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【vol.48】関西の自治体で行なわれている「住宅セーフティネット」 のそれぞれの取り組みとは

2018年11月9日

賃貸住宅に住みたくても、様々な理由によって賃貸住宅を借りることができない方もいます。特に、一人暮らしの高齢者低所得者層の方などがこれに該当し、大きな社会問題となっています。

こういった事態をかんがみ、国は2017年に「改正住宅セーフティネット法」を施行しました。これは民営の賃貸住宅を、公営住宅のように貸し出すというものです。

住宅セーフティネット法による各自治体の動き

「住宅セーフティネット法」は、「住宅確保要配慮者」に対し、賃貸住宅の供給促進に関する施策を定めたものです。「住宅確保要配慮者」とは、低所得者、被災者、高齢者、障がい者、子どもを育てる家庭、その他住宅の確保に特に配慮を要する人々のことです。施行に伴い、各都道府県・政令指定都市では「住宅確保要配慮者」の入居を拒まない賃貸住宅の登録が開始されました。

制度下では、国や自治体の居住支援協議会が、登録住宅の改修費、入居者が支払う家賃債務保証料、入居後の生活サポート等について、支援を行なっています。今まで、住宅確保要配慮者の受け皿を担ってきたのは公営住宅でしたが、日本全体の人口が減少する中、これ以上、公団住宅が増加することは見込めません。

一方で、民間の賃貸住宅における空き家は増えており、これらを活用した住宅セーフティネット機能の強化が必要で、今回の法律と制度が施行されました。

2017年度、国交省の回答によれば、国による補助金制度への申請はなし、各地方自治体についても2017年度、2018年度の補助金支給については見送りという回答が多く、今のところ、制度ができただけの状態です。しかし、一部では、住宅確保要配慮者の受け入れに積極的な自治体もあります。

住宅セーフティネット法

自治体ごとに様々な取り組みを実施

大阪府では、入居希望者への相談会を実施し、「住宅確保要配慮者」の受け入れに積極的な姿勢を見せています。

大阪府は、2015年3月に不動産関係団体、公的住宅事業者、地方公共団体による居住支援協議会「Osakaあんしん住まい推進協議会」を設立し、住宅確保要配慮者に向けた情報を提供する「あんぜん・あんしん賃貸検索システム」の運営をスタートしました。

同協議会のホームページでは、住宅確保要配慮者への入居あっせんを行なう「あんしん賃貸協力店」と、受け入れに積極的な物件情報、公営住宅等の公的制度による賃貸住宅を紹介しています。こうした努力により、大阪府下では536社の協力店と約8200戸の民間賃貸住宅が登録されています。

ホームページでは、今後も登録数を増やすために、法律に基づいた(住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の)登録手順を記載し、登録を促しています。

高齢者住宅

同じ関西地区では、京都市も受け入れに積極的です。同法律の改正前の2012年から、大阪府同様に「京都市すこやか住宅ネット」を設立し、高齢者の賃貸住宅受け入れに注力してきました。協議会は、市の住宅・福祉部局、不動産業者、福祉関係者等で構成され、賃貸住宅の情報提供や入居後のサポートを行なっています。

高齢者の入居促進に協力的な不動産業者を「すこやか賃貸住宅協力店」として登録する制度を作り、協議会のホームページに協力店情報を掲載、高齢者入居を受け入れる物件の情報も公開しています。

このサイトは一般の賃貸検索サイト同様、誰でも利用でき、問合せや内覧、契約を希望する際には掲載されている協力店に直接連絡することも可能です。また、京都市では部屋探しだけでなく、入居後の生活支援にも取り組んでおり、社会福祉法人との連携による見守りサービスを実施しています。

その他にも、茨木市では高齢者の受け入れ態勢を整えるため、介護職員(市内に雇用された40歳未満の介護福祉士、介護福祉士の資格取得を目指す人)の家賃の一部を助成するサービスを開始しました。

神戸市では「一人親世帯家賃補助制度」を実施するなど、社会的弱者の受け入れに向けたユニークな取り組みを行なっています。

今後の対策として

高齢化が進む中、高齢者が安心して暮らせる賃貸住宅の整備と受け入れは大きな課題です。

各自治体の取り組みにより、住宅確保要配慮者を受け入れる動きは、今後も広がっていくと思われます。そのため、これからの賃貸住宅では、社会的弱者の入居にあたって起こり得るリスクを取り除く仕組みが、強く求められるようになるでしょう。

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