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columnNo.14民法(債権関係)改正【2020年施行予定】
消滅時効の整備

今回は民法(債権関係)改正の第三弾として、消滅時効について解説いたします。
消滅時効とは一定期間権利を行使しないと、権利が消滅して請求ができなくなる制度です。 アパート経営をされているオーナー様としても、家賃債権(滞納家賃を請求する権利)などの債権について変更があるのか、ご興味あるところかと思います。
消滅時効の期間についても改正がありますので、この機会にご確認ください。

職業別に異なる短期の消滅時効を廃止

現行の民法では、原則として請求できるときから10年で債権は消滅(167条)します。
あわせて、飲み屋のツケ代は1年、工事の請負代金は3年など、業種によって異なる短期の消滅時効(170条から174条)が定められており、また商法522条では商事債権(商行為によって生じた債権)は5年と規定されています(ただし、他の法令に5年間より短い定めがあるときは、その定めるところによります)。しかし、「区別する合理的な理由に欠ける」、「どれに該当するのか複雑で判断しずらい」といった声があがっていました。

職業別に異なる短期の消滅時効を廃止

そこで、職業別の短期消滅時効(第170条~第174条)は廃止され、新法166条に統一されました。
新法166条では原則として権利を行使することができると知ったときから5年、または権利を行使することができるときから10年間行使しないときのいずれか早いときの経過によって消滅すると統一されました。

また商事債権の消滅時効(5年)についても廃止されます。
本改正により、時効の期間が統一され、管理がしやすくなると思われます。アパート経営をされているオーナー様にとって一番関心の高いと思われるのは家賃債権ですが、 家賃債権の消滅時効は、結論から述べると現行と変わりありません。

家賃債権は、現行法では定期給付債権(169条)に該当し、請求できる時から5年で消滅時効にかかりましたが、改正後は債権の一般原則が適用されますので、権利を行使することができると知ったときから5年、または権利を行使することができるようになってから10年で権利が消滅します。

請求権が行使できることを 請求権を行使できることを知ってから5年
請求権を行使できることを知ってから10年
請求権を行使できることを3年目で知ってから3年+5年=8年

生命・身体の侵害による特則

現行民法では不法行為に基づく損害賠償請求権は、損害および加害者を知ったときから3年、または不法行為のときから20年で時効によって消滅します。(724条) 
この内容は改正後も変更ありませんが、生命・身体の侵害による場合には特則が設けられました。(724条の2)

原則(新法724条)
※変更なし
生命・身体の侵害による場合の特則
(新法724条の2)
損害および加害者を知ったときから3年 損害および加害者を知ったときから5年
不法行為による被害が発生したときから20年 不法行為による被害が発生したときから20年

また、この特則は、債務不履行に基づく損害賠償請求を行う場合にも適用されます。債務不履行に基づく損害賠償請求権は、現行民法では、権利を行使できるときから10年で消滅時効(166条)にかかりますが、改正後は以下のとおり特則(167条)が設けられました。

原則(新法166条) 生命・身体の侵害による場合の特則
(新法167条)
権利を行使することができると
知ったときから5年
権利を行使することができると
知ったときから5年
権利を行使することができる時から10年 権利を行使することができる時から20年

中断・停止に代わる新しい制度

また、従来分かりにくかった制度の1つに、時効の「中断」、時効の「停止」がありました。時効の中断とは中断事由が発生するとそれまでに経過した時効期間がリセットされ、改めてゼロから時効が進行します。

時効の「停止」とは、停止理由が発生すると一定期間時効の完成が猶予され、猶予期間が終わった時点から、改めて進行を再開します。(経過した時効期間のリセットはありません)

現行民法の「中断」の概念に代わる制度が「更新」、「停止」に代わる制度が「完成猶予」です。また、現行民法にはなかった新たな制度として、協議による時効完成の猶予の制度が創設されました(151条)。

この制度の創設により、当事者間で合意できる場合には、時効完成を阻止するために訴訟を提起する必要はなくなると思われます。

時効の「更新」 時効期間がリセットされる
時効の「完成猶予」 時効期間の進行が一旦停止

新しい消滅時効が適用される債権

この改正後の消滅時効の適用は、民法改正が施行された後に発生する債権に適用され、民法改正前に発生した債権には原則適用されませんのでご注意ください。

消滅時効

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