記事

  • 文字サイズ

【vol.55】国土交通省「宅配ボックス設置部分の容積率規制の適用」を明確化、その背景とは

2018年12月6日

最近、新築マンションでは当然のように見かけるようになった「宅配ボックス」。その普及に追い風が吹いています。

これまで、宅配ボックスを容積率の規制対象にするかどうかについては、各自治体によって基準が異なっていましたが、今回、国土交通省(以下、国交省)の発表により、共同住宅の共用廊下と一体の宅配ボックス設置部分は、共用廊下と同様に容積率規制の対象外とすることが明確化されました。

宅配ボックス

宅配ボックスの普及で再配達が減少

国交省が昨年末に発表した資料によれば、下図の赤い点線の枠内にある宅配ボックス設置部分については、「容積率規制」の対象になるかどうかの判断が分かれるケースが多かったといいます。

容積率にゆとりがない建物の場合は、容積率規制の対象となってしまうため、宅配ボックスの設置や増設が断念されることもあったそうです。しかし、今回の発表により、赤い点線の枠内については、容積率規制の対象外となりました。

宅配ボックス

また、国交省は「共同住宅以外の建築物も含めた宅配ボックスの設置促進に向け、宅配ボックス設置部分の現状調査を行ない、更なる施策を講じることも検討する」と、普及に向けた取り組み強化を強調しました。

なぜ、政府がここまでして「宅配ボックス」の普及に努めているのでしょうか。宅配ボックスの設置促進には、社会課題となっている「再配達問題」が深く関係しています。

宅配ボックスの設置促進は「再配達」の減少につながることから、働き方改革の実現や物流生産性革命の推進のためにも重要だと考えられているのです。

変化していく宅配便の受け取り事情

「再配達」は現在、どれほど重要な社会課題と考えられているのでしょうか。

宅配便サービスが開始されて約40年が経過しました。近年では、インターネットを利用した通信販売(EC)等の拡大により、2006年度では約29.4億個だった宅配便の取扱個数は、2016年度には約40.2億個と、ここ10年で約3割増加しており、急速な伸びを示しています。

また、国交省が行なった調査では、食料品や日用雑貨の購入に利用する例も増えており、ECはもはや特別な商品を買う場ではなく、日常の近所への買い物の一部を代替するまでに至っているといえる状況になっています。

その一方で、全体の取扱件数のうち約2割が再配達になっており、そのうちの約4割が「配達されることを知らなかった」というのです。

確かに、取り寄せ商品の注文などはいつ入荷(配達)されるのか分からない商品も多く、配達時間が通知されたとしても、指定された時間に都合が合わない可能性があります。

そのため、単身世帯や共働き世帯にとって「宅配便の受け取り」は、負担であり、時間を気にすることなく自宅の傍で簡易に済ませられる宅配ボックスの需要が増えているのです。

こういった流れを受けて、2017年頃から、ある宅配ボックスメーカーでは、宅配ボックスの注文が殺到したといいます。今までは月間平均販売台数は400500台だったにもかかわらず、1ヵ月で2000台以上も売れ、通常の5倍以上の売り上げとなり、急遽、協力工場に生産ラインを作ったそうです。

宅配ボックスの重要性

ネット通販の隆盛、宅配便の利用増加に伴う再配達問題、生活スタイルの変化により、「好きな時間に荷物を受け取りたい」というニーズは今後も増え続けることでしょう。

国土交通省の後押しもあって、宅配ボックスの需要はますます高まることが予想されます。

宅配ボックス

ページの先頭へ