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1.杭
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  [1] 杭の種類
    杭の働きには、硬い支持盤に杭の先端を到達させて荷重を伝達支持させる支持杭と、特殊形状の杭を用い、土の摩擦で建物を支える摩擦杭の2種類がある。

    (a) 支持杭の種類 …… 木杭・既製コンクリート杭・場所打ちコンクリート杭・鋼杭など
    (b) 摩擦杭の種類 …… 既製コンクリート杭 (ふし付鉄筋コンクリート杭)

  [2] 建物の支持方法
    建物の支持方法は、建築基準法施工令38条で「高さ13mまたは延面積3.000uを超える建物で最下階の床面積1u当たり10tを超えるときは、基礎底部あるいは杭先端は良好な地盤に達していなければならない。」と定められている。

  [3] 既製コンクリート杭について
    既製コンクリート杭については、材料の品質などが、杭の種類に応じてJIS.(財)日本建築センターの評価などの基準又は(社)コンクリートパイル建設技術協会の評価基準で定められており、設計図書の指定に従ってそれぞれの規定に適合する材料を使用すること。


 
 杭 
 

現在の杭の材料は、木材・鋼材・コンクリートが主であり、下記のような用い方をする。


 
  [1] 木杭 ………………… 木製(生の松・唐松・米松など)の支持杭で、原則として常温面下(地下水)で用いることを原則とする。杭に用いる木材の許容応力度は建築基準法施工令第89条第3項で定める70%としなければならない。 (表1参照
  [2] 既製コンクリート杭 …… 工場で製作された鉄筋コンクリート杭で、支持杭と摩擦杭の2種類があり、杭の長さは、杭の種類と直径によって異なっているが、15mが1本の最大の規格となっている。

 
 
木杭寸法表

 
 
既製コンクリート杭
遠心力コンクリート杭
振動締固め杭 ………
遠心力鉄筋コンクリート杭
プレテンション方式遠心力
プレストレストコンクリート杭
ふし付き鉄筋コンクリート杭

図 1 杭の形状と寸法測定基準

      (a) 遠心力鉄筋コンクリート杭
(JIS A 5310)
…… コンクリートの強度は、所定の養生が終わった時点において、39.2N/mu以上のものでなければならない。RC杭と呼ばれ、下表のような、外形が200mm以上で主として軸方向力に抵抗する1種杭と、外形が300mm以上で軸方向力と土の横方向の圧力による曲げモーメントに抵抗させる2種杭がある。

 
杭径と長さの関係(1種)
 
杭径と長さの関係(2種) (ABC種共通)

 
      (b) プレテンション方式遠心力高強度プレストレストコンクリート杭(JIS A 5337) …… PC鋼材にあらかじめ引張応力を与えて、PC鋼材が元の状態に戻ろうとする力でコンクリートに圧縮の力をかけ、杭の耐力を大きくしたものである。
PHC杭と呼ばれ、プレストレスの与え方で、表4のようなA(3.92N/mu)・B(7.85N/mu)・C(9.81/mu
)の3種類があり、軽は300mm・350mmのもの、長さは13m以下がA種で、その他は15mが規格である。

 
プレテンション方式遠心力プレストレストコンクリート杭

 
      (c) 振動締め固め鉄筋コンクリート杭
(節付き鉄筋コンクリート杭)
…… 三角杭、六角杭などがあって、摩擦杭としてもちいられる。
杭には、300〜600mm間隔にひだをつけ、土の抵抗を受けるようになっている。打込み時には、砂利などと一緒に打込むために、非常に大きな騒音と振動が発生する。

  [3] 鋼杭 …… 支持杭の一種であり、下記のような鋼管を用いる鋼管杭(JIS A 5525)とH形鋼を用いるH形鋼杭(JIS A 5326)がある。長さは6m以上で0.5m刻みの規格があり、長くても、打込み作業・運搬の関係で15m程度とすること。

 
      (a) 鋼管杭 …… 鋼板を冷間加工し、アーク溶接したものと、帯鋼を電気溶接した電縫管と帯鋼を螺旋状に丸めて溶接した、スパイラル鋼管の2種類がある。
 

 
鋼管杭の規格と性能

 
鋼管杭の例
 外径寸法は、上記のほか、次の種類がある。(単位 mm)
 (詳細はJIS A 5525参照)
318.5 355.6 400.0 406.4 500.0 508.0 600.0
609.6 700.5 711.2 1,219.2 1,300.0 1,320.8 1,400.0
1,422.4 1,500.0 1,524.0 1,600.0 1,625.6 1,800.0 2,000.0


      (b) H形鋼杭 …… 熱間圧延鋼を用いるものと、鋼板または帯鋼を連続アーク溶接で加工したものがある。

 
 
H形鋼杭の規格と性能

 
 
H形鋼杭の寸法及び重量
 
  [4] 場所打ちコンクリート杭 …… 地中に支持層迄の穴をあけ、鉄筋を籠状に組んで落とし込み、コンクリートを流しこんで、地中に鉄筋コンクリート製の柱をつくり、支持杭として用いる。
支持杭として場所は打ち杭の先端は支持層に1m以上貫入させること。


  [1] 木杭・既製コンクリート杭・鋼杭などの設置方法
 
 
杭の設置方法
打込工法
埋込工法
打撃工法 …………… 杭ハンマーで打撃を与えて地中に貫入させる工法。
振動工法 …………… バイブロハンマーと呼ばれるモンケンで机に上下の振動を与え圧力で押し込んでいく工法。
圧入工法 …………… 水圧ジャッキとウインチの力を使用して杭を地中に押し込んでいく工法。
ジェット工法 ………… 既製コンクリート杭の先端や杭に並行に送水パイプを差し込み高水圧を噴出させ、土を軟らかくしながら杭を押し込んでいく工法。
プレボーリング工法
(図 2, 3)


