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【vol.66】地域の厄介者「所有者不明の土地」政府は相続登記を義務化?

2019年1月23日

全国の所有者不明土地は、2016年時点で九州の面積よりも広い約410万ha(ヘクタール)に及び、地域の発展を妨げているといわれています。

多くの自治体にとって、所有者の把握が困難な土地への対応は,公共事業用地の取得、農地の集約化や森林の適正な管理等において喫緊の課題でしょう。

所有者不明土地を起因として、公共事業の中止・中断や事業地の変更を迫られるなど、円滑な公共事業の実施を阻害するケースが全国で発生しています。

所有者不明の土地

社会問題の深刻化を阻止すべく、法務省の研究会は、2018年6月1日に「土地の所有権を放棄する制度の創設や、相続登記の義務化の検討を柱とする中間報告」を公表しました。

2020年までに国会へ提出できるようにと動いていくそうです。
報告書には、主な取り組みについて下記のように説明されています。

 
  • ・法定相続情報証明制度の円滑な実施
  • ・長期相続登記未了土地の解消に向けた仕組みの創設
  • ・相続登記の促進のための登録免許税の特例の要望
  • ・共有私道の保存・管理等に関する事例研究会
  • ・登記制度・土地所有権の在り方等に関する研究会

相続登記義務化を目指す

この問題ついて、「所有者不明土地対策に関する関係閣僚会議」が首相官邸で行なわれました。

この場では、所有権の放棄制度を今後どうするかといったテーマに加え、どの省庁がリーダーとなり、対策を進めていくかなどの基本方針も決められました。「所有者不明土地の問題は極めて深刻。一刻も早い解決が求められる」と菅義偉官房長官は話し、国を挙げて対策していく考えを示しました。

土地の所有権を放棄することは可能かどうかについては、専門家の間でも意見が分かれるそうです。

土地を放棄することによって、税金から逃れる可能性があるとのことで、こうした問題を解決することが、今後の検討課題だといいます。

また、放棄された所有権が国と自治体の、どちらのものになるのが良いかという点についても議論の対象になっています。

登記

登記制度の見直しについての中間報告は、登記手続きを簡略化することが明記されました。

相続人に登記の義務を課すことの是非や、法務局の登記官による所有者名や住所が適切に記載されていない登記の調査、最新の戸籍情報を把握する仕組みについても検討するといいます。

相続登記の義務化を検討している背景として、所有者不明の土地は東日本大震災後の復興事業で用地買収の妨げとなっていることが挙げられます。

現在、全国で約410万ha(ヘクタール)の所有者不明土地も、高齢化が進めばさらに増え、2040年には北海道本島ほどの大きさに匹敵する約720万ha(ヘクタール)にまで拡大し、経済損失額は同年までの累計で約6兆円と推計されています。

実は、その深刻さもあって政府は早急に手を打とうとしているのです。

所有者不明土地面積の将来推計

所有者不明土地面積の増加

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