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columnNo.12~ 2020年民法改正 ~ 
アパート経営をされるオーナー様が知っておきたいポイント ≪その2≫

2017年5月に、民法(債権関係)を改正する法律が成立しました。1896年(明治29年)に制定された民法。その財産関係の規定が、約120年のときを経て、今回初めて改正されます。
今回の改正内容のうち、アパート・賃貸マンションのアパート経営をされるオーナー様が知っておきたいポイントは、次の4点です。

  • ① 敷金(保証金)
  • ② 原状回復義務
  • ③ 包括的な根保証の禁止対象を拡大(※)
  • ④ 主債務者が期限の利益を喪失した場合の情報提供の義務化

今回は、③ 包括的な根保証の禁止対象を拡大、及び④ 主債務者が期限の利益を喪失した場合の情報提供の義務化について解説します。

根保証とは一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約のことを言います。つまり、債務者の連帯保証人は、債務者が支払っていない賃料以外にもその利息や違約金、損害賠償等も保証しなければなりません。

③ 包括的な根保証の禁止対象が拡大

賃貸借契約書
  • 【 改正民法465条の2 】(個人根保証契約の保証人の責任等)
  • 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。
  • 2 個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。
  • ~以下省略~
  • ポイント1
    賃貸取引においても根保証には極度額の定めが必要になりました。定めをしておかないと保証契約は無効になります
  • ポイント2
    他方で、保証期間については定めをおく必要はありません。(改正民法465条の3)

根保証をするということは保証人が大きなリスクを背負うことになりますので、今まで貸し金の世界では①極度額(保証の最大限度額)の定めが必要とされ、②保証期間も原則3年(最長5年)と制限されていました。

賃貸借契約の根保証についても、借家が失火により焼け落ち、その責任が借主にあるとするとその巨額の損害が保証人に請求されるというケースもあります。つまり、賃貸借取引の根保証についても想定外の多額の保証債務や、想定してなかった主たる債務者の相続人の保証債務の履行を求められることがありました。

そこで、今回、民法改正により貸し金と同様に極度額の設定をすることになりました。

④ 主債務者が期限の利益を喪失した場合の情報提供の義務化

支払い命令を受けた人
  • 【 改正民法458条の3 】
    (主たる債務者が期限の利益を喪失した場合における情報の提供義務)
  • 主たる債務者が期限の利益を有する場合において、その利益を喪失したときは、債権者は、保証人に対し、その利益の喪失を知ったときから二箇月以内に、その旨を通知しなければならない。
  • 2 前項の期間内に同項の通知をしなかったときは、債権者は、保証人に対し、主たる債務者が期限の利益を喪失した時から同項の通知を現にするまでに生じた遅延損害金(期限の利益を喪失しなかったとしても生ずべきものを除く)に係る保証債務の履行を請求することができない。
  • 3 前二項の規定は、保証人が法人である場合には、適用しない。

保証人が個人である保証全般について、主たる債務者(借主など)が支払いを遅延し、期限の利益を喪失したことを、保証人が知っていれば、遅延損害金が大きく膨らむ前に立て替え払いをできるのですが、一般的に保証人は、主たる債務者の支払いの遅延、期限の利益の喪失と言う事情を知りえません。

そのため、今回の改正で、債権者(家主など)は、借主が期限の利益を喪失したときは保証人に対して2ヵ月以内にそのことを通知しなければならないものとされました。もし通知しなかったら、遅延損害金については保証債務の履行を請求できないこととされました。

≪ 保証人による履行のモニタリング制度 ≫

今回の改正で、債権者(家主など)は、保証人から請求があったときは、主債務の元本・利息、及び違約金について①履行の有無、②債務残高などに関する情報を提供しなければならないものとされました。家主が借主の同意なく家賃支払い状況を保証人に情報提供できると言うことです。個人による保証制度に関しては、このように大幅に改正されます。アパート経営をされるオーナー様として契約書の書式を整備するなどして、対応することが必要です。

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