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【vol.73】空室対策として注目の「DIY型賃貸借」を始めるために

2019年7月3日

DIY型賃貸借

近年、若い世代の間では「自分らしい部屋に住みたい」、「どこにでもありそうな部屋では嫌だ」というようなオリジナル志向が強まり、そのニーズは持ち家だけの話でなく、賃貸住宅にまで拡大しています。

そこで、日本全国で空き家が増え続けているという状況を打開しようと、国土交通省は賃貸住宅の流通促進の一環として「DIY型賃貸借」の普及に取り組んでいます。

DIYとは「Do It Yourself(自分でやる)」という英語を略したもので「自らの手で行なう、お部屋のリフォームやリノベーションなど」を指します。

同省によれば、ここで取り扱われる「DIY型賃貸借」とは、「借主(入居者)の意向を反映して住宅の改修を行なうことができる賃貸借契約や賃貸物件」を指しており、「借主自ら改修する場合」はもちろんのこと、「専門業者に発注する場合」も対象とされており、工事の実施方法は様々です。

今回は、DIY型賃貸借に関心のある方を対象に、その活用を促進しつつも、契約当事者間のトラブルを未然に防止するためにと同省が作成した「DIY型賃貸借に関する契約書式例」、「DIY型賃貸借に関するガイドブック」、「家主向けDIY型賃貸借実務の手引き」などの資料について、その内容をまとめてご紹介します。

「DIY型賃貸借に関する契約書式例」の用途と内容は?

この書式例は、DIY型賃貸借によるトラブルを事前に防ごうとするため、国土交通省によって作成されました。

同省は、DIY型賃貸借を行なう場合に契約当事者間であらかじめ合意すべき内容を、賃貸借契約書の特約事項として作成するよう意図しています。

また、改修内容等については、貸主が承諾し、明渡し時の原状回復等について貸主・借主間で合意するための契約書式となっています。

同省が前提とするDIY型賃貸借では、賃貸借契約の締結にあたって「賃貸借契約書」、「増改築等の承諾についてのお願い(申請書兼承諾書)」、「合意書」といった3種類の契約書を作成することが想定されています。

まず「賃貸借契約書」ではDIY工事以外の事項(賃貸借の目的物、契約期間、賃料等)を規定。同省による「賃貸住宅標準契約書(改定版)」あるいはその他の契約書式を使用することを想定しつつ、「特約」の部分において、DIY工事部分における修繕や原状回復等の取扱いについては、承諾書や合意書に従うことを規定するよう指示しています。

そのため「申請書兼承諾書」は、DIY工事の実施内容(工事内容、原状回復義務、費用精算等)について借主が貸主の承諾を得るため欠かせないものになります。

さらに「合意書」を作成することによって、詳細に取り決めることができるようにと、あらかじめ同省によって書式が準備されています。

<<「合意書」の主な記載事項 >>

・施工、及び施工状況の確認
工事に際しての、建物本体、及び第三者への損害は、借主が責任を負い、工事前にその内容について十分に協議を行ない、必要に応じて立ち会い確認を行なうこと等
・工事部分の所有権の帰属
工事部分に係る契約期間中の所有権は当事者間で合意した別表に記載のとおりとし、住宅と一体となり分離できない工事部分は、貸主が所有権をもつ等
・契約期間中の管理・修繕
契約期間中の工事部分の必要な管理・修繕は借主が行なう等
・明渡し時の収去等、及び原状回復義務
明渡しに際し、工事部分の残置又は撤去の別、残置する場合の補修の要不要、借主の原状回復義務の有無は、当事者間で合意した別表に記載のとおりとし、残置する場合に補修を要するとされた工事部分について、本来有する機能が失われている場合、例えば設置した機器が故障している場合などは、借主が補修を行なうこと等
・明渡し時の精算等
明渡しに際し、工事部分の精算等の有無は、当事者間で合意した別表に記載のとおりとし、精算等をありとする場合、契約終了時に、貸主は工事部分の残存価値、または時価を借主に支払う等
DIY型賃貸借に関する契約書式例

「DIY型賃貸借に関する契約書式例」

DIY型賃貸借に関するガイドブック「DIY型賃貸借のすすめ」の用途と内容は?

ガイドブックは、国土交通省がDIY型賃貸借への理解を促進することを目的に作られており、貸主と借主双方の視点に立ち、DIY型賃貸借の実施において実務的に有益な考え方や手順等を紹介しています。

内容としては、DIY型賃貸借とは何かを説明し、DIY型賃貸借のメリットを紹介したうえで、DIY型賃貸借の手順や取決め事項のポイント等がまとめられています(改修工事の費用を借主が負担して実施する場合を想定)。

DIY型賃貸借のすすめ

「DIY型賃貸借のすすめ」

「家主向けDIY型賃貸借 実務の手引き」の用途と内容は?

手引きには、DIY型賃貸借に取り組もうとする家主の方々のため、一連の流れや実務の上で必要な情報がまとめられています。

取り決め事項のポイントにはじまり、先に述べた契約書の作成方法(特にDIY型賃貸借で大規模な工事を行なう場合や転貸借=サブリースにより行なう場合の契約上の留意点等についても記載されています)の他、 DIY型賃貸借を行なう場合のQ&Aなど、詳細な説明が記されています。

家主向けDIY型賃貸借 実務の手引き

「家主向けDIY型賃貸借 実務の手引き」

そのままでは貸し出せない古い物件、個性的な間取りのマンションも、DIYを前提とすれば借主にとって「掘り出し物」の物件になる可能性もあります。

ここで紹介させていただいた国土交通省のウェブサイトを、一度熟読されてみてはいかがでしょうか。

DIY型賃貸借

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