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【vol.40】少子高齢化時代に注目を集める多世代共生型のサ高住

2018年10月10日

単身世帯の増加と同時に、共働き世代も増え、待機児童問題が深刻化しています。一方、2・3世代世帯が減り、高齢世帯の孤立化やお互い近くに頼れる人がいないという事態を生んでいます。これらの状況を解消するため、多世代が交流できる環境づくりが今、注目されています。

3世代世帯

官民が一体となりプロジェクト始動

神奈川県横浜市では、高齢者住宅の整備計画「よこはま多世代・地域交流型住宅」の整備が2011年よりスタートしています。

このプロジェクトは、高齢者が他の世代と交流しながら安心して日常生活を営むことができる良好な居住環境を備えた賃貸住宅の整備を促すために発足したもので、要件を満たすことで補助金が交付されます。

ある民間企業は2015年、横浜市鶴見区に一般の賃貸住宅と「サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)」を同一建物内に建設。さらに戸塚区でも、2016年にサ高住を隣接した分譲マンションをオープンしました。

要介護の方でも参加可能な健康体操やお花見など、季節ごとのイベントが開催され、入居者と地域の人々が交流しやすい環境がつくられています。

また、マンション居住者が親世帯をサ高住に呼び寄せる近居支援や見守りサービスなども提供されています。

高齢者

2014年には東京都でも、高齢者が様々な世代や世帯とふれあいながら暮らすことができる住宅モデル整備事業「一般住宅を併設したサービス付き高齢者向け住宅整備事業」をスタートしました。

2017年には、世田谷区で保育園併設のサ高住が竣工されるなど、その動きは着々と広まっています。

同プロジェクトは、都内で深刻化する待機児童問題の解消と多世代交流の推進を目指し、認可保育所、看護サービス付きで短期の宿泊などができる看護小規模多機能型居宅介護事業所を併設しています。

入居者だけでなく、地域に住む子育て世帯、高齢者なども利用できるようになっています。

高齢者の半数以上が現在の住居に住み続けることを希望

2015年度に東京福祉保健局が行なった「高齢者の生活実態」では、65歳以上の高齢者に住まい(介護不要の場合)について、「現在の住宅に住み続けたい」人の割合が72.0%、単身世帯では60.8%にも上ったことがわかりました。

さらに、介護が必要になったときの高齢期の住まいについても、「現在の住宅に住み続けたい」人の割合が49.5%、単身世帯では38.2%となりました。

一方、「介護保険で入所できる施設(特別養護老人ホームなど)に入所したい」人の割合は13.1%、単身世帯では17.3%に留まったことから、施設ではなく住まいを希望する人が多いことが明らかになりました。

そのニーズに応えられるのがサ高住です。サ高住は、安否確認・生活相談サービスがセットになったバリアフリーの高齢者向け賃貸住宅。老人ホームのように外出制限などもなく、通常の賃貸住宅とほぼ同じ環境で暮らすことができます。

介護や医療サービスについては、外部のサービス事業者の中から入居者自身で選択します。サ高住のメリットはなんといっても入居のしやすさにあります。老人ホームなどと異なり、初期費用を低額に抑えられます。

介護

デメリットとしては、重度の介護が必要になると退去しなければならない場合があることや、スタッフが常駐していないため、常時介護を受けられるわけではないという点です。

求められる時代に合った環境づくり

高齢者人口は3,461万人(2016年総務省統計局)を突破し、総人口に占める割合も27.3%とおよそ3割に迫る勢いです。同時に、平均寿命は女性が87.14歳、男性が80.98歳と、こちらも過去最高を更新したことが厚生労働省の統計で明らかとなりました。

2025年には、約800万人もの団塊世代(1947~49年生まれ)が、75歳(後期高齢者)を迎えます。さらに、2017年において1,500万人いる後期高齢者人口は、約2,200万人まで膨れ、全人口の4人に1人は後期高齢者と言う超高齢化社会に突入する見込みです。

一方で、2016年に生まれた子どもの数(出生数)は97万6,979人と、1899年の統計開始以来初めて100万人を割り込みました。

1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率も、1.44と前年を0.01ポイント下回り、典型的な「少子高齢化の時代」となっています。

このような時代だからこそ、子どもから高齢者まで幅広い世代が交流できる環境づくりが必要とされているのかもしれません。

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