東建コーポレーション

土地活用にかかわる法務を解説!アパート経営 法務相談室 荻野司法書士
  • 2018年6月8日

column
No.17
共有不動産の賃貸借について その①

今回は、「共有不動産」の賃貸借についてのお話です。

「共有不動産」とは、たとえば「1つの土地の持ち主が3人居る」というような不動産です。

お一人で不動産を所有されている場合とは異なり、「共有不動産」には独特の制約が定められており、注意を要する点もいくつかありますので、何回かに分けてご紹介させていただきます。

家賃滞納

不動産が共有状態になってしまうきっかけはいくつかありますが、特に多いのが、親の相続により、複数人の子が一つの不動産を法定相続分でそれぞれ承継するというケースです。

土地は均等な面積で分けても、必ずしも価値は平等に分かれず、また、1枚の土地を分割する(分筆)には費用も掛かります。

そこで、平等に相続をしようと「共有不動産」にするケースが有るのですが、結果的に困りごとを抱えることになることが多いようです。

こういった不動産は、親の代で既に第三者に賃貸している場合もあれば、これから活用を検討していく場合もありますが、今回は第一回目として、まだ活用されていない更地を相続により兄弟で共有している不動産を例に、お話しさせていただきます。

« 共有名義の土地 »

共有名義の土地
  • 持分:1/3
  • 持分:1/3
  • 持分:1/3

共有している更地を第三者に賃貸したい。
どうすればいいの?

【 事例 】
「兄」さんは兄弟である「弟」さん、「妹」さんとともに、お父さんから相続した更地を3人で共有しています(持分は各3分の1)。

現在この土地を誰も利用しておらず、このまま遊ばせておくのは勿体ないため、土地活用をしたいと「兄」さんは思いたち、友人に相談したところ、この土地を借りて自宅を建てたいという人を紹介するから、その人に貸したらどうかとアドバイスされました。

これは渡りに船とばかりに「弟」さんと「妹」さんに相談したところ、「弟」さんは賛成してくれましたが、「妹」さんは誰かに貸すのは嫌だと反対しています。

「兄」さんはこの土地を賃貸できるのでしょうか。

« 土地を貸すことに3分の2が「賛成」 »

3分の2が賛成
  • 持分:1/3
  • 持分:1/3
  • 持分:1/3
1. 
共有不動産を賃貸することは、原則として持分の過半数の賛成が必要となります(管理行為-民法252条本文)が、例外的に他の共有者全員の同意を得る場合もあり(変更行為-民法251条)、どのようなケースが管理行為になるのか、あるいは変更行為になるのかについては、法律上明確に規定されておらず、判例・裁判例などによって判断されており、その意思決定や賃貸借の目的、賃貸期間等、賃貸借契約の要素によって要件が異なります
2. 
まず、当該賃貸借契約によって、目的不動産をどのように利用するのかが判断材料となります。
    
例えば、土地の賃貸借の目的について、現状畑だったのをそのまま畑として利用させることを目的とするのか、あるいは居住用建物を建築・利用させることを目的とするのか等々、その不動産の形質を大きく変更する場合は変更行為、そうでない場合は管理行為として処理することとなります。
また、賃貸借期間についても、その長短が判断材料となります。
    
すなわち、民法では、土地の賃貸借においては契約期間5年以下の賃貸借を「短期賃貸借」として定義づけしており(民法602条)、その期間を超える場合は変更行為、超えない場合は管理行為として処理することとなります。
    
以上のように、定められる賃貸借契約の要素によって、管理行為になるのか、もしくは変更行為になるのかが変わってくるということになります。

« 利用目的をもとに判断 »

利用目的 判 断 必要賛成者
畑を畑のまま貸す 管理行為 過半数
畑を自宅建築用地として貸す 変更行為 全 員

« 賃貸借期間をもとに判断 »

賃貸借期間 判 断 必要賛成者
5年以下 管理行為 過半数
5年を超える 変更行為 全 員
3. 
本事例の場合、共有土地を第三者に対し、建物を建築する目的で賃貸することを予定しています。このような賃貸借契約は借地借家法の適用を受け、契約期間は30年以上になることから(借地借家法3条)、本事例の賃貸借契約を締結することは、管理行為ではなく変更行為となり、他の共有者全員の同意が必要となります。
4. 
したがって、本事例においては、「弟」さんの同意のみならず、契約締結に難色を示している「妹」さんの同意を得る必要があり、「妹」さんの同意がない以上、「兄」さんと「弟」さんの判断だけで、この共有地を賃貸することはできないということになります。

【No.18】相続人不存在

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