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【vol.54】シェアリング・エコノミーの今

2018年12月5日

新聞やテレビでもよく目にするようになった言葉「シェアリング・エコノミー(共有経済)」とは、資産やスキル(技能・技術)を提供したいという個人と、提供を受けたいという個人とをマッチングさせる概念のことをいいます。

シェアリング・エコノミー

近年、話題になっている民泊(=使われていない部屋や住宅を他者に貸し出すビジネス)などもシェアリング・エコノミーに含まれます。

2016年7月に矢野経済研究所が実施した調査によると、シェアリング・エコノミーの国内市場規模は、2015年度の約285億円から、2020年までに600億円まで拡大すると予測されています。

スマートフォンの普及によって、個人間のマッチング取引がいつでもどこでもリアルタイムで行なえるようになったことや、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の活発な利用も、シェアリング・エコノミーの普及を後押ししているようです。

シェアリング事業を展開している企業が加盟する「シェアリング エコノミー協会」によると、シェアリング・エコノミーでは、シェア(共有)の対象は大まかに「空間」「移動」「モノ」「スキル」「お金」等に分類されます。

では、各分類における代表的なサービスを見ていきましょう。

空間のシェア

「空間のシェア」といえば、「民泊」でお馴染みのAirbnb(エアービーアンドビー)が有名です。サンフランシスコで2008年に創業し、現在では世界192ヵ国の都市で計300万件以上の物件を掲載しており、通算1億5,000万人以上が利用したとされています。

部屋を有料で貸し出す

サービス内容は、「部屋を有料で貸し出すホスト」と「部屋を借りたいゲスト」を、インターネットを介して繋ぐことです。利用法は、Airbnbのウェブサイトにホストが部屋を登録し、ゲストはその部屋を検索によって見つけ、予約等のやりとりをホストと直接、行ないます。

普及の理由は、世界中、どんな都市にもホストがいて、安価で快適な宿を見つけることができる「便利さ」、ホストとのやりとりを通じて現地の人と文化交流等ができる「面白さ」などが挙げられます。

最近では、民泊用の部屋を仲介するだけでなく、レジャーや文化など「体験」の仲介もしているようです。「民泊」の他にも「空間のシェア」では、利用していない部屋を会議や、打ち合わせなどのスペースとしてシェアするサービスなども普及してきています。

移動のシェア

次にご紹介するのは「移動」に関するビジネスです。この分類では、Airbnbと同じく米国発のシェアビジネスであるUber(ウーバー)が有名です。Uberはアプリやウェブを利用した配車サービスで、日本でも2014年より都内の一部でサービスが開始されています。

ドライバー登録をした車(自分の車を所有する人)が、まるでタクシーやハイヤーのように目的地まで連れて行ってくれるというものです。

利用方法は、アプリをスマホにダウンロードし、クレジットカードなどの情報を登録します。スマホさえあればホテルや会社はもちろん、路上でも送迎を依頼することができ、アプリから車種を選択し、乗車位置と目的地を設定後、表示された見積もり金額を確認し、依頼ボタンを押すだけで依頼が完了します。

スマホで簡単に配車サービス

その後、ドライバーの名前や顔写真、配車車種、現在向かっている車の位置、そして到着予定の時間までの情報が入ります。アプリに登録したクレジットカードで支払いとなるため、降車時の支払いの必要もなく、スムーズに移動できます。料金交渉やチップについて心配することもなく、海外旅行などではとても重宝するサービスです。

モノのシェア

日本企業のシェアサービスで多いビジネスには「モノ」のシェアがあります。

若者の間で有名なメルカリ(個人が簡単に出店できるフリーマーケット)や、エアークローゼット(月額制で、季節やトレンドに応じた服が自宅に届き、返品や交換が可能なため、同じ洋服を自宅で所有しなくていいというサービス)、ジモティー(近隣地域・地元でモノを譲ったり、中古品を販売したりすることを目的とした掲示板サイト)等があり、これらはどれも日本企業によって企画、運営されています。

スキルのシェア

「スキル」のシェアでは、「人手やスキルの不足をシェアによって手軽に解消しよう」とする日本企業が目立ちます。代表例の一つANYTIMES(エニタイムズ)では、プロに頼むほどではないが家事や習い事を誰かに頼みたいという人と、自分の時間やスキルを有効活用したいという人を結びつけています。

主な依頼は、掃除、料理、子どもやお年寄りの見守りといった家事代行で、中には語学レッスンやダンスの振り付け、インテリアコーディネートといったユニークなものもあるといいます。

お金のシェア

クラウドファンディング

シェアリングはお金の分野まで及んでいます。事業やアイディアを実現させるためにインターネット上で資金集めを行なう「クラウドファンディング」が主な事業です。海外では、起業したい若者がアイデアを公開し、資金提供者を募る「Kickstarter(キックスターター)」が有名です。

日本では震災支援でも活躍し、最近では途上国への資金提供など、社会課題解決事業への資金集めが中心の「Ready for(レディーフォー)」などがあります。

シェアリング・エコノミーに期待されること

シェアリング・エコノミーは、個人や社会に対して新たな価値を提供し、経済の活性化・国民生活の利便性向上に貢献すると期待されています。

市場規模を考えても、今後さらに多くのサービスが登場し続けることが予想されます。

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