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土地オーナー様にとって税金は、頭の痛い問題のひとつではないでしょうか。
高齢の土地オーナー様の場合、万が一のことを考えて相続について検討を始めると、相続税が心配になるかと思います。
また、様々な種類の資産を持っている土地オーナー様の中には、きちんと納税しているのに、「間違っていないだろうか」と不安になる方もいるでしょう。
資産に関する税の仕組みは複雑で、税理士ですら税務署の見解に異を唱えることがあるほどです。
しっかりと節税に取り組まないと、大切な資産を減らすことになりかねません。
そのため今回は、土地にかかわる税を紹介した上で、土地活用が節税につながるメカニズムを解説します。
土地活用に関係する税金(税金対策)

土地に関する税金には、次のような種類があります。
- 相続税
相続税とは、財産を遺して亡くなった方(被相続人)が、財産を配偶者や子供たち(相続人)に相続したときに発生する税のことです。相続税は相続人が負担することになるため、財産を遺そうとしている方がしっかり相続税対策を取っておかなければ、自分の死後に配偶者や子供たちが困惑してしまいかねません。
また、国も、財産を相続したことによってかえって生活の質が落ちてしまうことがないように、相続税を節税する対策を用意しています。土地オーナー様は「資産を持っている」ことを自覚して、相続税については常に気にかけておいたほうが良いでしょう。
- 固定資産税・都市計画税
固定資産税・都市計画税とは、土地や戸建住宅やマンションなどの不動産に課せられる税のことです。(不動産などのことを固定資産と呼びます。)
一般的に、税金は利益を上げたときに課せられますが、固定資産税と都市計画税は、固定資産を持っているだけで課せられます。つまり、放置している土地や空き家を持っていて、そこから利益が出ていなくても、オーナー様は固定資産税と市街化区域内の土地に課される都市計画税を支払わなければならないということです。
- 所得税・住民税
賃貸住宅を人に貸すと家賃収入が入ります。その収入の所得には、不動産所得として所得税が課せられます。また、不動産を売却して譲渡所得が発生すると、そこにも譲渡所得税(所得税と住民税の総称)が課せられます。なお、不動産所得についても、譲渡所得についても、所得が発生すると、その所得について住民税を納めなければなりません。 - 不動産取得税
不動産を取得したときは、不動産取得税を支払う必要があります。 - 消費税
土地の売買や賃貸住宅の家賃には消費税が課せられませんが、それ以外の不動産取引では消費税が課せられます。例えば、居住目的や投資目的で住宅を購入したときや、貸店舗や貸事務所の家賃、住宅ローンの手数料、売却仲介手数料などには消費税が課せられます。
相続税制度の2015年の見直しについて
相続税は2015年に大きな見直しがありました。
その内容の一部を紹介します。
2015年の改正によって、相続税の基礎控除額が引き下げられました。
以前の基礎控除額は「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」でしたが、改正で「3,000万円+600万円×法定相続人の数」となりました。
これにより、従来であれば相続税がかからなかった人たちにも相続税がかかるようになりました。
また、相続税の税率も上がりました。
これまでは、各法定相続人の取得金額が「1億円超~3億円以下」の場合、税率は40%でしたが、改正後は「1億円超~2億円以下:40%」
「2億円超~3億円以下:45%」になりました。「6億円超」の税率も、50%から55%に引き上げられました。
節税対策に効果的な土地活用法

