- 文字サイズ
- 小
- 中
- 大

使用する予定がない空き家を放置してしまっている土地オーナー様も決して少なくないでしょう。しかし、空き家の放置は次のようなデメリットが生じます。
- 空き家を有効活用できない
- 空き家が建っている土地を有効活用できない
- 「特定空家等(倒壊など保安上危険となるおそれのある空き家など)」になるリスクを負う
これら3つのデメリットは、オーナー様の「収入を減らす」「支出を増やす」と言う、二重の金銭的な損失をもたらしているのです。
そこで今回は、空き家を放置するリスクについて詳しく解説した上で、空き家の土地活用法をご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
空き家の現状

近年は空き家が増加しており、社会問題となっています。その様子を、数字などで詳しくみていきましょう。
空き家戸数846万戸、空き家率は13.6%
政府は空き家対策に本格的に乗り出しており、2014年には「空家等対策の推進に関する特別措置法(空き家対策法)」と言う法律も制定されました。それほど空き家問題は深刻な状態になっているのです。
2018年の時点で全国の空き家戸数は846万戸まで増えており、空き家率は13.6%に達しています(※1)。これは、100戸で構成する住宅街があったら、そのうち14戸は空き家という状態で、住宅が10軒並んでいれば、そのうち1~2軒が空き家ということになります。かなり深刻な数字であることが分かるのではないでしょうか。
(※1:総務省 住宅・土地統計調査)
空き家が増えている背景
空き家が増えている原因としては、次のような点が挙げられるでしょう。
- 高齢化
- 核家族化(住宅需要減少)
- 新築住宅の増加
- 都心への移住
- 税金制度の問題
- 高齢化
- 核家族化(住宅需要減少)
- 新築住宅の増加
- 都心への移住
- 税金制度の問題
この5項目がどのように空き家を生んでいるのか、詳しく解説していきます。
・高齢化
高齢になると家族の人数が減ることも多くなるため、維持費が高くて広い家は必要なくなります。そのため、維持費が安くて狭い家へ引っ越す人も少なくありません。
また、広い家に住み続けたくても金銭的な余裕がなく、やむを得ず広い家を手放すケースもあります。
・核家族化(住宅需要減少)
核家族化が進むことで、広い家の需要は低下していきます。住宅需要が減少している状況であっても住宅メーカーは住宅を建て続けるため、次第に広い家が空き家として増えていくことになる訳です。
・新築住宅の増加
上記と重複しますが、新築住宅が増えれば古い家の必要性が薄れていくため、空き家になりやすくなってしまいます。
・都心に移住
都心に移住する人が増えると、故郷で相続した住宅を管理できず、やがて特定空家になってしまいます。
・税金制度の問題
家が建っている土地の固定資産税は、更地の固定資産税よりも最大6分の1に割り引かれます。つまり、土地オーナー様が、特定空家への指定を避けたいがために空き家を解体してしまうと、固定資産税が従来の6倍になってしまうということです。これにより、「周囲に迷惑をかけても構わないから、空き家を残しておこう」と言う気持ちが生まれてしまう可能性があります。
しかし、先ほどご紹介した空き家対策法により、特定空家等に認定されれば、住宅が建っている土地であっても、固定資産税を6分の1にする特例は外されます。
空き家を放置するリスクと対策

