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columnNo.18賃借人の相続人がいない場合、どうしたらいいのか? ~相続人不存在の場合の賃貸人から相続財産管理人選任申立について~

現在の日本は、過去に例を見ない少子高齢化社会となっています。これに伴い、一人暮らしの高齢者の方も増えています。一人暮らしの高齢者の方に部屋を貸している不動産オーナー様にとっては、高齢者の方が部屋を借りている間にお亡くなりになったら、部屋の賃貸借契約はどうなるのか、ご心配されている方もいらっしゃると思います。
今回は、賃借人が亡くなった場合、その後の賃貸借契約はどうなるのかについてご説明します。

賃借人が亡くなった場合、今後の賃貸借契約はどうなるのか?

賃借人が亡くなっても賃貸借契約は終了せず、家を借りる権利は賃借人の相続人に相続されます

賃借人が亡くなった後も、その物件に住む予定の相続人がいれば、相続人間の遺産分割協議により、その相続人が賃借権を相続することになります。

相続人全員が住む予定がなければ、相続人から解約の申し入れをして賃貸借契約を終了させます。

家を借りる権利は賃借人の相続人に相続

相続人がいない場合とは?

次に、賃借人に相続人がいない場合、賃貸借契約はどうなるのでしょうか?

民法では以下の通り相続人が定められています(民法887条、889条、890条)。相続人がいない場合として考えられるのが、下記の相続人が1人もいない場合です。

常に相続人となる者 配偶者
第1順位
第2順位
(第1順位の者がいない場合)
直系尊属
第3順位
(第1、第2順位の者がいない場合)
兄弟姉妹

配偶者、子供、直系尊属、兄弟姉妹が存命の場合でも、相続人がいない場合に該当することがあります。それは、これらの相続人が「相続放棄」をしている場合です。

相続放棄をした相続人は、初めから相続人ではなかったことになるため、「相続人がいない」場合に該当します。亡くなった人の持っていたプラスの財産よりマイナスの財産(借金)の方が多い場合に、配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹の全員が相続放棄をし、相続人がいないというケースが多いようです。

相続人がいない場合、どんな不都合があるのか?

賃借人が亡くなった場合でも賃貸借契約は終了しませんが、賃借人が借りている物件はどうなるのでしょうか?相続人がいないことから、賃借権を相続する人もいないため、賃貸借契約を解約できる人もいないということになります。

賃借人に相続人がいない場合は・・・

  • ・賃借人が亡くなり相続人がいないけど、賃貸借契約はずっと続いてしまうのか?
  • ・部屋の中に家具など賃借人の遺品が残っているけど、どうしたらいいのだろう?
  • ・敷金は誰に返したらいいのか?
  • ・滞納している家賃や、これから発生する家賃はどうやって回収したらいいのか?
  • 等々、不動産オーナー様が困ったことになります。

このような場合でも不動産オーナー様が何もできない訳ではありません。
亡くなった人に相続人がいない場合、亡くなった人の財産の管理をする人を選任する制度が民法で定められています(民法951条)。

賃借人に相続人がいない場合

相続財産管理人ってなに?

相続人がいない場合の亡くなった人の財産を管理する人を「相続財産管理人」と言います。

亡くなった人に相続人がいない場合、亡くなった人の利害関係人や検察官が家庭裁判所に選任を請求することにより、「相続財産管理人」が選任されます。
弁護士や司法書士といった専門職から選ばれることが多いです。
亡くなった人の預貯金、家具、賃借権も相続財産管理人が管理をすることになります。

相続財産管理人が亡くなった人の財産を管理するため、賃貸借契約を継続する必要性がないと判断すれば、賃貸借契約を解除することができ、部屋の中の家具等も整理してもらうことができます。

敷金の支払いや滞納分の家賃、亡くなってから契約解除までの家賃等の回収の問題についても相続財産管理人とやり取りをすることで解決します。

相続財産管理人はどうやって選任するの?

相続財産管理人の選任は、家庭裁判所に請求をする必要があります。

ただし、相続財産管理人の選任の請求をできる人は、以下の通りです(民法952条)。

(1)利害関係人

(2)検察官

不動産オーナー様は、賃料債権という債権を持っている債権者なので、利害関係人として家庭裁判所に相続財産管理人の選任を請求することができます

相続財産管理人が亡くなった人の財産を管理することについて、報酬や費用が発生しますが、その報酬や費用を確保するためにあらかじめ予納金を支払うように家庭裁判所から言われる可能性があります。

なお、予納金は、亡くなった方の財産が多い場合は返還される場合があります。

相続財産管理人の選任

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