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土地オーナー様の中には、これと言った土地活用法が見つからず、自身の土地を手放してしまおうと考えている方もいるのではないでしょうか。
しかし、そのような考えをお持ちの場合、「もしかしたら自分が知らないだけで、有効な土地活用法が存在するのではないか」と言った不安も残っているかと思います。
そこで今回は、活用しないまま土地を売却することが「得策なのかどうか」について考えてみます。ご自身の土地を売却すべきかお悩みの場合は、ぜひ本記事を参考にしてみて下さい。
目次
土地を売却するメリット・デメリット

土地の売却にはメリットも存在しますが、当然デメリットも存在します。そのため、メリット・デメリットの両面を正しく把握した上で、売却するべきかどうかを判断することが大切です。
では、具体的にどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。詳しくみていきましょう。
売却のメリット
土地を売却するメリットとしては、次のような点が挙げられます。
- 資産の組み換えにつながる
- 現金なら相続のとき、分けやすい
- 固定資産税を支払わなくて済むようになる
- 土地を管理しなくて済むようになる
・資産の組み換えにつながる
土地の売却によって現金が増えるため、他の投資を検討できるようになります。例えば、土地を売って得たお金で株式を購入することもできる訳です。これは、資産を組み換えたことになります。資産を組み換えると、もとの資産のリスクが滅失し、新しい資産のメリットを得ることが可能です。
・現金なら相続のとき、分けやすい
土地を売却すると、現金を手に入れることができます。まとまったお金を必要としている土地オーナー様にとっては大きなメリットと言えるでしょう。
そして、土地オーナー様が「そろそろ相続について考えたい」と言う状況になった場合にも、土地を売却して現金にしておけば、複数の相続人に相続しやすくなります。
例えば、相続人になる可能性がある人が妻、長男、長女の場合、1億円を相続するのであれば、妻に5,000万円、長男に2,500万円、長女に2,500万円といった具合に、きれいに分けることができます。
しかし、土地を相続する場合は、現金のようにきれいに分けることが難しくなります。また、1筆の土地を分筆するには法務局への届け出が必要になるため、その負担も大きくなるでしょう。
なお、1筆の土地でも、南側と北側では価値が異なります。そのため、面積を「2分の1」「4分の1」「4分の1」と分けても、土地の価値がその割合通りになるとは限りません。
・固定資産税を支払わなくて済むようになる
土地を所有している以上は毎年固定資産税を支払わなければなりませんが、土地を売却すれば固定資産税の納付義務がなくなります。
・土地を管理しなくて済むようになる
土地を手放せば土地を管理する必要もありません。
草刈りも、防犯対策もしなくて済みます。不法投棄の心配からも解放されます。
売却のデメリット
一方の土地を売却するデメリットとしては、次のような点が挙げられます。
- 資産組み換え後に、新たなリスクを負う
- 相続税の節税効果を失う
- 譲渡所得税が発生する
- 将来的に土地活用で収益を得る道がなくなる
- すぐに売却できるとは限らない
・資産組み換え後に、新たなリスクを負う
先ほど、資産の組み換えのメリットを紹介しましたが、これにはデメリットも存在します。資産の組み換えをすると、もとの資産のメリットがなくなると同時に、新しい資産のリスクを抱え込む可能性があります。
・相続税の節税効果を失う
土地には、相続税の節税効果があります。相続税の額を計算するとき、1億円で買った土地は「1億円以下で評価される」ことが多いからです。そのため、現金1億円を相続するより、1億円で買った土地を相続したほうが、相続税の額を抑えられる可能性が高くなります。
しかし、土地を売却してしまうと、こういった相続税の節税効果を活用することができなくなります。相続税は、土地オーナー様の死後、相続人となった土地オーナー様のご家族が負担します。土地を売却してその現金を相続することは、ご家族の税負担を大きくしてしまうことになりかねません。
・譲渡所得税が発生する
土地を売却して譲渡益が出たら、土地オーナー様自身が譲渡所得税を負担することになります。売却によって現金化できるという点だけでなく、譲渡所得税と言う負担が生まれることも把握しておくようにしましょう。
・将来的に土地活用で収益を得る道がなくなる
土地活用をすれば新たな収入源を得られますが、土地を売却してしまうとそれ以降は土地活用することができません。「土地活用による新たな収入源を失う」ことについてもしっかりと理解した上で、売却を検討していったほうが良いでしょう。
・すぐに売却できるとは限らない
土地を売却しようとしても、買い手が見つからなければ土地を売却することはできません。土地オーナー様の売却したいタイミング、金額で売却できるとは限らないことを理解しておく必要があるでしょう。
事業用資産の買い換え特例なら、譲渡税がお得

