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【vol.69】都市部で増殖中の「コワーキングスペース」、なぜ増える?どう使う?

2019年2月13日

最近、「シェアオフィス」という言葉に代わって「コワーキングスペース」という言葉が広まりつつあります。
この2つの言葉については同義語として使う人も多いようですが、厳密にいえば、言葉の意図するニュアンスは異なります。

シェアオフィスとは、その言葉の通り、「オフィス(事務所)をシェア(共有)」しているという意味で、いくつかの会社が同じ部屋の中にオフィスを設置して仕事している、というものです。

コワーキングスペース

一方、「コワーキング(Co-working=共に働く)スペース(場所)」は「共に働く」という部分に焦点を当てた言葉で、「共同、協同」を前提にしています。実際、席や職場が隣にあるだけでは「共に働いている」ことにはなりません。

その場にいる人々が所属する組織や仕事の内容が異なっていても交流すること、また共に打ち合わせや作業を行ない、共に働くことが成立して初めて「コワーキングスペース」だと言えます。

つまり「コワーキングスペース」は単なる「シェアオフィス」ではなく、利用者間のコミュニケーションや共同作業が前提となっている場なのです。数年前まで「シェアオフィス」という言葉を耳にすることが多かったのですが、このところは「コワーキング」という言葉が使われることの方が圧倒的に多くなりました。その背景も含めて、最近の「コワーキング」事情についてさらにご説明しましょう。

コワーキングスペースに期待されていること

もともと「シェアオフィス」という場所は、事務所を構えることが難しい「個人や小さな会社が利用する場」としてかなり昔から存在していました。そこへ「コワーキングスペース」という概念が出てきたのは、2010年前後のことです。この時期といえば、ちょうど海外でインターネットを使った起業が盛んになってきた時期でもありました。

なぜ「起業」と「コワーキング」が関係あるのでしょうか。答えは「ネットワーク(人と人との繋がり)」や「イノベーション(新たな価値の創造)」という言葉にあります。

代表的な事例を2つ挙げてみます。昨年、ソフトバンクグループ(株)(以下、ソフトバンク)の代表取締役会長兼社長である孫正義氏が、アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市に本社を置く、起業家向けのコワーキングスペースを提供するアメリカの企業、「ウィーワーク(英:WeWork Companies, Inc.)」と合弁会社を作ると発表し、その構想が話題になりました。

ウィーワークは、15ヵ国49都市に155ヵ所以上の物理的な拠点を有し、13万人以上の会員にコワーキングスペースやコミュニティーを提供しています。そこに「イノベーションに投資する」という方針を打ち出すソフトバンクが目を付けたのです。

実際、海外でのウィーワーク利用者には「スタートアップ(既存にはないビジネスモデルでの起業家を指す言葉)」や大企業(マイクロソフト、アメリカンエクスプレス、ガーディアン等)のユーザーが顧客となっており、フリーランスのクリエイター等の評価も高いといいます。ソフトバンクは、自社のビジネスを拡大するため、あるいは日本のイノベーションを加速させるために「コワーキングスペース」に乗り出した、といえます。

スタートアップ・イノベーション

もう一つ、都内で大企業が運営する「コワーキングスペース」として有名なものに、ヤフー株式会社(以下、ヤフー)がオフィス内で運営する「LODGE(ロッジ)」があります。

このスペースの特徴は、誰もがいつでも使える場というものです。ヤフーの社員はもちろんのこと、ヤフーとは直接関係のない打ち合わせで使う社外の人も多く訪れます。

プライベートなプロジェクトに、学生とのコラボレーションに、NPO活動、ボランティア活動…様々な目的の利用者が集まり、土日でも席が空いていないという人気ぶりです。なぜ、ヤフーはこのような場所を提供しているのでしょうか。LODGEにはこんなメッセージが記されています。

「(前略)オープンなコラボレーションを生むため、利用者同士を結び付けるコミュニケーター制度を導入。情報交換や新たな協業を生み出していける仕組みを作りました。Yahoo! JAPANとの事業に親和性を感じる方、地方創生を目指す方、スタートアップ企業の方、何か面白いことがしたい方、・・・ここはそんなあなたに来てほしい場所です・・・」

ヤフーもソフトバンクと同様に「ネットワーク」と「イノベーション」を「コワーキングスペース」に集積しようと意図しているのがよくわかります。

コワーキングスペースの選び方、使い方

先に挙げた2つの例はかなり大規模な例でしたが、コワーキングスペースは規模も目的も様々です。

もの作りをしたい人向けの工具や機械が揃った場所、社会課題を解決したい人が集まる場所、フィンテックで起業したい人が集まる場所、起業のためのプログラムやサポートが充実している場所、行政が運営している場所など多種多様にあります。最近は東京だけでなく、地方にも色々なコワーキングスペースが出てきています。

事業を拡大するめのコミュニティーに参加

どこを利用するかを選ぶ上で、設備や環境といった「ハード面」も重要ですが、何より「コミュニティー」が大事だと付け加えておきます。自分のやりたいこと、事業の目的・方向性と相性のいいコミュニティーに入ることで初めて、コラボレーションによる事業やプロジェクトの前進が実現するからです。

世界を拡げてみたいと考えている方は、コワーキングスペースを利用してみてはどうでしょうか。

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