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土地活用にかかわる法務を解説!アパート経営 法務相談室 荻野司法書士
  • 2018年1月12日

column
No.11
~ 2020年民法改正 ~
アパート経営をされるオーナー様が知っておきたいポイント ≪その1≫

2017年5月に、民法(債権関係)を改正する法律が成立しました。1896年(明治29年)に制定された民法。その財産関係の規定が、約120年のときを経て、今回初めて改正されます。
今回の改正内容のうち、アパート経営をされるオーナー様が知っておきたいポイントは、次の4点です。

  • 敷金(保証金)
  • 原状回復義務
  • 包括的な根保証の禁止対象を拡大
  • 主債務者が期限の利益を喪失した場合の情報提供の義務化

今回は、① 敷金(保証金)、及び② 原状回復義務について解説します。

① 敷金(保証金)

不動産賃貸借取引において通常に授受されてきた「敷金(保証金)」ですが、現在の民法には明文化された規定はありませんでした。そのため、長年、その性質を巡って裁判で争われてきたという経緯があります。
“すでに市民生活に根付いているこの「敷金(保証金)」を、法制度として確立しよう”というのが、今回の改正の趣旨です。

  • 【 改正民法622条の2 】
  • 賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭を言う。以下この条において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。
  • 一 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。
  • 二 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。
  • 2 賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない。
  • ポイント1:「敷金(保証金)」が定義されました。賃料、債務、その他賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保するための金銭は、名目にかかわらず「敷金」とされます。
  • ポイント2:「敷金(保証金)」の返還時期と返還範囲が明示されました。賃貸が終了し、かつ賃貸物件の返還を受けたときに、賃借人の「損害賠償金、原状回復費用、未払い賃料等」を控除して返還すればいいというものです。

② 原状回復義務

現在の民法では、賃貸借の終了時に発生する「賃貸物件の原状回復義務」の範囲が明文化されていませんでした。この問題に関する紛争が多いことから、今回民法に明文化されることになりました。

  • 【改正民法621条案】
  • (賃借人の原状回復義務)
  • 第六百二十一条
  • 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
  • ポイント1:賃貸人は、「通常損耗」や「経年変化」については、賃借人に対して賃貸物件の原状回復請求をすることができないとされました。
「通常損耗」・「経年変化」の例 「通常損耗」・「経年劣化」に
あたらない損耗(特別損耗)の例
・家具の設置跡
・家電の電気ヤケ
・災害破損したガラス
・タバコのヤニ・臭い
・ペットによる傷・臭い
・日常の不適正な手入れや用途違反による損傷

(原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)平成23年8月 国土交通省住宅局より)

  • ポイント2: この規定は「任意規定」と考えられるので、当事者間で原状回復の範囲等を特別に合意しておくことも可能です。新しい民法の条文もやはり抽象的ですので、トラブル防止のため、原状回復が必要な範囲を契約書に明記しておくことが望ましいでしょう。

さて、これらの改正内容は過去の判例を踏襲しているため、アパート経営をされるオーナー様にとってあまり目新しい感じはしないかもしれません。しかし、民法という基本的な法律の改正を契機に、過去の契約書を見直すことはとても有意義です。曖昧になっていた部分などは、今回の法改正に合わせて改訂できるようにしたいものです。

次回は、③包括的な根保証の禁止対象を拡大、④主債務者が期限の利益を喪失した場合の情報提供の義務化について解説します。お楽しみに!

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