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【vol.44】空き地・空き家の増加で進む「都市のスポンジ化」 その現状と今後の対策とは?

2018年10月25日

国土交通省(以下、国交省)は、2017年「都市計画基本問題小委員会」において、都市の内部で発生している都市のスポンジ化への対応に関し、中間とりまとめを発表しました。

ここで注目されている「都市のスポンジ化」とは、都市の内部において、空き地、空き家等の長期間に亘って利用されていない土地が、小さな敷地単位で、時間的・空間的にランダムに相当程度の分量で発生する現象を指す言葉です。

人口減少に伴い、都市全体の人口密度や土地利用密度が低下していることと相まって、「都市のスポンジ化」は今後、様々な問題に繋がると指摘されています。具体的には、以下の問題が挙げられています。

  • ① 「都市の低密度化」による生活利便性の低下
  • ② 行政サービス・インフラの維持管理、既往の投資の非効率化
  • ③ 「空き地・空き家等の大量発生」による治安・景観・居住環境の悪化
  • ④ 災害危険性の増大
  • ⑤ 「中心部における土地の低未利用」による都市全体の機会損失
  • ⑥ 郊外への需要流出

こういった「都市のスポンジ化」は日本特有の現象といわれています。

高度経済成長期に都市部に流入した若者が結婚し、マイホームを求めて郊外に散らばったあと、その家がしっかりと相続されず放置されたままになることで、空き家や空き地は現在も発生し続けています。

団塊世代が持ち家の相続期を迎える2033年には3軒に1つが空き家になるとの予測もあるほどです。

また、日本では開発時点での規制はありますが、都市計画制度の限界もあり、開発後にどう使うかは事実上、個人の自由という状態で、このままでは「都市のスポンジ化」は避けられないとなり、国交省が対策に乗り出したのです。

空き地イメージ

具体的にどのような対策が計画されているのでしょうか

まず国交省では、平成30年度の税制改正要望において、「都市のスポンジ化」対策のための特例措置の創設を求めています。

具体的には、低未利用土地を活用するため、地方公共団体ではなく地権者が全員の合意によって「施設の整備・管理を自ら行なう」新たな協定制度「地域利便確保協定(仮称)」を創設し、その協定に基づいて整備・管理を行なう公共施設では、その運営にかかわる「固定資産税・都市計画税の課税標準を2分の1に軽減する」としています。

また、市町村がその地域内に散在する長期間に亘って利用されていない土地について、関係する地権者等の合意を得ながら計画を策定しつつ、必要な利用権の制定等を促進するための「低未利用土地利用権設定等促進計画(仮称)」も創設されました。

この制度では、計画に基づく土地・建物の取得について「登録免許税の税率を軽減するとともに、不動産取得税の課税標準の5分の1控除を求める」としています。これらの減税措置は未利用の土地について、その利用を活性化させるための取り組みといえます。

土地に関わる様々な立場を考えて対策を練ることが重要

近年の人口減少や都市の空洞化を見越した「都市の再編」の事例としては、街の中心に機能を集約するコンパクトシティーを掲げる自治体も増えているようです。「生活を続けてほしい地域」と「そうでない地域」を色分けし、街の開発規模を縮めて人口減少に備えようとする「立地適正化計画」の策定については、多くの自治体が既に作成をはじめ、計画を完成させた自治体もあるといいます。

しかし、こういった計画は、立地適正化計画の策定が採択条件である補助金の維持継続を目的とするケースもあり、必ずしも都市計画と行動が伴うとは限らないという現状もあります。

コンパクトタウン

一方で、「都市のスポンジ化」の対策のひとつであるコンパクトシティー政策は、すぐに実現することは難しいとの声もあがっています。

政策を実現するには、計画だけではなく人の気持ちをつかむ必要があり、更に公園や施設などを設置するとなると、コストがかかるということが理由として挙げられます。

そこでまずは、行政が不動産業者やNPO、若者を繋ぐ架け橋の役割を担うなどして、取り組みを進める必要があります。

このような理由もあり、空き家や空き地をどのように活用するかは、「都市のスポンジ化」にとって、とても大きな問題ですが、今後も議論は続いていくことになりそうです。

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