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土地オーナー様の中には、土地活用の方法として駐車場経営を検討される方もいらっしゃるでしょう。駐車場は、アスファルトを敷くだけで始められる手軽さがあり、人気の土地活用法のひとつです。ただ、駐車場経営は「税負担が大きい事業」とも言われています。
今回は、駐車場経営の税金に特化して詳しく解説していきますので、ぜひ駐車場経営を検討する際の参考にしてみて下さい。
なお、駐車場経営全般に関する注意点は、下記リンクのページにて詳しく解説していますので、駐車場経営の特徴やメリットなどを知りたいと言う方は、ぜひあわせてご覧下さい。
リンク:「人気土地活用、駐車場経営と賃貸マンション経営・アパート経営はどちらを検討すべきか?」
駐車場経営で気を付けたいこと

駐車場経営がなぜ手軽なのかと言うと、最低限、更地にしておけば始められるからです。さすがに土や砂利がむき出しでは敬遠されますが、アスファルト舗装をすれば、問題ありません。アスファルト敷設のコストは1平米当たり5,000円ほどです。
また、仮にコインパーキングを始める場合でも、アスファルトを敷いた土地に専用機器やフェンスなどを取り付けるだけで済みます。同じ土地活用でも、賃貸マンション経営・アパート経営の場合、大きな建物を建てなければならないので、それと比べると駐車場経営は手軽でコスト安なのです。
しかし、駐車場経営は低コスト低リターンの事業なので、多額の収入は期待できません。収入が低くなると、固定資産税の負担額が収益を圧迫する訳です。
例えば、住宅用地と駐車場として使われる土地とでは、税法上の計算方法が変わります。そのため、住宅用地よりも駐車場の方が6倍も固定資産税が高くなるケースもあるのです。
また、平面駐車場の場合は減価償却費の計上ができないため、所得税の負担も大きくなります。立体駐車場の場合でも賃貸住宅と比較すると減価償却費は少なくなるため、これらを事前に把握しておくことが大切になるでしょう。
駐車場経営で発生する4つの税金

駐車場経営には、次の4つの税金が発生します。
- 固定資産税・都市計画税
- 償却資産税
- 所得税・個人事業税
- 消費税
いずれも重要な税金なので、ひとつずつ詳しくみていきましょう。 なお、「固定資産税・都市計画税」と「所得税・個人事業税」は似た税金であるため、一括りにしています。
固定資産税・都市計画税
固定資産税と都市計画税(以下、固定資産税など)は、土地と建物に課せられる税です。
固定資産税などの額は、軽減税率の適用により、駐車場よりも住宅用地のほうが軽くなっています。これは国民が住宅を持つ際の負担を軽くするという方針によって、住宅用地の固定資産税などを軽減しているためです。
固定資産税などの額は、課税標準価格に税率を掛けて算出します。課税標準価格とは、市区町村による不動産の評価額です。税率は、固定資産税が1.4%、都市計画税が0.3%です。
住宅用地のうち、住宅1戸当たりの面積が200平米以下の小規模住宅用地は、固定資産税の課税標準価格は6分の1に、都市計画税の課税標準価格は3分の1に減額されます。
住宅用地のうち、200平米超の部分は、固定資産税の課税標準価格は3分の1に、都市計画税の課税標準価格は3分の2に減額されます。
一方、駐車場用地を含む更地の課税標準価格は、軽減されません。駐車場経営を考えている土地オーナー様は、「駐車場用地の税コストは、賃貸マンション経営・アパート経営などの住宅用地の税コストの6倍になる」と理解しておく必要があるでしょう。
このような捉え方をしなければ、駐車場経営と賃貸マンション経営・アパート経営を公正に比較できなくなる可能性があるためです。
固定資産税などの通知書が発送される時期は毎年4~5月頃になります。納税時期は自治体により異なりますが、東京都の場合は7月、9月、12月、2月です。土地オーナー様が申告する必要はなく、市区町村から納税通知書が届くので、それが届いたら支払います。
償却資産税
償却資産税は、駐車場に設置する駐車場管理システムや、ゲート式駐車場機器、出口料金精算機、フェンス、外灯、アスファルト舗装など、10万円以上の償却資産に課せられる税金です。
償却資産税の額は、償却資産の課税標準額に税率(1.4%)を掛けて算出します。
償却資産の課税標準額は毎年少しずつ減額していきます。そのため、償却資産税も毎年安くなります。償却資産の価値は「毎年低下する」と考えるので、それに見合うように税額を減らしていくのです。
償却資産税を納付するには、土地オーナー様が市区町村に申告する必要があります。実際の納税は年4回に分けることが可能です。
所得税・個人事業税
所得税と個人事業税(以下、所得税など)は、所得に課せられる税金です。収容台数10台以上の駐車場には個人事業税が課され、それより規模が小さい駐車場を経営すると所得税がかかります。
所得と売上高の関係は、以下の通りです。
所得 = 売上高 - 経費
所得 = 売上高 - 経費
・所得税の算出方法
所得税の額は、課税所得に税率(5~45%)を掛け、控除額を差し引いて算出します。課税所得の算出方法は、所得から控除額を差し引いたものです。
そして土地オーナー様が毎年2~3月に申告し、納税することになります。なお、住民税(税率10%)は毎年6月に発送される納付書によって納税します。
・個人事業税の算出方法
個人事業税の額は、課税所得に税率(3~5%)を掛けて算出します。個人事業税の課税所得も、各種控除を行なって算出します。
また、所得税などは、2~3月に土地オーナー様が申告して納付します。
消費税
消費税は、駐車場の売上に課せられる税です。
砂利を敷いただけでも駐車場の体裁になれば消費税の対象になります。アスファルトを敷設してゲートやフェンスなどを付けても、当然消費税の対象になる訳です。
しかし、土がむき出しのままの更地で、関連機器も設置していない状況で駐車場をしている場合は、消費税が課せられません。また、賃貸マンション・アパートに付属している駐車場も消費税がかかりません。
さらに、土地オーナー様が免税事業者の場合も消費税を納付する必要はありません。2年前の売上高が1,000万円以下の場合は、免税事業者として扱われます。
消費税は本来、駐車場利用者から預かった消費税を、駐車場オーナー様が税務署に納めるお金です。そのため消費税は、駐車場オーナー様が負担する訳ではありません。
しかし、駐車場利用者からの入金額には消費税が含まれているので、その金額が「自分の売上高のような感覚」になる場合もあるでしょう。
また、駐車場利用者から預かった消費税を一時的に運転資金として利用することは問題ありません。そのため、「消費税を預かっている」と言う感覚が薄れてしまうケースもあるのです。
それが原因で、消費税を納付するときに資金繰りが悪化してしまうケースも考えられるため、注意しましょう。
固定資産税対策なら賃貸マンション経営・アパート経営

