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【vol.25】禁煙マンションで加熱式タバコを吸ったらどうなるの?

2018年4月20日

2020年に開催される東京五輪・パラリンピックに向けて、受動喫煙対策が強化されるのをご存知でしょうか。愛煙家は文字通り、煙たがられるご時世ですが、賃貸業界でも新たに禁煙マンションが登場し始めています。

加熱式タバコ

禁煙マンションとは、建物の内部はもちろん、敷地内での喫煙を完全に禁止にしたアパート・賃貸マンションをいいます。

隣人によるタバコの煙や匂いに悩まされてきた方にとっては、すぐにでも禁煙マンションに住みたいのではないでしょうか。

また、賃貸経営をされるオーナー様にとっても、壁(クロス)の劣化リスクを抑えられる点と、吸い殻の不始末や消し忘れによる火災やボヤの不安から解放されるのは大きなメリットといえるでしょう。

では、禁煙マンションで、毒性のある副流煙やタバコ独特の匂いがほとんど発生しない加熱式タバコは吸うことができるのでしょうか。

加熱式タバコは、灰が出ずに、煙も少なくて環境にも優しいことから、昨今では公共での禁煙化が進む中、喫茶店やビルの中でも加熱式タバコなら喫煙可能というテナントも増えてきています。

そもそも加熱式タバコって何?

加熱式タバコは、ペースト状に加工したタバコの葉を加熱することによって、蒸気を発生させて吸入するという新しいスタイルのタバコです。

通常のタバコと同様に、ニコチンは摂取できますが、紙を燃やすときに発生するタールはほとんど発生しません。そのため、ヤニによる匂いや汚れの付着を防ぐことができます。

また、従来のタバコの煙に含まれる有害物質が、9割以上も軽減できる点が加熱式タバコの人気の秘密です。某販売元によると、2015年9月に発売され、翌2016年4月には販売台数が100万台を超えたとのことです。

加熱式タバコは従来のタバコと区別されるのか?

弁護士法人日本橋さくら法律事務所の上野晃代表弁護士に、禁煙マンションで加熱式タバコを吸うことは可能かどうか、聞いてみました。

まず、前提として、加熱式タバコ自体が新しいもののため、過去の判例がないということ。そのため、あくまでも私見という形で、賃貸借契約関係に基づき、以下の2点が考えられると教えてくれました。

【 1. 契約解除について 】

例えば、ヤニ汚れや匂い、有害物質などが従来のタバコに比べてほとんど出ないことから、自室のベランダで加熱式タバコを吸っていた入居者がいたとします。

その方に他の入居者が注意した際、その入居者が加熱式タバコを吸うのをすぐにやめれば問題ないのですが、何度注意してもやめなかったり、友達などを呼んで毎日のように吸っていた場合などは、契約を解除することはできると考えられます。

【 2. 損害賠償請求について 】

オーナー様が請求できる損害賠償は、原状回復費用にあたります。

但し、加熱式タバコが出す煙にタールなどが検出されず、ヤニによる黄ばみなどが出なければ、通常の原状回復費用と同じものになります。

しかし、禁煙マンションが通常の喫煙可能のアパート・賃貸マンションより、綺麗な状態が保たれるという実証が得られるのならば、多少入居者の原状回復費用の負担が増える可能性もあると思われます。

禁煙マーク

対入居者(隣人)について

対隣人の入居者については、不法行為、迷惑行為としての賠償請求が考えられます。従来のタバコが持つニコチンやタールなどの被害が加熱式タバコでは出ないと立証されれば、従来のタバコと加熱式タバコの損害賠償は同じではないでしょう。

但し、加熱式タバコ独自の問題が新たに出てきて、それに対する迷惑を他の入居者が被る場合は、別の賠償責任が発生する可能性があります。

以上が、上野弁護士の見解になります。
禁煙マンションで加熱式タバコを吸うことは、これらのリスクや賠償責任を考える必要がありそうです。

しかし、この問題は加熱式タバコが一体どのようなものなのか、非喫煙者にどのような悪影響を及ぼすのかを正確に把握するまでは、結論を出すのは難しいといえます。

加熱式タバコを吸う人

また、受動喫煙防止対策の1つとして起案されている、原則建物内全面禁煙についての法案ですが、厚生労働省が加熱式タバコもその規制対象にするかどうかの判断にも関わってきます。

今後は、加熱式タバコが従来のタバコと同様に扱われるのか、それとも全く別のものとして区別されるのか、その答えによるところが大きいでしょう。

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