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columnNo.15法定後見と任意後見 ~ もし、アパート経営をされているオーナー様の判断能力が衰えてしまったら ~

アパート経営をされているオーナー様が、元気で健康なうちは、財産をご自分で管理することができますが、高齢化が進むと財産をご自分で管理できなくなるリスクもあります。
財産の管理ができなくなってしまう要因は、大きく以下の2つが考えられます。

① 病気や事故で死亡した場合

② 認知症等で判断能力が低下した場合

今回は、② 認知症等で判断能力が低下した場合への対策について、解説します。

※「① 病気や事故で死亡した場合」については、「No.13:遺言のすすめ
 ~アパート経営をされているオーナー様のもしものときに備える~
」をご覧下さい。

もしも判断力が衰えてしまったら

判断能力が低下した場合にどのような制度があるのか?

判断能力が低下した方を保護するため、日本には以下の2つの制度があります。

[1]法定後見制度(本人の判断能力が不十分になった場合に、家族などの申し立てにより法的な方法で財産管理を行なう制度)

[2]任意後見制度(本人の判断能力がしっかりしているうちに、ご自分で財産管理の方法を決定できる制度)

このような、判断能力が低下された方を保護する制度をまとめて「成年後見制度」といいます。

「成年後見制度」とは、「精神上の障がい等が理由で判断能力が不十分な人が経済的な不利益を受けることのないよう、支援してくれる人をつけることにより本人を保護する制度」をいいます。

ここでいう精神上の障がいとは、「病気(認知症など)や事故などにより判断能力が不十分となった状態のこと」をいいます。

「成年後見制度」を利用するためには、法定の要件があり、また、公的機関が関与することにより、ご本人様の財産の保護を図っています。また、それぞれの制度にメリット、デメリットがあります。

まず、[1]法定後見制度から内容をみていきます。

[1]法定後見制度(民法上の後見)

【 法定後見制度の内容 】

1)現に判断能力が不十分であることが必要

2)家庭裁判所への申立、審判により効力発生 (程度に応じて「後見」「保佐」「補助」の3類型)

3)支援してくれる人(成年後見人等)は家庭裁判所が選ぶ

4)支援の内容は法定されている

5)成年後見人等を家庭裁判所が監督することにより本人保護を図る

【 法定後見制度への公的機関の関与 】

・法務局

→ 成年後見人等の権限などが登記されることにより、成年後見人等の地位の公的証明を行なう

・家庭裁判所

→ 成年後見人等に対し、定期的に事務内容を請求し、本人の財産の推移を監視する

【 法定後見制度のメリット 】

1)成年後見人等に「取消権」がある
成年被後見人等の判断能力減退を利用され、不要な契約を締結した場合、取消しできる

2)すでに判断能力が減退してしまった場合に対処できる

【 法定後見制度のデメリット 】

1)成年後見人等を本人が選べない(家庭裁判所が選ぶ)

2)成年後見人等の権限が法定されている

→ 原則、不動産に関しては管理のみ。処分や改良は不可

[2]任意後見制度
(任意後見契約に関する法律に基づく後見)

【 任意後見制度の内容 】

1)将来判断能力が不十分となったときの備え

2)本人と本人が選んだ任意後見受任者が公正証書により任意後見契約を結ぶ

3)家庭裁判所へ任意後見監督人選任を請求し、選任された時から効力発生

4)支援してくれる人は2)で本人が選ぶ

5)支援の内容は2)で本人が決められる

6)任意後見監督人を家庭裁判所が選任することにより本人保護を図る

【 任意後見制度への公的機関の関与 】

・公証役場

→ 任意後見契約書は、公証人が公正証書を作成し、原本を公証役場にて保管する

・法務局

→ 任意後見契約書の内容は登記され、任意後見人の地位の公的証明ができる

・家庭裁判所

→ 任意後見監督人を通じて任意後見人を監督する

【 任意後見制度のメリット 】

1)本人の意思で信頼できる人を任意後見人に選べる

2)判断能力が低下した際の、将来の備えとなり、今を安心して暮らすことができる

3)任意後見契約で本人の希望する事項を定めておくことで、判断能力が減退後も希望の生活が送れる

→ 不動産の管理のみでなく任意後見監督人に相談をしながら処分、改良もできる

【 任意後見制度のデメリット 】

1)任意後見人に「取消権」がない

2)任意後見契約の解除も公正証書でしなければならない

判断能力のある「今」選択できる制度で、
将来の安心を

[1]法定後見制度は、成年後見人等の権限で、原則、不動産の管理しかできないため、現在アパート・賃貸マンション経営をされているオーナー様にとって、とても大きなデメリットになると思われます

一方、[2]任意後見制度では、判断能力のはっきりしているうちに、ご自分の将来のありたい設計図を描くことができ、また、その設計図を実現してもらえる任意後見人をご自分で選ぶことができるため、アパート経営をされているオーナー様にとっても大きなメリットがあるといえます。

ご自身の資産・将来設計を考え、任意後見制度を利用し、将来への不安を少しでも無くしてみてはいかがでしょうか。

任意後見制度

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