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【vol.68】「所有者不明の土地」を有効利用へ、特別措置法が可決・成立

2019年2月6日

国土交通省によると、「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」(以下、特措法)が2018年6月6日の参院本会議で、与野党の賛成多数で可決、成立しました。

最長10年間の利用権を設定できるように

所有者が誰かわからない土地の利用を希望する場合、公園や駐車場のような公共性があれば、最長10年間の利用権を都道府県知事が設定できるようになりました。利用を希望できるのは、市町村や民間企業、NPOなどです。

しかし、途中で所有者が現れ、土地を返してほしいと希望した場合は、原状回復を行ない、最初に設定した期間終了後に返還することになります。所有者から返還の希望がなければ利用の延長も可能です。

また、今回の特別措置法では、所有者不明の土地に対して、所有者から所有権を強制的に取得する手続きの簡素化も含まれています。

所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法

国土交通委員会によると、「不明地の発生抑制に向け、相続登記を促す仕組みの検討などを政府に求める付帯決議を採択しています。政府は今後、相続登記の義務化や所有権を手放せる制度などを議論し2020年までに関連制度を改正する予定です」とのことです。

解決に向けた今後の動き

人口の減少による少子高齢化が進むにつれ、相続したくても相続する相手がおらず、所有者不明の土地が今後も増えていくことが予想されます。また、相続を繰り返していくことで、誰が今の所有者か分からなくなり、混乱が生じることもあるそうです。

今、日本では所有者不明の土地が410万ヘクタールあり、すべて足すと九州本土の面積よりも大きいと言われています。土地の所有権移転登記を行なわなければ、今後も所有者不明の土地は増え続けていきます。

そこで、特別措置法が登場しました。国はこの政策を皮切りに、所有者不明の土地問題の解決に動いていくのではないかと言われています。というのも、この政策だけでは、410万ヘクタールもの土地が、公共の施設にすべて利用できるようになるとは思えません。

これを解決するには、民間の企業などが商業施設や住宅として利用できるように、動いていく必要があるでしょう。

国は2020年までに所有者不明の土地の利用について、更なる連携強化を図っていく予定です。そのために、まずは所有者の把握を進め、対策を打つとされています。発表されている具体的な対策案は以下の通りです。

・所有者の氏名や住所が正確に登記されていない土地について、登記官に所有者を特定する調査権限を与えること。
・自治体が把握できる所有者の死亡情報と、国が管理している登記情報を結び付け、誰が現在の所有者なのか迅速に調べられるようにすること。
・現在は任意となっている相続登記を義務づけることを検討し、土地基本法に「所有者の責務」を明記すること。

また、国土交通省によれば、「特措法によって共有私道の法律関係と工事・整備にあたっての対処方法は相当程度明らかになったものの、共有地の保存・管理や財産管理制度のあり方などの所有者不明土地問題にかかわる民事基本法制上の諸課題がある」といいます。

こうした問題を解決するために、今後も国の動きからは目が離せません。

国土交通省

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