東建コーポレーション

アパート経営 節税コラム 間野税理士
2018年5月29日

column
No.18
相続税の土地評価額を減額する方法・減額される場合

相続税における土地評価額は、「路線価方式」や「倍率方式」によって計算されますが、どのような場合に評価額が減額されるのでしょうか。
今回は、相続税対策として活用できる「土地評価を減額する方法」を解説したいと思います。

相続税対策

評価額が減額される土地とは

土地の評価額が減額されるケースには、「土地を第三者に貸して借主が建物を建築する場合」や、「建物を自ら建築し、その建物を第三者に貸す場合」があります。

第三者が建物を使用していることで、貸主はその土地を自由に利用できないため、土地の評価額を一定割合減額するというのがその趣旨です。

以下に、「貸宅地」と「貸家建付地」のケースを取り上げます。それぞれの評価減の割合は、以下の通りです。

貸宅地
自分の所有する土地を他人に貸しており、その他人がその土地に建物を建てている場合の土地をいいます。

【 貸宅地の評価の計算方法 】

自用地の評価額 ー(自用地の評価額 × 借地権割合

例)自用地の評価額が5,000万円、
借地権割合が50%の場合の貸宅地の評価

50%

5,000万円 ー (5,000万円× 50%)=2,500万円(借地権の評価額)

貸家建付地
自分の所有する土地に自分の所有するアパートやマンション、貸しビルなど、賃貸用の建物を建てて、他人に貸している場合の土地をいいます。

【 貸家建付地の評価の計算方法 】

自用地の評価額 ー(自用地の評価額 × 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合

15%

例)自用地の評価額が5,000万円、借地権割合が50%、
借家権割合30%の場合の貸家建付地の評価

5,000万円 ー (5,000万円× 50% × 30% × 100%
4,250万円(借地権の評価額)

以上のように、アパート経営などを行なうことで、相続財産である土地が貸家建付地となり評価額を減額することが可能となるのです。

「定期借地権」による相続税の節税効果

土地の評価額を減額する方法として、「定期借地権」の利用があげられます。
定期借地権により土地を貸し付けた場合の、相続税対策効果を下記の事例で解説いたします。

定期借地権」とは、契約時にあらかじめ借地期間を定めて、期間満了時に土地を更地にして返還することが義務づけられている権利をいいます。 普通借地権と定期借地権の違いは、以下の通りです。

普通借地権と定期借地権の違い

普通借地権 定期借地権
一般定期借地権 事業用定期借地権
契約期間 30年以上 50年以上 10年以上 50年未満
利用目的 用途制限なし 用途制限なし 事業用建物利用に限定
(アパート・賃貸マンションのような居住用としての利用は不可)
契約終了 更新される
(終了には正当事由が必要)
期間満了により契約終了
(期間の延長なし)
期間満了により契約終了
(期間の延長なし)
契約方法 制約なし 公正証書等の
書面で行なう
公正証書による設定契約

定期借地権のメリット・デメリット

メリット

  • 土地の有効活用ができる
  • 長期にわたって安定した地代収入を得られることが期待できます。
  • ② 住宅用地であれば固定資産税が低減
  • ③ 土地の評価額が圧縮されるため、相続税の節税効果大
  • 小規模住宅用地であれば、固定資産税の課税標準額が1/6に、都市計画税の課税標準額が1/3に軽減されます。
  • ④ 借地人が居座って裁判になっても、期間が満了していれば「正当な事由の判断」が必要
  • ⑤ 建物の取り壊し費用は、原則借地人が負担し、
    立退き料も支払い不要
  • 建築資金の借入が不要
  • 建物を貸すのではなく、土地を貸すため、建物建築における負担金額が不要です。

デメリット

  • ① 契約期間中は土地の利用ができない
  • 土地の上に他人の建物が建つので、貸している期間中は他の方法への利用転換は一切できなくなります。
  • ※しかし、「土地を守りながら安定収入を得たい」と考えているのであれば、土地を手放すことはないので一概にデメリットというわけではありません。
  • ② 地代収入が土地の価格に対して2%程度
  • 駐車場用地として利用されている場合、その収益と比較して高いか安いか比較をしてみることも必要です。
  • ※しかし、定期借地契約を結び、かつその土地が居住用地の場合には、固定資産税が大幅に安くなりますので、収益だけの比較では有利不利の判定もできません。収益と費用の両面から比較する必要があります。
  • ③ 預かった保証金は運用方法によって課税関係が異なるため、
    注意が必要
  • 保証金の名目で無利息で金銭を預かった場合、その経済的利益が土地所有者様の不動産所得となります[平成28年分の場合0.05%]。
    しかし、この保証金を事業用資産の購入資金や事業用の借入期間の返済などに使ったときは、課税されません。
  • ※もし、現金で残しておく必要が当面無い場合、この保証金をアパートの建設費用等に充てるのであれば、経済的利益に課税されることはなくなります

【 前提 】
被相続人:A氏(65歳)
家族構成:妻・子供2人
財産額 :3億円
相続税の総額:5,720万円
更地(150坪):7,000万円
借地権割合:50%
・借家権利割合30%の有効活用
を考えている。

