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【vol.75】分譲マンションが空き家だらけに?東京都が条例を検討中

2019年7月17日

みなさんは「空き家」と聞いて、どんな家を想像されるでしょうか。多くの方が「古い木造の家屋が、雑草の生い茂る中に佇んでいる」姿を思い浮かべるのではないかと思います。

しかし、実は日本の空き家の多くは、最近では戸建てではなく「マンション」なのです。しかもそれが「入居者が付かない賃貸マンション」ではなく、「住宅ローンを組んでまで購入した分譲マンション」の中にあるという、一昔前では信じられないようなことが現実に起きているのです。

そのため、東京都はかねてより「空き家対策」に乗り出し、分譲マンションにおいても「所有者不明の空き家」に対処すべく動きだしているといいます。

空き家

管理費や修繕積立費が徴収できない

分譲マンションの空き家問題とはどういったものなのでしょうか。ご存知のように賃貸マンションと分譲マンションには、「所有者が一人」であるか「所有者が多数」であるか、という決定的な違いがあります。

つまり、管理組合で運営する共同住宅という性質をもつ分譲マンションにおいては「所有者不明の空き室」が出てしまえば、他の住民にしわ寄せがいくということなのです。

具体的なケースをいくつか見てみましょう。埼玉県のとある分譲マンションでは全24部屋のうち、3部屋が区分所有者の氏名と住所を特定できないという状況が発覚しました。長いこと空き家状態で、管理費の滞納などが続いていたそうです。

そこで、支払い期日から5年ほどが経過し、支払い請求権の消滅時効が近づいていたため、不在者財産管理人の専任決議を管理組合が家庭裁判所に申し立てました。この手続きによって、不在者財産管理人が所有者不明の空き部屋を売却できるようになりましたが、その売却代金が滞納された管理費を補うものかどうかは不明だといいます。

また、別のケースを見てみると、いわゆる相続放棄があちらこちらで発生していることが確認できます。

同じく埼玉県の例ですが、ある分譲マンションの所有者不明の空き室について、管理組合が調査を実施したところ、元の区分所有者(既に死亡)の子を突き止めることができたものの、その人物は相続を放棄しており、管理組合はやむなく「物件の競売手続き」を行なうことになったといいます。競売による売却代金で滞納された管理費を回収できたかどうかは定かではありません。

管理組合

下がり続けていく「分譲マンション」の価値

こうしたケースが発生するということは、「相続放棄」が起きてしまうほどに、その物件の価値が下がってしまうということを意味します。

国土交通省によれば、2017年に200万戸に満たなかった築30年以上の物件は、10年後の2027年には300万戸を超えるとみられており、20年後の2037年には500万戸を超え、「今の3倍近くの数の物件が築30年以上になる」といいます。

しかも、そのうち200万戸近い物件は築50年以上の物件といいます。老朽化によって資産価値が下がってしまっているうえに、管理運営の費用も払えていないとなれば、その空き部屋が相続されないのも当然です。

同省が639のマンション管理組合から得た調査結果によれば、対象の管理組合のうち14%、つまり87の組合で「連絡のつかない所有者がいる」という回答があったといいます。

分譲マンションの空き家対策に乗り出した東京都、その内容とは

東京都は2018年3月に「マンションの適正管理促進に関する検討会」を設置し、適切な仕組みの制定に向けた議論を進めています。

分譲マンションの相続放棄による空き家化を防ぐには、マンションの資産価値を下げないことが重要であり、そのために管理組合などによる建物のメンテナンスが非常に重要になってきています。

2018年11月30日に検討会から提出された資料によると、東京都は「安全で良質なマンションストックの形成に関する中長期的な目標の設定」、「マンション管理の適正化に関する指針を定めるとともに、現行のマンション管理ガイドラインについての見直し」、「管理組合に対する届出の誘導策の検討」の3点を取り組むことで、対応していくと発表しました。

これらの理由から、「分譲マンションの空き家問題」の対策としては、マンションの管理を充実させ、資産価値を保つための仕組みづくりが求められているということがよくわかります。

管理組合がしっかりしているかどうかも、実は物件の価値に繋がるということなのです。

東京都庁

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