土地売却における税金の話では、「事業用資産の買い換え特例」が話題になることがあります。この特例は少し込み入った仕組みなので、詳しくみていきましょう。
「事業用資産の買い換え」とは、「個人が、事業の用に供している特定の地域内にある土地建物等(譲渡資産)を譲渡して、一定期間内に特定の地域内にある土地建物等の特定の資産(買換資産)を取得し、その取得の日から1年以内に買換資産を事業の用に供すること」(※1)です。
例えば、土地活用をしていた土地を売却して、新たに別の土地を購入し、そこでも土地活用を行なったとします。この場合、「事業用資産の買い換え」となり、一定の要件に該当すれば税金上の特例を受けることができる訳です。
特例の内容は、譲渡益の一部に対する課税を将来に繰り延べるというものです。
土地を売却して譲渡益が出た場合、譲渡益の額に応じて譲渡所得税を支払わなければなりません。しかし「事業用資産の買い換え特例」を受ければ、この譲渡所得税額を減らすことができます。
例えば、土地を1,000万円で売却したとしても、200万円分にしか課税されません。このときは800万円分の課税が免除されます。
ただ、800万円分の課税は繰り延べされるだけであり、消え去る訳ではありません。買い換えた土地を売却するときに、繰り延べされた800万円分の課税を負担することになります。
売却する土地でこれまで事業をしていない場合、つまり土地活用していない場合は、この特例は受けられません。また、売却する土地で事業をしていても新たに買い換える土地で事業を行なわない場合には、特例の対象になりません。
※1参照:国税庁「No.3405 事業用の資産を買い換えたときの特例」土地の価格について

土地を売却する際、土地の価格はどのように決めれば良いのでしょうか。この章では、土地の売却価格を決める上で必要となる「取引事例比較法」と「査定項目」について紹介します。また、土地の価格の種類についても詳しくみていきましょう。
取引事例比較法とは
土地の売却価格は、売り手と買い手が合意すれば、いくらに設定しても構いません。しかし、土地の価格には相場があります。そのため、相場を無視した高額の価格を付けて売却活動を行なっても購入希望者は現れないでしょう。
売却するための現実的な価格を設定するためにも、土地の売却を検討している土地オーナー様は「一般的な土地の売却価格の決め方」を理解しておくことが大切になります。
取引事例比較法は、現実的な土地の売却価格を決めていく方法のひとつです。売却したい土地と条件が似た土地の取引事例を参考にして、売却価格を決めていきます。
例えば、売却対象の土地に接する隣地が「坪10万円」で取り引きされたことを参考にして、今回の売値を「坪10万円」に決めるといった方法です。
査定項目とは
土地の価格は、需要によって変動します。需要が高い土地は高くなり、需要が低い土地は安くなるということです。そのため、需要を考慮しない取引事例比較法では適正な土地の価格を算定できない場合もあるでしょう。
例えば、売却対象の土地に接する隣地が10年前に「坪10万円」で取り引きされたとします。そしてこの10年間で、近くに大企業の本社が移転してくるなどして住宅用の土地の需要が急激に高まっていれば、坪10万円で売ることは適正とは言えません。
このような、「近隣への大企業の移転」と言った点が査定項目と呼ばれます。土地の価格を査定するときの検討項目と言う意味です。
これ以外にも、大型ショッピングモールの建設や、駅や道路の新設なども査定項目に該当するでしょう。土地の価格に影響を与える事象は、すべて査定項目になるのです。
ただし、査定項目にはネガティブな内容もあります。例えば、売却対象の土地の近くにあった大企業の本社が移転してしまったり、近隣の大学が閉校してしまったりした場合、土地の需要は落ちるため、それらはネガティブな査定項目とみなされます。
そのような場合は、取引事例比較法で導き出した土地価格より安くなってしまうでしょう。
土地の種類/実勢価格
土地の価格には、次のような種類があります。
- 実勢価格
- 公示地価
- 路線価
- 基準地価
- 固定資産税評価額
- 実勢価格
- 公示地価
- 路線価
- 基準地価
- 固定資産税評価額
これらは、同じ土地の同じときの価格でありながら、価格差が生じます。それぞれ次のような性質があるためです。
・実勢価格
実際の取引価格です。ある土地が1,000万円で売買された場合には「実勢価格1,000万円」となります。
・公示地価
国土交通省土地鑑定委員会が調査する土地の価格です。不動産鑑定士が鑑定評価しますが、概ね実勢価格の90%を目安に定められます。
・路線価
国税庁が調査する土地の価格です。公示価格や実勢価格を参考に、概ね実勢価格の70~80%を目安に定められます。
・基準地価
都道府県が調査する土地の価格です。不動産鑑定士が鑑定評価しますが、概ね実勢価格と同額程度を目安に定められます。
・固定資産税評価額
市区町村が固定資産税を計算するときに使う土地の価格です。市区町村の固定資産評価員が決めますが、大体、実勢価格の60~70%ほどに設定されます。
売却すべき土地、売却に向いている土地