相続人

定期借地権

契約期間50年 一般定期借地権
保証金:1,400万円
50年後無利息にて返還
※家賃収入、地代収入の蓄積は考慮しておりません。

定期借地権により貸し付けしたケース

定期借地権により、貸し付けることで土地評価、及び相続税の軽減効果が見込めます。仮に初年度で相続が発生した場合には846万円、20年後に相続が発生した場合には510万円の節税効果が得られます。

《 初年度に相続が発生した場合 》

土地35%評価減
    

相続税評価額

【 土      地 】7,000万円 × (1-0.35[底地割合])=4,550万円

【保証金】1,400万円

【 債務控除 】1,400万円(保証金) × 0.975(複利現価率)=▲1.365万円

※基準年利率0.05%の場合

【 その他財産 】23,000万円

相続財産額:  27,585万円

相続税の総額: 4,874万円

30,000万円ー27,585万円=財産額: ▲2,415万円

5,720万円ー4,874万円=864万円節税効果!!

《 20年後に相続が発生した場合 》

土地35%評価減
    

相続税評価額

【 土      地 】7,000万円 × (1-0.35[底地割合]× 0.603[逓減率])
=5,522万円

【保証金】1,400万円

【 債務控除 】1,400万円(保証金)× 0.985(複利現価率)=▲1.379万円

※基準年利率0.05%の場合

【 その他財産 】23,000万円

相続財産額:  28,543万円

相続税の総額: 5,210万円

30,000万円ー28,543万円=財産額 ▲1,457万円

5,720万円ー5,210万円=510万円節税効果!!

以上のように、定期借地権の利用による相続税対策は、長期的な相続対策に効果的と言えます。
メリット・デメリットをふまえた上で、定期借地権の利用も検討されてみてはいかがでしょうか。

広い土地の評価方法とは?~地積規模の大きな宅地の評価~

これまでその地域における標準的な宅地に比して著しく広大な宅地(面積が1,000㎡[三大都市圏では500㎡])の評価については、開発行為における公共公益的施設用地の負担を考慮して、一定の要件の下、「広大地」として相続税評価が減額されてきました。

平成29年度税制改正により、「広大地」の評価方法は廃止され、平成30年1月1日以降の相続等により取得される土地については「地積規模の大きな宅地の評価」が適用されることとなりました。

「広大地」と「地積規模の大きな宅地」について

税制改正前

■広大地

その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で、都市計画法に規定する開発行為を行なうとした場合に、公共公益施設用地の負担が必要と認められるものをいいます(但し、マンション適地は対象外)。

【 広大地が路線価地域に所在する場合の評価 】

広大地の価額 = 広大地の面する路線の路線価 × 広大地補正率 × 地積

※広大地補正率=0.6-0.05×地積÷1000 (下限を0.35として端数処理はしません)

仮に、正面路線価100,000円、面積2,000㎡の土地があった場合、単純計算をすると 100,000円/㎡×2,000㎡=2億円 となり評価額が2億円の土地になりますが、広大地評価を行なった場合には、100,000円/㎡×0.5×2,000㎡=1億円となり、評価額が大きく減少します。

税制改正後

■地積規模の大きな宅地

三大都市圏においては500㎡以上の地積の宅地、それ以外の地域においては1,000㎡以上の地積の宅地のうち、普通商業・併用住宅地区、及び普通住宅地区として定められた地域に所在するもので、次のいずれかに該当するものを除きます。

・市街化調整区域(開発行為を行なうことができる区域を除く)に所在する宅地

・工業専用地域に所在する宅地

・容積率が400%(東京都の特別区では300%)以上の地域に所在する宅地

【 地積規模の大きな宅地の評価 】

地積規模の大きな宅地の価額 =路線価 × 補正率1 × 規模格差補正率× 地積

※1補正率:形状(不整形・奥行)を考慮する補正率

規模格差補正率

Ⓐ × Ⓑ + Ⓒ × 0.8
地積規模の大きな宅地の地積(Ⓐ)

※上の計算式中のⒷ、及びⒸは、その宅地が所在する地域に応じ、
それぞれ下表の通りとなります

三大都市圏に所在する宅地
地積
500㎡以上 1,000㎡未満 0.95 25
1,000㎡以上 3,000㎡未満 0.90 75
3,000㎡以上 5,000㎡未満 0.85 225
5,000㎡以上 0.80 475
三大都市圏以外の地域に所在する宅地
地積
1,000㎡以上 3,000㎡未満 0.90 100
3,000㎡以上 5,000㎡未満 0.85 250
5,000㎡以上 0.80 500

仮に、正面路線価100,000円、面積2,000㎡の土地があった場合、地積規模の大きな宅地の評価を行なった場合には、100,000円/㎡×0.75×2,000㎡=1.5億円となり、広大地評価ほどではないですが、評価額が大きく減少します。(三大都市圏に所在する宅地で算出)

都市開発

この改正により、これまでマンション適地や開発行為における公共公益的施設用地の負担が必要ない宅地に該当していた1,000㎡(三大都市圏では500㎡)以上の宅地についても、地積規模の大きな宅地の評価が適用できることで、土地の評価額が減額される可能性があります。

しかし、広大地補正率と規模格差補正率を比べると規模格差補正率の方が低いため、これまで広大地に該当していた宅地については、土地の評価額が高くなる可能性があります。

土地の評価額を減額する方法は限られていますので、それぞれのメリット・デメリットを考えた上で、賢い相続税対策を行なっていきましょう。


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