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【vol.36】「ホタル族」による受動喫煙防止の動き。被害者の会が発足

2018年9月5日

夜間にベランダで吸うタバコの火が、まるで蛍の光のように見えることから、1989年頃より新語として広がった「ホタル族」。

そんなホタル族が今、絶滅の危機を迎えているのはご存知でしょうか。

ホタル族とは、一般的にアパートやマンションのベランダでタバコを吸う行為のことを指します。

当時は、今まで家の中で喫煙していた父親が、ベランダに追いやられるようになった様を見て、父親としての権威が失墜した結果の象徴的な社会現象として表現されていました。

また、家族への健康の配慮という観点で、ベランダでタバコを吸う行為は正当化されていた時代もありました。

ベランダで喫煙

しかし、近年、受動喫煙による健康への影響がTVやSNSなどのニュースで取りざたされるにつれ、ベランダでタバコを吸っていたホタル族への風当たりも強くなっています。

実際にそれが原因で悩まれている近隣住民の声も世間を騒がすようになりました。

そこで、ベランダからの受動喫煙被害に悩まされている方々に向けて、2017年4月、アパートやマンションの隣人への煙や匂いといった受動喫煙被害の問題に取り組む、「近隣住宅受動喫煙 被害者の会(以下、被害者の会)」が発足し、ホームページが公開されました。

声をあげることで被害の存在を明らかにする

タバコを吸う人に抗議

被害者の会ホームページによると、「近隣住宅での受動喫煙は、れっきとした公害であり、社会はそれを許していてはいけない。」という強い主張が記載されており、被害者の会結成の理由とされています。

実際に、隣人との関係を気にするあまり、ベランダから自宅に流れてくるタバコの煙に苦しみながらも、我慢を強いられている人がいます。

それが原因で、身体、精神両面で病気になってしまう人もいるそうです。

しかし、ほとんどの方々は、それでも声をあげることができず、黙って苦しみ続けているのかもしれません。

被害者の会は、そうした人々を救うため、まずはみんなで声をあげ、被害の実態を明らかにすることを目的としています。

ホタル族による被害は、以下のような流れから発生することが考えられています。

家族の受動喫煙や室内の汚染を避けるため、ベランダで喫煙する。
ベランダを通して近隣住民の室内にタバコの煙が入り、受動喫煙被害を与える。
洗濯物にタバコの匂いがつく。他にも、タバコの灰が下階のベランダや干している洗濯物、地上の通行人に落下してしまう。
吸い殻の後始末が不十分だった場合は、火災の原因にもなりうる。

こうした被害を防ぐために、アパートやマンションなどでは、ベランダなどの共有部分での禁煙を規約に明記したりするなど、ホタル族を認めないケースが増えていると言います。

ベランダ喫煙によるトラブルが増加

被害者の会は、ベランダでの喫煙問題に苦しんでいる方や、受動喫煙の被害に遭っている方を中心に会員を募り、日本弁護士連合会(日弁会)に人権救済の申し立てを行なっていくとのことです。

さらに、厚生労働省や国土交通省、自治体などに対して、「ベランダ喫煙禁止条例」「ベランダ喫煙禁止法」を制定するよう申し入れたそうです。

ホタル族によるトラブルは全国で多発しています。

国民生活センターによると、名古屋市にあるマンションで、下の階に住む男性がベランダでタバコを吸っていたところ、その煙が上の階の自室にまで流れ込み、女性が体調を崩したとする事案が発生。

名古屋地裁は、階下の男性に対して慰謝料5万円を命じました。

また、総務省消防庁によると、タバコが原因の火災事故のうち、ベランダが出火元になっている割合は2005年に4.6%だったものが、2014年には11.5%に増えたと報告されています。こうした問題に対して、国がどのように動くのかが今後の焦点になりそうです。

タバコによる火災

被害者の会の誕生により、喫煙者と非喫煙者との争いは、ますます加速することでしょう。

インターネット上では、「喫煙者はどこでタバコを吸えばよいのか」「吸う場所がなくなった」と不満の声も聞こえてきます。タバコは国の重要な収入源のため、どちらも納得のいく答えを導き出すことが、受動喫煙のない世界に繋がっていくのかもしれません。

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