オーナー様が空き家を放置するリスクと対策について、詳しくみていきましょう。
空き家を放置するリスク
空き家を放置すると、周辺住民に悪影響を与えてしまいます。空き家が台風などで壊されれば、剥がれた建材などが周辺に飛び散るかもしれません。また、空き家には不法侵入や不法占拠のおそれもあります。
さらに、中古住宅を探している人は空き家が多い住宅街の物件を敬遠する傾向にあるため、周囲にある住宅の価値を落としてしまう可能性も否めません。日本は今後、人口が減少していくと予想されているため、現段階で空き家が多く出ている住宅地は、今後さらに寂れていく可能性があるでしょう。
もちろん、長年空き家状態になっていれば、その空き家自体の資産価値も低下しますので、空き家を放置するメリットはひとつもありません。
また、空き家対策法も空き家の所有者のリスクになります。なぜなら、空き家対策法では、地方自治体が迷惑空き家(特定空家等)を撤去することを容認しているからです。その撤去費用は所有者に請求されますので、大きなリスクと言えるでしょう。
この問題によるオーナー様への損失は、撤去費用だけにとどまりません。自分の家が行政によって撤去されるのは不名誉なことです。その不名誉による損失の大きさは計り知れないでしょう。
空き家問題の対策
空き家問題には、自治体も対策に乗り出しています。その一例として、いくつかの自治体の対策をみていきましょう。
・栃木県真岡市
空き家バンクに登録された建物のリフォーム工事費のうち、50万円を限度とし、50%の範囲内で工事費用を補助
・愛媛県大洲市
空き家バンクを通して、空き家を購入する方に対し、移住者には最大100万円、大洲市民には最大25万円の空き家取得補助金を支出
・山口県周南市
移住者を受け入れるための活動費の支援をしている地域コミュニティ団体などに対し、空き家の所有者に対して空き家バンクに登録を働きかける活動を行なったとき、空き家1件につき1万円を補助
空き家バンクとは、空き家の登録を募り、空き家の利用を希望する人に物件情報を提供する制度のことです。公的機関が運営しており、一般的な不動産情報サイトの空き家版と考えると良いでしょう。また、国土交通省が推進している「全国版空き家・空き地バンク」と言う仕組みもあります。
空き家の土地活用法

