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columnNo.13遺言作成のすすめ ~ アパート経営をされているオーナー様のもしものときに備える~

遺言書

アパート経営をされているオーナー様が、元気で健康なうちは、自らの財産をご自分で管理することができますが、将来その財産をご自分で管理できなくなることが起こるリスクもあります。
財産の管理ができなくなってしまう要因は、大きく以下の2つが考えられます。

① 病気や事故で死亡した場合

② 認知症等で判断能力が低下した場合

今回は、① 病気や事故で死亡した場合への対策として、遺言書の作成を解説します。

遺言がないとどうなるか?(法定相続とは)

アパート・賃貸マンションのオーナー様がお亡くなりになった場合、相続が開始します(民法882条)が、遺言がないと、故人の財産(債権・債務)は法定相続人に法定相続分で承継されることになります。

≪ 法定相続人と法定相続分 ≫

相続人 配偶者
(直系卑属)
父母
(直系尊属)
兄弟姉妹
配偶者のみ 1/1
配偶者+子 1/2 1/2
配偶者+直系尊属 2/3 1/3
配偶者+兄弟姉妹 3/4 1/4
子のみ 1/1

遺言がなく、法定相続人の中でも特定の人が特定の財産を取得したい場合は、相続人全員での「遺産分割協議(※)」が必要となります。

※遺産分割協議とは、相続人全員で、『誰が』『何を』『どれだけ』 相続するのかを、決定することをいいます。

遺言がないとどうなるか?
(スムーズに賃貸物件を承継できない可能性も…)

遺産分割協議は、相続人全員が納得いく内容でないと成立しません。
たとえば次のような場合、賃貸物件を相続する内容の遺産分割協議が整うことが困難になるリスクがあります。

①遺産の大半が賃貸物件で、預貯金が少ない

→賃貸物件を取得する人以外の相続人が他の遺産から法定相続分を確保できないと、遺産分割協議が整わない可能性があります。

②疎遠・多数の相続人がいる/子供同士の関係が良くない

→遺産分割協議をする(相続の話をする)こと自体が難しい場合があります。

③相続人に認知症等の人がいる

→奥様、お子様など相続人に認知症等、意思能力に問題がある方がいらっしゃる場合は、その方について後見制度を利用して遺産分割協議をしなければなりません。その方の法定相続分は確保する前提で後見人との遺産分割協議になり、賃貸物件をスムーズに承継できない可能性や、時間・費用を費やして大きなストレスとなる可能性があります。

遺言があれば…

エンディングノート

アパート経営をされているオーナー様が遺言を作成しておくことで、以下のようなメリットが考えられます。 遺言により、遺言者(オーナー様)が、相続分・相続内容を指定することができ、賃貸物件を後継者に取得させることができます。

①相続人(ご家族)が話し合う必要がないので、不要な争いを避けられます。

②遺言により、全ての財産について分け方を決めておけば、遺産分割協議をする必要がないので、相続人に認知症の方がいても相続の際に障害になりません。遺産分割協議のために後見人を選任する必要がなく、預金の解約等も迅速に進められます。
(但し、認知症の方を守るため後見人を立てることは可能です。)

【注意事項】

遺言を作成しても、遺留分の問題は残ります。
遺留分とは、相続財産の一定割合を一定の範囲の相続人に留保するという制度です。遺言があっても、相続人は遺留分の範囲内で自身の権利を主張することができます。
遺留分は法定相続分の2分の1となります。
具体的には、相続人が奥様とお子様2名(計3名)の場合、お子様の一人あたりの遺留分は、「1/2(法定相続分)×1/2(2名)×1/2=1/8」となります。但し、兄弟姉妹が相続人の場合、当該兄弟姉妹には遺留分はありません。

遺言の種類

遺言書の種類

では、遺言にはどういった種類があるのでしょうか。
種類として主なものは、「 自筆証書遺言」と「公正証書遺言」になります。

有効な遺言であれば、「自筆証書遺言」でも問題はありませんが、アパート経営をされているオーナー様が後継者に賃貸物件を遺したい、または複数の賃貸物件をそれぞれ別の相続人に承継させたいなど、内容が単純なものでない場合等は、スムーズに財産を承継させるためにも、「公正証書遺言」による作成をおすすめします。

「遺言=相続税対策」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、相続税に関係なく、スムーズな資産承継のために、遺言作成をおすすめいたします。

自筆証言遺言

遺言者が、遺言書の全文、日付および氏名を自分で書き、自分で印を押して作成する遺言。

公正証書遺言

遺言者が、公証人に遺言の趣旨を伝え、これを公証人が公正証書として作成する遺言。





  • ・一人で、いつでもどこでも作成できる
  • ・遺言をした事実も内容も秘密にできる
  • ・費用がかからない
  • ・公証人が作成するから、内容が明確で証拠力が高く安全。紛争の恐れが少ない
  • ・公証人が遺言書の原本を保管するため、偽造・変造・滅失・隠匿・未発見の恐れがない
  • ・字を書けない者でもできる
  • ・家庭裁判所の検認手続が不要





  • ・詐欺・強迫の可能性、紛失・偽造・変造・隠匿の恐れがある
  • ・方式が不備で無効になったり、内容が不完全で紛争になる可能性がある
  • ・執行の際、家庭裁判所の検認手続が必要
  • ・公証人が関与するため、作成手続きが煩雑(自筆証書遺言と比べて)
  • ・遺言の存在と内容を秘密にしておくことができない
  • ・作成のための公証人の手数料等の費用がかかる
  • ・証人2人以上の立会いが必要

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