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【vol.24】大学生に厳しい現実「生活費1日790円」

2018年4月11日

大学生

仕送り額が過去最低を更新し続ける背景とは

首都圏を中心とした私立大に2016年度、入学した下宿生への月額の仕送り(平均)が、16年連続減少の8万5,700円となりました。
1986年度の集計開始以降、過去最低を更新したのをご存じでしょうか。

東京地区私立大学教職員組合連合(東京私大教連)が毎年実施している調査をもとに発表された内容によると、仕送り平均額から家賃平均額を引いた下宿大学生の生活費は1日当たり790円となり、ついに800円を下回る結果となりました。

同調査では、昨年5~7月に東京、神奈川など6都県16大学の新入生の保護者約4,800人から回答を得ています。あくまで首都圏の私立大学新入生を対象にした調査であり、学費の安い国公立大学の学生は対象外となっていること、保護者(父母)の家計負担状況についても調査していることが特徴です。

1日に使える金額が790円という状況で、食費、通信費、交通費、等をまかなうことは困難だということは想像にたやすいのですが、なぜ私立大学の学生はこれほど困難な状況におかれているのでしょう?
今回は、同調査をもとに、その背景をさぐってみることにします。

仕送り額が減額し続ける理由

首都圏で下宿をしている私立大学生をもつ保護者の家計負担はどのような状況になっているのでしょうか。

「受験から入学までにかかる費用」は213万円。その内訳をみると大学への初年度納付金が130万円程度と最も大きく、次いで生活用品の購入費用31万円、受験費用に24万円、敷金礼金に20万円、家賃に6万円程度となっています。

これらに仕送り額(4~12月)を含めると、入学の年間にかかる費用は293万円となり、この支出はなんと保護者の税込年収の3分の1を占め、家計の大きな負担になっていることがわかります。

仕送り

また、同調査によると、こうした負担を軽減するため全体の18%が「借り入れをした」と回答し、「借入額」の全体平均は1825,000円でした。住居別では、自宅外通学者(下宿生)の「借入額」は211万9,000円、自宅通学者は159万7,000円となっています。

負担の軽減策としての奨学金の利用に関しても、日本学生支援機構(旧日本育英会)などの奨学金を「希望する」と回答したのは全体の56.8%、希望者のうち奨学金を「申請した」のは62%でした。

住居別では、自宅外通学者が「希望する」「申請した」ともに、自宅通学者より高いこと、年収が低いほど「申請した」が高くなる傾向にありました。また、奨学金を希望したが申請しなかった理由のうち、「返済義務がある」との回答が33.5%で過去最高となっており、卒業後の返済に関しても不安が高まっていることがわかります。

大学生を支えるため国や社会にできることは?

昼間は授業、夜や休日はアルバイトと休む間もなく、多忙な日々をすごす現在の大学生。学費が払えず退学する学生も増えているといいます。彼らの負担を減らすために何ができるのでしょうか。

そのひとつとして、私立大学の授業料を減額するため、国から補助をするということが考えられます。同調査でも、「直接助成制度(※)」が「必要あり」とした回答は全体で89.0%となっており、新入生家庭の約9割がこの制度を待ち望んでいるといえます。
(※授業料を対象に直接家庭に国が補助する制度。国は2010年度から公立高校を無償化し、私立高校生への就学支援金を創設したが、大学についてこの制度はない。)

現在、国から給付型奨学金を創設するという話もある一方で、同連合では「評価はするが、人数や金額が少ない」と指摘しており、より一層の給付対象者の拡大や、助成金の増額を訴えています。

アルバイト

最後に、下宿生の場合には、学費だけでなく下宿の家賃負担も支出の相当な割合を占めているという事実も見逃せません。同調査によると、仕送り平均額8万5,700円に占める「家賃(6万2,000円)」の割合は72.3%となっており、過去最高を更新しています。入居時の負担を減らすため、家具家電付きの部屋や敷金礼金なしの物件、学生割引など、大学生の負担を考慮したサービスを提供する動きがあります。これらも今後の社会や経済を支えていく大学生の負担を軽減するために重要な施策といえるでしょう。

出典元:東京地区私立大学教職員組合連合「2016年度 私立大学新入生の家計負担調査」

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