空き家を放置するリスクと実際の損失についてご理解頂けたかと思います。こういったリスク、損失を避けるためにも、しっかりと空き家対策を講じていきましょう。
主な空き家対策としては、「空き家の活用」「空き家の土地の活用」と言う2種類があり、その具体的な内容は次の通りです。
<空き家の活用>
- リフォームまたはリノベーションして貸し出す
- そのまま貸し出す
- シェアハウスに転用する
<空き家の活用>
- リフォームまたはリノベーションして貸し出す
- そのまま貸し出す
- シェアハウスに転用する
<空き家の活用>
- 賃貸マンション・アパートに建替える
- 賃貸併用住宅に建替える
- 更地にして新たに土地活用する
<空き家の活用>
- 賃貸マンション・アパートに建替える
- 賃貸併用住宅に建替える
- 更地にして新たに土地活用する
それぞれのメリット・デメリットをみていきましょう。
リフォームまたはリノベーションして貸し出すメリットとデメリット
日本の住宅は性能が優れているため、空き家になっていてもリフォームやリノベーションをすれば価値が復活することがあります。
- メリット
- リフォームやリノベーションによって住宅の価値が高まれば、借り手が現れるかもしれません。
- また、リフォーム・リノベーションの費用は賃貸マンション・アパートの建設よりも大幅に少ないこともメリットと言えるでしょう。
- デメリット
- 一方、リフォーム・リノベーションのデメリットとしては、賃貸マンション経営・アパート経営よりも収益性が低いことが挙げられます。また、住宅が建っている場所が原因で空き家になっている場合、リフォーム・リノベーションしても、借り手が見つからないかもしれません。リフォーム・リノベーションして貸し出す場合は、ニーズ調査をしっかりと行なうことが大切になるでしょう。
そのまま貸し出すメリットとデメリット
空き家をそのまま貸し出すことも不可能ではありません。
- メリット
- 最も手間がかからず、最も初期投資が少なくて済むという点は、オーナー様のメリットになるでしょう。
- デメリット
- ただし、空き家をそのまま貸し出すことのデメリットとして、借り手をみつけることに苦労することが挙げられます。また、借り手が見つかっても安い家賃でしか貸し出せないでしょう。
シェアハウスに転用するメリットとデメリット
シェアハウスは、台所や居間、風呂などを共用する賃貸住宅です。
- メリット
- 台所や居間、風呂などを戸数分用意する必要がないので、1軒の空き家でも複数人が住むシェアハウスに転用できます。例えば5LDKの空き家であれば、5つの部屋に1人ずつ住んでもらえば良い訳です。
- シェアハウスに転用するメリットとしては、初期投資が少なく済むことが挙げられるでしょう。また、家賃が複数人から入ってくることもメリットのひとつです。5LDKで5部屋に1人ずつ貸せば、家賃収入は5件分になります。
- デメリット
- 一方、シェアハウスのデメリットとしては、一般的な賃貸マンション経営・アパート経営より収益性が落ちることが挙げられるでしょう。台所や居間や風呂などを共用にする分、家賃を安くしなければなりません。シェアハウスへの入居を希望する人たちは、安い家賃を期待しているからです。
- そのため、家賃を安くすれば入居率を高められる可能性がありますが、オーナー様の収入は減ってしまいます。
賃貸マンション・アパートに建替えるメリットとデメリット
空き家を撤去して、そこに賃貸マンション・アパートを建てることは、最良の空き家対策のひとつと言えるでしょう。
- メリット
- 実際に賃貸マンション経営・アパート経営で土地活用するケースは非常に多いのですが、それは収益性が高いからに他なりません。
- デメリット
- ただし、賃貸マンション経営・アパート経営のデメリットとしては、初期投資がかかることが挙げられます。建物自体も高額ですが、空き家が建っている場合、その撤去費用も用意しなければなりません。
賃貸併用住宅に建替えるメリットとデメリット
賃貸併用住宅とは、例えば1~2階を賃貸住宅にして、3階をオーナー様の自宅にするような住宅のことです。
- メリット
- 賃貸収入とオーナー様の自宅が確保できるので、一挙両得のメリットがあります。
- デメリット
- 一方、賃貸併用住宅のデメリットとしては、借り手がみつからず賃貸部分の経営が立ち行かなくなると自宅の保持が難しくなることが挙げられます
更地にして新たに土地活用するメリットとデメリット
空き家を撤去して、駐車場、駐輪場、自動販売機の設置、トランクルームと言った新たな土地活用をはじめることも可能です。
- メリット
- これらはいずれも、賃貸マンション経営・アパート経営よりもローリスク・ローリターンな方法と言えるでしょう。このローリスクと言う点が、駐車場、駐輪場、自動販売機の設置、トランクルームで土地活用するメリットになります。
- デメリット
- ただし、収益性が低い点はデメリットになるでしょう。
まとめ
空き家を有効に土地活用したいなら、プロに相談しませんか

今回は、空き家を放置するリスクや、空き家の土地活用法について詳しくご紹介しました。空き家をどうするべきかお悩みの土地オーナー様は、ぜひ今回ご紹介した内容を参考に、空き家の土地活用を検討してみてはいかがでしょうか。
「本当に自分が所有する空き家で土地活用できるのだろうか」と言った不安を抱えられている土地オーナー様もいらっしゃるかもしれませんが、古民家を改修して会員制の農家民泊にした事例や、空き家をミュージアムに転用した事例、空き家をシェアハウスにした事例など、様々な空き家の土地活用が全国で報告されています。
土地活用のパイオニアである東建コーポレーションには、これまで様々な土地オーナー様の土地活用をサポートさせて頂いた経験があります。その経験によって蓄積されたノウハウを最大限活用し、土地オーナー様のご希望をお聞きしながら最適なプランをご提案させて頂きますので、空き家の活用でお悩みの際はぜひ土地活用の東建コーポレーションにご相談下さい。
※この記事は、2019年11月時点の情報に基づいて作成されています。
- 逆瀬川 勇造
さかせがわ ゆうぞう - 地方銀行にてリテール業務に従事後、不動産部門のある注文住宅会社にて新築住宅、不動産売買業務に携わる。 金融知識を活かした住宅ローン提案、綿密なヒアリングからのライフプランニング、税金や相続のアドバイスから税理士への橋渡しなど、新築住宅、不動産売買にまつわる金銭問題の解決を得意とする。