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columnNo.2民事信託での財産管理

前回、信託では、委託者が受託者に財産を預け、受託者がその預かった財産(信託財産と言います。)の管理・運用・処分を行なうことをお話させて頂きましたが、具体的にどのように管理・運用・処分を行なうのでしょうか?
主に収益不動産の信託を例にとり、具体的にお話させて頂きます。

財産管理

信託財産は誰の物か?

信託された委託者の財産は、形式上受託者の物となります。
しかし、あくまで、委託者から預かった物であり、信託が終了したら、信託契約等の内容により決められた者へ引き渡さなければなりません。
ところが、委託者から預かった財産と、受託者の固有の財産とが混ざってしまっては、預かった財産がどれなのか分からなくなってしまい、困ったことになってしまいます。

信託財産の分別管理

そのため、信託では、受託者は「自己の固有財産」と「信託財産」を分別管理し、混ざることがないようにすることが定められています。

分別管理の方法は、信託財産ごとに異なっており、例えば収益不動産の場合は、委託者●●名義の不動産を「所有権移転及び信託」の登記で、所有者の名義を受託者××に変更することにより、当該不動産が信託財産であり、受託者として誰が所有しているか分かるようにするよう求められています。

信託財産の分別管理

また、金銭の場合は、その計算を明らかにする方法で分別管理をするよう求められています。
例としては、受託者の固有の銀行口座等とは別の「委託者●●、信託受託者××」と言ったような名義の銀行口座(これを、「信託口座」「信託口」と言います。)を開設する場合が多いと思われますが、金融機関により、開設ができない、または、対応していない場合もあるため、対応可能かどうかは、取引先の金融機関へお問合せ頂くこととなります。

民事信託での財産管理

このように、信託により委託者から預けられた不動産や金銭(預貯金)の名義は、受託者となります。受託者は、自己の名をもって、信託の目的達成のため(多くは受益者のため)に必要な信託財産の管理・運用・処分を行なっていくことになります。

例として、不動産の管理業務のひとつとして、当該不動産の固定資産税の納税がありますが、信託財産となった不動産の固定資産税の納税通知書は、委託者ではなく受託者あてに届き、受託者へ賦課され、受託者の名でもって納税を行なうこととなります。

固定資産税の賦課納税でもお分かりになるように、受託者は所有者と同一として扱われますので、例えばアパートや賃貸マンションなどの収益物件が信託された場合には、受託者は委託者から貸主の地位を引き継ぎ、賃料の回収、通常の経年劣化の修繕、敷金の返還債務の支払いなどの管理を行なっていくこととなります。

民事信託での財産管理への制限

対外的には、不動産信託の受託者は所有者と同一として扱われますが、信託行為の内容により、委託者は受託者の権利を制限することも可能です。

例えば、「信託不動産であるアパートや賃貸マンションなど、共同住宅の維持・保全・修繕は受益者の同意は不要だが、資産価値を増加させるような大規模修繕には受益者の同意を要する」といった内容を信託契約に盛り込むことも可能です。

受託者は、信託の目的達成のために信託財産を信託終了まで預かる者ですので、このように制限をかけることで、真の所有者たる受益者(多くは信託終了後、信託財産を引き継ぐ者)の意見を信託期間中も反映させることが可能となります。

信託財産の管理について、不動産信託を例にとって簡単にお話させて頂きましたが、信託における財産管理について誰が、どのように行なうかイメージを持って頂けましたでしょうか?

次回は、「民事信託での財産運用」についてお話させて頂きたいと思います。

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