所有している土地は、可能な限り活用することをおすすめしますが、次のような土地は売却に向いている土地と言えるかもしれません。
条件が悪い土地
過疎地にあったり、人々が住みたがらない場所にあったり、客が来なさそうな場所にあったりする土地は、条件の良い土地とは言えません。そのような土地では、賃貸マンション経営・アパート経営や貸店舗経営も上手くいかない可能性があります。
こう言った条件の悪い土地をお持ちのオーナー様は、まず土地活用の専門会社に相談するなどして、その上で「土地活用は難しい」と言う結論に至った場合には、売却してしまったほうが良いかもしれません。
人口が大きく減少している土地
人口が大きく減少している土地も、売却を検討したほうが良いかもしれません。人口が減ると、土地活用の選択肢が狭まってしまうからです。
また、現在は土地活用による事業で利益が上がっていても、将来的に人口が大きく減った場合にはその事業が上手くいかなくなるかもしれません。そのため、土地活用においては人口動態が極めて重要になるでしょう。
ただし、人口が大きく減少している土地の売却であっても、念のため土地活用の専門会社に相談した上で検討していくことが賢明と言えます。
土地の価値が上昇している
土地を現金化したいという考えをお持ちの土地オーナー様であれば、土地の価値が上昇しているタイミングで土地を売却するのもひとつの手段と言えるでしょう。ただし、土地の価値が上昇している場合、土地活用すればより多くの利益を得られる可能性があることも忘れてはいけません。そのため、土地活用も視野に入れながら検討していくべきでしょう。
売却を検討すべきではない人(間違った認識を正して土地活用したほうが良い人)

土地を売却する際は、売却の仕方にも注意する必要があります。特に次のような方法での売却はおすすめできません。
土地活用の専門会社に相談しないで売却してしまう
土地オーナー様からすると「土地活用できない土地」「売るしかない土地」のように見えても、土地活用のプロである土地活用専門会社の営業担当者であれば「意外な土地活用法」を見出すことができるかもしれません。
そのため、「この土地を売却しようかな」とお考えの際には、自己判断で売却を決断せず、一度土地活用の専門会社に相談したほうが良いでしょう。
資産運用の計画や将来設計ができていないうちに売却してしまう
資産運用計画や将来設計ができていない段階で、将来の収入に大きくかかわる土地を売却するべきではありません。「なんとなく手元に現金を持っておきたいから」と言う理由で土地を売ってしまうと、後々「もっと有効活用できたのに」と後悔してしまう可能性があるからです。
まとめ
土地を売却したいならプロに相談しませんか

今回は、土地活用で土地を売却するメリット・デメリットについてご紹介しました。どのような土地が売却に向いているのか、お分かり頂けたのではないでしょうか。
ただし、条件が悪いように感じられる土地であっても土地活用できるケースは多々ありますので、土地活用の専門会社に相談した上で売却を検討していくことをおすすめします。実際に、売却することなく土地活用を成功させているケースも少なくありません。
その一例として、先代から明治時代に建てられた母屋を含む土地の大部分を引き継がれたK様のケースが挙げられます。古くなった母屋は使い道がないため、どう対処すべきか迷われていたそうですが、マンション・アパート経営による土地活用を選択したことで、解体費用も含めた借入を上回る収入を得られているそうです。
土地活用の東建コーポレーションでは、蓄積されたノウハウを最大限活用し、土地オーナー様の土地活用を様々な面からサポートさせて頂いております。一見、条件が悪く感じられる土地であっても、最適な土地活用法をご提案できる場合がありますので、ぜひお気軽に土地活用の東建コーポレーションにご相談下さい。
※この記事は、2019年11月時点の情報に基づいて作成されています。
- 逆瀬川 勇造
さかせがわ ゆうぞう - 地方銀行にてリテール業務に従事後、不動産部門のある注文住宅会社にて新築住宅、不動産売買業務に携わる。 金融知識を活かした住宅ローン提案、綿密なヒアリングからのライフプランニング、税金や相続のアドバイスから税理士への橋渡しなど、新築住宅、不動産売買にまつわる金銭問題の解決を得意とする。