話しておくと、生産緑地とは「都市における良好な生活環境の保全や、都市災害の防止、土地の確保を目的として、市街化区域内の農地を対象に指定する地区」のことを指します。

生産緑地地区

生産緑地の指定を受けると営農義務が発生しますが、固定資産税の免税措置が図られるなどのメリットを受けることができます。

今回行なわれた一部改正では、生産緑地地区の一律500平方メートルの面積要件を、自治体が条例で引き下げることができるようになるほか、市街化区域内で直売所や農家レストラン等の設置も可能になりました。

また、生産緑地解除のための買取りの申出を延期させることができる制度も新設されました。
改正により、減少傾向にある都市部の農地確保に向けて、一歩前進した格好となります。

一部緩和に至った背景

都市部に農地が増えることに対し、国は防災としての役割をはじめ、自然との触れ合いやコミュニティ作りの基盤といった多くの機能を期待しています。

しかし、農地は必ずしも収益に繋がるとは言えません。アパートや賃貸マンションなどを建てたほうがより大きな収益を期待できる可能性があります。
そのため、昨今は農地を転用し、宅地として利用するケースが増えてきました。そこで国は、生産緑地法を一部緩和してより多くの方が固定資産税や相続税の優遇を受けやすくし、通常の農地を生産緑地として増やそうと考えました。

生産緑地法

生産緑地の面積要件の緩和

改正前までは、生産緑地に指定するための面積要件は500平方メートル以上あることと定められていました。

改正案では、この面積要件を緩和し、市区町村が条例により300平方メートルを下限として引き下げることが可能になります(改正生産緑地法第3条第2項)。

東京23区内でこの条件に当てはめてみると、全体の7~8割の農地に適用されることになります。

生産緑地地区内に施設が設置可能に

改正により、地元の農産物等を使った商品の製造・加工・販売や、地元の農産物を用いたレストランのための施設を設置することができるようになりました。
これまで生産・集荷・貯蔵・保管・処理・休憩に用いる施設のみであったことを考えると、面積要件の緩和と同様、こちらも大きな改正点といえます。

今までは生産緑地地区内で、収益を得ることは難しい状況でしたが、収益化しやすくすることで、生産緑地の維持に繋げるのが狙いのようです。

施設の敷地は宅地扱いとなるため、税制の面で不利益がありそうですが、土地活用の幅が広まったことで、生産緑地を維持する際の有力な選択肢になりえるでしょう。

野菜直売

生産緑地解除のための買取り申出の延期制度

今回の改正から、市区町村が買取りの申出ができる時期を10年間先送りにするという制度が盛り込まれました。これは、生産緑地指定から30年経過した農地について、農地として保全することが都市環境のために有効であるものを市区町村が「特定生産緑地」として指定し、買取りの申出をすることができる時期を10年間先送りにすることができる制度です。
(再延長することも可能)

つまり、指定から30年が経過した生産緑地について、今までは行為制限解除されていた生産緑地が、10年ごとに更新できることになります。

これにより、30年経過後の買取りの申出を減少させ、農地保護機能を強化することを目的としています。所有者にとっては、買取りの申出までの期間が延長されることで、固定資産税の減額の効果も延長されます。

今後の生産緑地法について

今回の改正では、生産緑地の対象を広げる方向で行なわれています。
制限の多さに不満を募らせていた方々にとっては、少なからずそれを解消する結果となることでしょう。

今後も改正がなされる可能性がありますが、現在の法制・税制への理解を進めると同時に今後の議論の動向についても注意を払う必要がありそうです。

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