あらかじめ土中にアースオーガで穴をあけ、既製コンクリート杭を建て込む工法。
中堀り工法
(図 4)
………… 先端が開放型の杭の中に掘削機を入れ、杭の内部を掘削しながら杭を沈下させる工法。


  [2] 杭の打込み工法に用いるハンマーの種類
各ハンマーの長所短所の比較を表9に示す。
 
 
各ハンマー長所短所

 
  [3] 杭の打込み
    (a) 杭打ちの作業は次の順序で進める。
      杭位置の決定  →  試験杭打ち  →  建て込み  →  本打込み

      (全杭)           (任意の本数)   (本打込みの開発)

    (b) 杭の打込みの間隔は基礎構造設計指針によって、次のように定めている。
      木杭 ……………………… 元口の2.5倍以上、かつ60cm以上
      既製コンクリート杭
(打込み杭)
………… 杭頭部の径または幅の2.5倍以上、かつ75cm以上
      閉端鋼管杭
(打込み杭)
……………… 杭頭部の径または幅の2.5倍以上、かつ75cm以上
      埋込み杭 …………………… 杭頭部径の2.0倍以上
      場所打ちコンクリート杭 …… 杭頭部の径2.0倍以上かつ杭頭部の径に1mを加えた数以上
           
    (c) 既製コンクリート杭の制限打撃回数を表10に示す。 
 
既製コンクリート杭の制限打撃回数

 
  [4] 継ぎ杭工法
      既製コンクリート杭や鋼製杭の現場継手は、アーク溶接継手を原則とする。
      溶接に関する注意は、鉄骨工事の溶接に準じるが、特に注意する点は、
          (a) 気温が0°以下の時は、作業を中止するのが原則である。
          (b) -15°までは母材を36°以上に加熱すれば溶接をして差支えない。
継ぎ杭工法

  [5] 杭頭の処理
    (a) 既製コンクリート杭 …………… 杭の切断(図 5)には、油圧ポンプ式あるいはダイヤモンドカッター方式の杭頭切断機を用い、切断後の杭は、杭の中に基礎のコンクリートが流入しないために適当な蓋(図 6)をして、鉄筋や鋼製のバンドなどで補強し基礎スラブに緊結すること(図 7)
    (b) 鋼管杭 ……………………… 杭の切断には、ガス切断を行ない、杭の切断後は基礎スラブのコンクリートが杭内に落ち込まないように
            イ. 鉄板の溶接
            ロ. 木枠を入れる
            ハ. 鋼管内部への土砂の埋め戻しなどを行なうこと。

    (c) 場所打ちコンクリート杭 …… 必要な長さより地上部分を約0.5〜1m長く製作し、この部分をコンクリートが硬化してから、はつり取ること。

 
  [6] 杭の高止まり
    プレボーリング工法で高止まりした場合は、少なくとも1,000mm以上は支持層に埋め込むようにし、先端は、根固め液(セメントミルク)を注入して固める。(図 8
 尚、セメントミルクの強度は、3日程度経過しないと発現しない。

 
  [7] セメントミルクと安定液の組成と性能
    (a)   セメントミルクの組成
セメントにベントナイトを混合したものである。(下表参照

 
調合例

 
    (b)   安定液の組成と性能
 
・ 清水 水道水程度 
・ ベントナイト 粘土性の物質で、孔壁保護とスライム沈殿防止の役目がある 
・ 分散剤 繰り返し使用できるようにする劣化防止剤 
・ CMC ベントナイトと反応して、ベントナイト液の働きを助ける 


  [8] 場所打ちコンクリート杭について
    (a) 杭の特徴
      @) 支持層の深さが不規則な地盤では、杭の長さが自由に伸縮でき、既製杭のように切断・継ぎ杭などの施工が不要になる。
      A) 杭が太く耐力が期待できる。
      B) 運搬などによる杭の破損の心配がない。
      C) 施工が完全でないときや土質と施工法が一致しないときは、所定の断面積ができず、耐力の低下を招くことがある。
      D) コンクリートの品質管理や地下水などの影響で、コンクリートの硬化、強度に変化がでることがある。

    (b) 工法の概要
各工法の施工は、杭心の確認→杭孔の掘削→鉄筋ガンの挿入→コンクリート打設の順序で進める。尚、深礎工法は建築工事で採用されることが極めて少なくなったので、「共仕」からは削除された。
アースドリル工法(図 9,10)リバース工法(図11,12)オールケーシング工法(図13,14)
 
 
工法の特性
1. アースドリルにおける杭径と掘削能力は、掘削機が大型化していることより、3.0m以上の杭径や70m程度まで施工可能な掘削機もある。
2. リバースにおける土質条件で、軟岩は困難としてあるが、特殊ビットを使用した場合は掘削可能。
  3. オールケーシングにおける杭径は、ケーシングチューブの圧入が揺動式の場合である。
回転式の場合は表内杭径のほか2.0m以上の施工が可能な機種もあり、掘削能力も70m程度の実績もある。
  4. オールケーシングにおける土質条件の[ ]内は、回転式の場合。

    (c) 試験杭の調査
試験杭の施工時における調査項目としては、下表を参照する。

 
 
試験杭の施工時における調査項目

 
  [9] 杭の載荷試験について
杭の載荷試験には、鉛直載荷試験と水平載荷試験がある。

    (a) 鉛直載荷試験 …… 杭の頂部に直接荷重を載せて、杭の垂直方向の沈下量を測定する。(図15
    (b) 水平載荷試験 …… 杭頭部に水平方向に荷重を掛けて、杭が杭周辺の土による固定力を試験する。