東建コーポレーション

アパート経営 節税コラム 間野税理士
2018年1月15日

column
No.11
配偶者には相続税がかからない!?
~「配偶者の税額軽減」と二次相続対策~

相続税は、財産から債務を差し引いた金額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるとかかってきますが、配偶者が相続した財産については、一定額まで相続税がかからない「配偶者の税額軽減」という制度があります。
この制度は、相続後の配偶者の生活を保障しつつ、同じ財産に対して短期間に2度相続税がかかるのを防ぐためにあります(同世代の夫婦の場合、立て続けに亡くなるケースが多いため)。

今回はこの「配偶者の税額軽減」を上手に利用することで、相続税額を安く抑えるとともに、その後の配偶者からの相続(これを「二次相続」と言います)も含めて節税する方法をお伝え致します。

「配偶者の税額軽減」とは

配偶者の税額軽減」とは、“配偶者が相続により取得した財産の内、「1億6,000万円」、または「配偶者の法定相続分相当額」のいずれか多い方の金額までの財産は、相続しても相続税がかからない”という制度です。
子供がいる家庭を例に挙げると、配偶者の法定相続分は1/2になりますので、配偶者は「1億6,000万円」か「財産の1/2」を相続しても、相続税はかからないことになります。

≪「配偶者の税額軽減」が適用される基準 ≫

  • 「1億6,000万円」
    または
    「配偶者の法定相続分相当額」 の、いずれか多い方の金額

例えば、相続人が配偶者と子供2人で、財産額が2億円の場合、相続税の総額は
2,700万円になりますが、配偶者が財産の1/2(1億円)を相続すれば、相続税の
1/2(1,350万円)がかからなくなり、残りの1/2(1,350万円)は子供が払うことになります。

さて、このケースにおいて一次相続の相続税を最も少なくする方法は、
“配偶者が1億6,000万円の財産を相続する”ことです。この場合、配偶者の相続税はかからず、子供は相続税を540万円払うことになります。

  • ・配偶者の相続税額:2,700万円×1億6,000万円/2億円=2,160万円
    「配偶者の税額軽減」により0円
  • ・子供2人の相続税額:2,700万円×4,000万円/2億円=540万円

一次相続だけを考えれば、このように財産分けをすれば最も相続税が少なくなりますが、これが落とし穴なのです。
通常、そう遠くない時期に配偶者の相続(二次相続)も発生する可能性が高いと考えられます。二次相続でも相続税がかかってきますが、その際には法定相続人が減っているため基礎控除額が減っていますし、当然、「配偶者の税額軽減」はありませんので、非常に高い相続税を払うはめになってしまいます。

一次相続と二次相続を考えたときに最も相続税を
少なくするには

相続税の総額を節税するには、一次相続だけではなく、二次相続も含めて財産分けを考える必要があります。特に、配偶者がすでにある程度の財産を所有している場合、
一次相続の際にさらに多くの財産を取得すると、二次相続の際に相続税が高くなる場合がありますので、注意が必要です。

配偶者が財産をどれ位の割合で相続すればよいかと言うと、「ケースバイケース」です。夫婦が所有している財産額のバランスにより、最も相続税が少なくなる財産分けの方法は変わります。ここでは一例を見てみましょう。

【例】 夫の財産:3億円、妻の財産:5,000万円
相続人:妻と子2人 の場合

[一次相続] ケース1 ケース2 ケース3
15,000万円 0円 5,000万円
長男 7,500万円 15,000万円 12,500万円
次男 7,500万円 15,000万円 12,500万円
相続税額 2,860万円 5,720万円 4,767万円
[二次相続]
妻の財産 20,000万円 5,000万円 10,000万円
長男 10,000万円 2,500万円 5,000万円
次男 10,000万円 2,500万円 5,000万円
相続税額 3,340万円 80万円 770万円
合計 6,200万円 5,800万円 5,537万円
663万円の差額が発生

このように、財産分けの比率が変わるだけで、相続税額は大きく変わります(ときには1,000万円以上変わることもあります)。しっかりとシミュレーションを行なわず、知らないうちに高い相続税を支払っているケースも多々見受けられます。

もっとも、相続税の申告を税理士に依頼しても、二次相続までを考慮した財産分けを考えてくれるケースは少ないと思われます。必ず“最も相続税が少なくなるような財産分け”を提案してもらいましょう。

二次相続対策のポイント

二次相続対策のポイントは、“財産分けの方法を工夫すること”と、“一次相続のとき、配偶者は二次相続対策がしやすい財産を相続する”ことです。
下記のような財産は、二次相続対策がしやすくなっています。

≪ 二次相続対策がしやすい財産 ≫

  • ・生前贈与がしやすい財産・・・ 預貯金、有価証券等の金融資産
  • ・将来を消費する財産  ・・・ 預貯金、有価証券等の金融資産
  • ・有効活用できる不動産 ・・・ アパート・賃貸マンション建設・貸地(定期借地)に適している土地

預貯金については、生命保険に加入することも二次相続対策として有効な手段です。

  • 生命保険金の非課税・・・ 500万円×法定相続人の数

また、下記のような財産は、配偶者が相続しない方がよいでしょう。

≪ 配偶者が相続すると、二次相続での相続税が多額になりやすい財産 ≫

  • ・近い将来、価値が値上がりする財産・・・ 値上がりする土地・有価証券など
  • ・収益を生む財産・・・ 家賃・地代収入が大きい不動産・配当の高い有価証券など

財産分けの比率や方法によって、相続税は大きく変わるものですが、財産分けは基本的にはやり直しがききません。二次相続を踏まえた長期的な相続税対策を行なうには、税理士等の専門家に相談するのがよいでしょう。


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