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columnNo.20民法改正 2020年4月施行 / 賃貸借契約 ~賃貸物件の譲渡・賃借権の存続期間~

2017年5月に、民法(債権関係)を改正する法律が成立しました。
1896年(明治29年)に制定された民法のうち財産関係の規定が、120年の月日を経て、今回初めて改正されます。

今回は、アパート経営をされるオーナー様に知っておいて頂きたい、以下2点の改正について解説致します。

① 賃貸物件の譲渡に関すること

② 賃貸借の存続期間のこと

これらは、これまで民法に規定はなく、判例により実務的に取り扱われてきましたが、今回の改正に伴い、判例に従う形で民法に規定されました。

改正

賃貸物件の譲渡により賃貸人の地位も移転

賃貸物件を譲渡(売却や購入)する場合における賃貸人の地位の移転について、ご説明します。

民法のなかで一般的な規定として、改正民法539条の2で契約上の地位の移転は相手方がその譲渡を承諾したときに移転すると規定されています。

これを適用すると、賃借人の承諾がないと賃貸人の地位は移転しないということになりますが、不動産の賃貸借契約の譲渡については、改正民法605条の2において一般的な規定とは異なる定めを設けています。

賃貸物件を売却すると、売主(元所有者)から買主(新所有者)へ所有権が移転すると同時に、賃貸人の地位も買主へ移転することとなります。
このとき、賃借人の承諾等は必要ありません。

なお、賃貸人としての地位とは、賃料を受け取る権利や、賃借人に不動産を使用収益させる義務など、賃貸人としての権利義務のことを言います。

ただし、買主が賃借人に賃料を請求するには、賃貸物件について所有権移転登記(売買の登記)をしなければなりません(改正民法605条 第3項)。

賃借人は「だれに賃料を支払ってよいか」を不動産の登記事項証明書(いわゆる謄本)の所有者欄で確認すればよいということになります。

賃貸人の地位が移転

また、賃貸物件の売却時には、敷金などの賃借人に返還すべき債務も移転することが明記され(改正民法605条の2 第4項)、敷金についても定義づけられました(改正民法622条の2)。

実務上は、その金額について、契約のなかで売主から買主に支払ったり、売買価格から減額するなどの取り決めがされているかと思います。

賃貸人の地位を移転させずに売却する際の手続きは簡素化

原則は、上記の通りですが、多数の賃借人がいる場合などは、賃貸物件の譲渡の際に、賃貸人の地位を移転させない方が都合がよい場合もあり、この点について、今回の民法改正により、手続きが簡略化されることになりました。

例えば、賃貸マンション1棟10室をお持ちの不動産オーナー様が賃貸人の地位を移転させずに売却しようとした場合、従来では、賃借人全員10名)から賃貸人の地位を移転させないことの承諾書をもらう必要がありました。

しかし、改正民法では、賃貸物件の売主・買主で「賃貸人の地位を買主に移転させない」ことを合意することができることとなり、多数の賃借人の承諾を得る手続きが不要となりました(改正民法605条の2 第2項)。

賃貸人の地位が移転しない
  • 【 改正民法605条の2 】
  • 前条、借地借家法(平成三年法律第九十号)第十条又は第三十一条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。
  • 2 前項の規定にかかわらず、不動産の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は、譲受人に移転しない。この場合において、譲渡人と譲受人又はその承継人との間の賃貸借が終了したときは、譲渡人に留保されていた賃貸人たる地位は、譲受人又はその承継人に移転する。
  • 3 第一項又は前項後段の規定による賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない。
  • 4 第一項又は第二項後段の規定により賃貸人たる地位が譲受人又はその承継人に移転したときは、第六百八条の規定による費用の償還に係る債務及び第六百二十二条の二第一項の規定による同項に規定する敷金の返還に係る債務は、譲受人又はその承継人が承継する。

賃借権の存続期間の上限が大幅に増加

賃借権の存続期間について、上限が、従来は20年と定められておりましたが、改正民法604条では、上限が50年に改正されました。

建物所有目的の賃借権や建物賃貸借については、別途借地借家法で規定されているので、民法の賃貸借が適用されるものは、資材置き場や、太陽光パネルを設置するための土地の賃貸借などが該当します。

従来は20年の期間で契約し、20年後に再契約をする必要がありましたが、今後は最長で50年の期間を定めることができるようになります。

  • 【 改正民法604条 】
  • 賃貸借の存続期間は、五十年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、五十年とする。
  • 2 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から五十年を超えることができない。
太陽パネル

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