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columnNo.22農地を転用する場合に気をつけたい法律上の注意点

不動産オーナーの皆様の中には、先祖伝来の土地を所有されている方も多くいらっしゃると思います。

中には、農業を営んでいた先代から引き継いだ農地を、今後農地以外の形で活用していきたいとお考えの不動産オーナー様も多いと思います。

農地を収益不動産へ転用する

そこで、今回は、相続などで取得した農地を収益不動産として活用する場合の注意点についてお話しさせていただきます。

なお、農地の取り扱いについては、各地域の農業委員会により異なることが多々ありますので、本稿では、一般的な注意点をお話しさせていただきますので、予めご了承ください。

農地転用するためには「許可」、または「届出」が必要

農地を農地以外の宅地や雑種地に転用するためには、原則として農地法第4条に基づく「許可」、または「届出」が必要となります。

「許可」が必要か、「届出」でよいかの区別は、農地法に定めがありますが、多くの場合、その農地が都市計画区域の市街化調整区域にあるか、市街化区域もしくは都市計画外の区域にあるかによります(農地法第4条第1項第7号)。

市街化区域では、事前に農業委員会へ農地を転用する旨の「届出」を行なうことで農地を転用できますが、市街化調整区域では、都道府県知事、または農林水産大臣の「許可」が必要となります。

「許可」が必要な場合、転用には厳格な要件を満たすことが必要となり、自由な転用は難しいと考えられます。

そのため、農地の転用をお考えの場合、まず、その農地が市街化区域にあるのかどうかの調査が必要です。市街化区域かどうかは、市町村の都市計画課などで閲覧できる都市計画図で調べることができます。市町村によっては、都市計画図をホームページで閲覧することもできます。

転用後の固定資産税

農地を転用すると、固定資産税の課税地目が「農地(田、畑)」から「宅地」等に変更されるため、固定資産税の基礎となる評価額が変わります。この課税地目は、市町村の各種調査により、その土地の現況を確認して決定されます。

固定資産税の評価は、固定資産税が課税される年の1月1日現在の現況を基準として行なわれます。そのため、農地を転用するタイミングによって、固定資産税の課税額が変わってきます。

前年の12月に農地を転用した場合

前年の12月に農地を農地以外の土地に転用した場合、課税地目が「農地以外」の土地として評価、課税されます。つまり、収益を生み出す前の不動産に、収益不動産と同等の固定資産税が課税されることになります。

前年の12月に農地を転用した場合

当年の2月に農地を転用した場合

前年12月を過ぎて翌年2月に農地以外に転用した場合、その年の1月1日現在では農地であったため、課税地目が「農地」の土地として評価、課税されます。

当年の2月に農地を転用した場合

農地を宅地に転用する場合、その土地の上に収益不動産を建築されることも多いと思われますが、転用のタイミングによっては、収益を生み出す前の不動産に、収益不動産と同等の固定資産税が課税されることになりますので、注意が必要です。

転用後の登記事項証明書上の地目

農地の転用後、課税上の地目は、市町村の調査により変更されますが、一方で登記事項証明書(登記簿)上の地目は、自動的には変更されません。

しかし、登記地目が農地のままだと、農地から転用した土地を売却する場合に、買主に所有権移転登記をすることができません(農地法第3条第1項)。なぜなら、土地売買の効力が発生したかを審査する法務局は、登記事項証明書上の登記地目のみをもって審査し、その土地が農地のままであると判断するからです。

この場合、改めて農地法の「許可」、または「届出」によって転用の手続きを行なう必要があります。

今後、農地法の「許可」、または「届出」によって農地を転用する場合には、転用の際に合わせて登記地目を変更しておくことで、将来の土地売却をスムーズに行なうことができます。

なお、この登記地目変更登記を業として行えるのは、土地家屋調査士です。

農地を活用する場合の法律上の注意点のまとめ

以上を踏まえまして、農地活用に関する法律上の観点からの注意点を、以下の4点にまとめました。

(1) 農地の所在する都市計画区域を確認する。
(2) (1)を確認し、「届出」でよいか「許可」が必要かを確認する。
「許可」が必要な場合、転用が可能かを確認する。
(3) 収益物件の建築時期から逆算し、農地転用時期を決定する。
(4) 将来の売却を見越して、登記事項証明書上の地目を変更する。

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