土地オーナー様は、駐車場経営における税負担が、思いのほか重くなることを認識しておく必要があります。
駐車場経営は、意外に収入が上がらない事業です。その上、税金と言う支出が伴います。そのため、「遊休地を放置しておくよりはましだから、仕方なく駐車場にしている」と言う土地オーナー様も少なくありません。
その点、賃貸マンション経営・アパート経営は、確かに初期投資や手間は駐車場経営よりかかりますが、その分しっかり利益を上げることができます。
土地活用の経験がない土地オーナー様の中には、無難な駐車場経営から始めて、事業に慣れてきてから賃貸マンション経営・アパート経営に転身する人も少なくありません。駐車場の場合、設備の設置も撤去も簡単なので、賃貸マンション・アパートに転用しやすいと言うメリットがあるためです。
しかし、駐車場経営を経由して賃貸マンション経営・アパート経営に乗り出すのは二度手間とも言えるでしょう。
その二度手間を省きたいと言う場合には、ぜひ土地活用の専門会社に相談してみることをおすすめします。
まとめ
有効に土地活用したいならプロに相談しませんか

駐車場経営にかかわる税金は多種多様なので、土地オーナー様を混乱させてしまう場合もあるでしょう。しかし、それでも駐車場経営の全支出に占める税金の割合は大きくなるので、土地オーナー様は税金の知識をしっかり身に付けておく必要があります。
土地活用の東建コーポレーションでは、蓄積されたノウハウを活かして土地オーナー様の最適なプランを提案させて頂きます。税金面をはじめ、駐車場経営をご検討中の土地オーナー様は、ぜひ東建コーポレーションにご相談下さい。
※この記事は、2019年10月時点の情報に基づいて作成されています。
- 逆瀬川 勇造
さかせがわ ゆうぞう - 地方銀行にてリテール業務に従事後、不動産部門のある注文住宅会社にて新築住宅、不動産売買業務に携わる。 金融知識を活かした住宅ローン提案、綿密なヒアリングからのライフプランニング、税金や相続のアドバイスから税理士への橋渡しなど、新築住宅、不動産売買にまつわる金銭問題の解決を得意とする。