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columnNo.16不動産賃貸業の法人化のメリット・デメリットを徹底解説

不動産を所有している方は、固定資産税、相続税、所得税等の税金に悩まれている方が多いと思います。特にアパート経営においては、所得税対策は大変重要な課題です。今回は不動産賃貸業の法人化による節税対策のメリット・デメリットを解説したいと思います。

法人化

不動産賃貸業の法人化をすると節税対策になるのはなぜ?

不動産賃貸業の法人化が節税対策になる理由は、個人と法人の「税率の差」です。

個人の場合、所得税・住民税・事業税の税率の合計は、15~60%までとなっています。これに対し法人に対する法人税等の実効税率は約30%(中小企業で所得金額800万円以下の場合は23.4%)。個人経営で税率が30%以上の方は、法人化のメリットが期待できます。

≪ 所得税・法人税(実効税率)
の税率表 ≫

(平成30年1月現在)

個人所得 所得税率 控除額 法人所得 法人税率
195万円以下 5% ~400万円以下 21.52%
195万円超~
330万円以下
10% 97,500円
330万円超~
695万円以下
20% 427,500円 ~400万円以下 21.52%
400万円超~
800万円以下
23.20%
695万円超~
900万円以下
23% 636,000円 400万円超~
800万円以下
23.20%
800万円超 33.59%
900万円超~
1,800万円以下
33% 1,536,000円 800万円超 33.59%
1,800万円超~
4,000万円以下
40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

※個人住民税は一律10%となります

※個人事業税は一律5%(不動産所得290万円を超えた部分)となります

※法人住民税(均等割り)は一律7%となります。

※法人は資本金1億円を超えていない中小法人として計算しています。

≪ 個人と法人の所得による
納税額の推移 ≫

(平成30年1月現在)

個人と法人の所得による納税額の推移

個人: 所得税、住民税、個人事業税
 / 法人: 法人税等の実効税率

不動産賃貸業における法人化の形態

不動産賃貸業における法人化の形態は、以下の3つに分けることができます。

この内、節税対策の効果が最も高い「① 不動産所有法人」をお勧めします。
個人所有の賃貸建物を法人へ売買等で移転することで、個人から法人へ不動産収入の移転ができます。

① 不動産所有法人

不動産の所有権を持つ法人です。法人が所有する収益不動産からの利益は法人の所得となり、下図では、法人の所有する賃貸物件の収入から、個人の所有する土地へ地代を支払っています。

不動産所有法人

② 一括借上賃貸法人

下図は、個人が所有する賃貸物件を、「一括借上賃貸法人」が賃借し、それを入居者へと又貸しをしている様子です。入居者と個人の間に法人を挟むことで、収益を分散しています。

一括借上賃貸法人

③ 不動産管理法人

不動産の管理業務を請負う法人です。基本的には入居仲介を請負う業者が管理業務も請負います。所有物件を自主管理したい方向けの法人形態です。

不動産管理法人

法人化のメリット

法人を活用することによるメリットは主に次の3つとなります。

① 所得税・住民税・事業税の軽減

個人の所得を、法人化した会社を通じて法人や家族に分散することで、税率を引下げ、所得税・住民税・事業税の節税を図ることができる。

② 相続財産の増加防止

個人の所得を①のように分散することで、相続財産の増加を防ぎ、将来の相続税負担を軽減できる。

③ 納税資金対策

分散した個人の所得を家族が法人から給与として受取ることで、相続税の納税資金を準備することができる。

納税資金対策

法人化のデメリット

① 会社設立費用がかかる

会社設立費用がかかる

② 法人に不動産を売買等で移転すると登記費用や
不動産取得税がかかる

・登録免許税
固定資産税評価額 × 2.0%(土地は1.5%)
・不動産取得税
固定資産税評価額(宅地は × 1/2)× 3.0%(住宅以外は4.0%)

※消費税の納税義務者は、建物売却に伴い、消費税の納税が発生します。

③ 法人の場合には赤字であっても最低限の税負担が生じる

(法人住民税均等割: 市民税5万円・県民税2万円)

④ 税理士費用(顧問料等)がかかる

以上のことを加味すると、単純な税率比較だけではなく、新たな費用負担も含めて法人化の判断をする必要があることが分かります。そのため、法人化のメリットが確実に出てくるのは、課税所得が900万円を超え、所得税・住民税の税率の合計が43%を超える方と考えます。

法人化を考えられている方は、メリット・デメリットを充分に理解し、税理士等の専門家に相談されることをお勧めします。

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