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【vol.27】一読で概要がわかる!改正建築物省エネ法とは?

2018年5月10日

2017年4月、国土交通省によって「省エネ法」に変わって、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(以下、建築物省エネ法)」が施行されました。

この法律は、建築物のエネルギー消費性能の向上を図ることを目的に制定されました。そのため、住宅以外の一定規模以上の建築物に対するエネルギー消費性能基準への適合義務や、エネルギー消費性能向上計画の認定制度の創設等、省エネを推進するためのルールが数多く盛り込まれています。

しかし、建物の大きさや使用目的によって、その内容や果たすべき義務がそれぞれ異なるため注意が必要です。そこで、今回のテーマでは、「建築物省エネ法」の全体像をわかりやすく解説していきます。

「建築物省エネ法」の概要を確認すると、その趣旨は、規制措置(義務)誘導措置(任意)の2つで構成されていることがわかります。

省エネ

① 規制措置について

規制措置」については、従来の「省エネ法」から一部が変更された形をとっており、変更の対象となるのは、「2,000㎡以上の大規模な非住宅建築物」と「2,000㎡以上の大規模な住宅建築物、300㎡以上2,000㎡未満の中規模建築物」になります。

1)
2,000㎡以上の大規模な非住宅建築物

まず、最も厳しい条件の「2,000㎡以上の大規模な非住宅建築物」を新築・増改築する場合、従来の「省エネ法」では「届出義務」を採用していましたが、改正後ではその建物が「建築物省エネ法」に適合しているかどうか適合性の判定を受ける必要があるという「適合義務」が課せられることになりました。

例えば、大きなオフィスビル、商業ビル等を建てる場合にはまさにこの基準をクリアし「適合判定通知書」を受け取らない限り、建築に着工することも、建物を使用することも不可能になったというわけです。

また、適合と判定された後にも、指定機関等による確認審査や完了検査などが組み込まれているため、所定の手続きに沿って建築物を完成させる必要があります。

省エネ基準適合義務・適合性判定
2)
2,000㎡以上の大規模な住宅建築物、300㎡以上2,000㎡未満の中規模建築物

2,000㎡以上の大規模な住宅建築物、300㎡以上2,000㎡未満の中規模建築物」については従来通り「届出義務」という規制内容ですが、その詳細は従来まで「著しく不十分な場合」に指示や命令、勧告があるとされていたのに対して、「基準に適合せず、必要と認める場合、所管行政庁は計画の変更、指示、命令などができる」等、以前よりは厳しい規制内容となりました。

なお、「300㎡未満の小規模建築物」を対象に、ハウスメーカーや工務店など建築戸建住宅を販売する事業主に対して、一次エネルギー消費量を抑えた家づくりを推進してきた「トップランナー制度」は、引き続き実施されています。

省エネ法と新法の比較概要(新築に係る措置)

② 誘導措置(行政庁認定表示・容積率特例)について

次に、「誘導措置」ですが、この対象は、既存のもの、新築、改修等も含めた全ての建物とされています。

これらの建築物の所有者は、所管行政庁から「この建築物が省エネ基準に適合している」と認定を受けると、「省エネ基準適合認定マーク(eマーク)」というマークを、建築物や広告などに表示できるようになりました。

あわせて、「容積率特例」と呼ばれる仕組みでは、省エネ性能の向上に資する全ての建築物の新築、または増築、改築、修繕、模様替え、若しくは建築物への空気調和設備等の設置・改修を対象とし、その計画が一定の誘導基準に適合している場合、その計画の認定を建設地の所管行政庁により受けることができます。

その性能向上計画認定を取得すると、容積率特例[省エネ性能向上のための設備について、通常の建築物の床面積を超える部分は床面積として不算入(延べ床面積の10%を上限)]などのメリットを受けることができ、その認定基準にはエネルギー消費性能基準を超える基準(誘導基準)に適合していること」「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する基本的な方針(基本方針)に照らして適切なものであること」「資金計画が適切なものであること」等があります。

このように、「建築物省エネ法」は建築物のエネルギー消費性能をあらゆる側面から向上・推進させるための仕組みです。

これらは守るべきルールでもありますが、省エネ性能が高い建築物や住宅は独立行政法人 住宅金融支援機構が提供するサービスなどでも有利な支援が受けられるほか、今後、住宅の資産価値の判断にも影響があると見られており、「建築」に関わる上で「省エネ」を意識することがより重要になってきたといえるでしょう。

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