節税効果が生まれる土地活用の方法としては、オーナー様の土地に「賃貸マンション・アパート」「賃貸用の戸建住宅」「サービス付高齢者住宅」などの賃貸住宅を建てることが有効と言えるでしょう。
オーナー様が賃貸マンションやアパートを建て、その経営に乗り出すと、それは事業やビジネスになります。
会社を設立せず、個人のままで賃貸マンション経営・アパート経営を行なったとしても、不動産会社が行なっている不動産事業と同じです。
事業をすると経費がかかるため、利益も少なくなります。税金は、収入ではなく利益(所得)にかかるため、賃貸マンション経営・アパート経営の経費は、税金を下げる効果があるわけです。これが、「賃貸マンション経営・アパート経営による節税効果」です。
節税効果が大きい損益通算
会社員の土地オーナー様が賃貸マンション経営・アパート経営に乗り出すと、「損益通算」?という節税の仕組みを利用することができます。
会社員の給料は、必ず所得がプラスになります。それは収入(給料)以上の経費が認められないからです。しかし、個人事業主や会社などの事業者は、収入が多額になっても、経費がそれを上回れば所得が0円やマイナスになります。所得が0円以下になると、税は発生しません。
会社員の土地オーナー様が賃貸マンション経営・アパート経営に乗り出すと、これと同じ効果が得られます。賃貸マンション経営・アパート経営で赤字が出た場合、その赤字額を会社員としての給与収入から差し引くことができるのです。
例えば、賃貸マンション経営・アパート経営で200万円の赤字が出て、会社員としての年間所得が1,000万円だったとします。
この場合、800万円(=1,000万円-200万円)に税金が課されます。つまり、1,000万円に課される税金より低額になると言うことです。
なお、この場合は賃貸マンション経営・アパート経営の損失と会社員としての利益(所得)を通算しているので「損益通算」と言います。
固定資産税なども減額される
また、賃貸マンション・アパートを建てると、固定資産税と都市計画税が減額されるメリットもあります。
節税効果が生まれにくい土地活用法

次のような土地活用法は、節税効果が生まれにくいと言えるでしょう。
- 駐車場
- 土地の賃貸
- コインランドリー
- 資材置き場
- 自動販売機
- 駐車場
- 土地の賃貸
- コインランドリー
- 資材置き場
- 自動販売機
上記の土地活用ビジネスにかかる経費は、賃貸マンション・アパートの経費に比べると低額です。経費がかからないと言うことは、経費で利益を減らしにくくなり収入額の大半が利益となります。そのため、利益になるのは良いことですが、その分だけ課せられる税額が大きくなってしまうわけです。また、駐車場や土地の賃貸などでも損益通算はできますが、「損益通算効果」があまり出ない土地活用と言えるでしょう。
「売却」という土地活用方法について

土地オーナー様にとっては、土地を売却することも有効な活用方法と言えます。
なぜなら、土地を売ることで収入が得られるからです。また、土地を売却すれば固定資産税などを負担しなくてよくなり、長期的な税額は減らすことができます。
ただし、「節税」という点を重視するのであれば、土地の売却は逆効果となるでしょう。土地を売却すると「長期的には」節税効果が得られますが、「短期的には」増税効果をもたらすからです。
土地を売却すれば、一気に高額の収入を得ることができますが、この収入分の所得税は収入を得た年(1月1日~12月31日)の翌年に支払うことなり、通常よりも所得税が高くなってしまいます。したがって、節税の観点からすると土地の売却には注意が必要なのです。
まとめ
節税効果を最大にする土地活用法をアドバイスできます

土地活用の方法によって節税効果は大きく異なることがお分かり頂けたかと思います。より効果的な活用方法を見出すためにも、今回ご紹介した内容はしっかりと把握しておくことをおすすめします。
とは言え、土地活用の方法を自分だけで探すのは不安に感じられる方もいらっしゃるかと思います。土地活用の専門会社である東建コーポレーションでは、これまで数多くの土地オーナー様の税金に関する相談にお応えしてきました。
土地活用法を工夫すると、それまで遊んでいた土地が収入を生み、さらに節税効果を高めることも可能です。税金に関する悩みをお持ちの場合は、ぜひ土地活用の東建コーポレーションにご相談下さい。
※この記事は、2019年9月時点の情報に基づいて作成されています。
- 逆瀬川 勇造
さかせがわ ゆうぞう - 地方銀行にてリテール業務に従事後、不動産部門のある注文住宅会社にて新築住宅、不動産売買業務に携わる。 金融知識を活かした住宅ローン提案、綿密なヒアリングからのライフプランニング、税金や相続のアドバイスから税理士への橋渡しなど、新築住宅、不動産売買にまつわる金銭問題の解決を得意とする。