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columnNo.3民事信託での財産運用

前回は、委託者が受託者に財産を預け、受託者がその預かった財産をどのように管理していくかお話させて頂きましたが、もちろん、受託者ができることは、信託財産の管理だけではありません。

管理と言うと、信託財産を減らさない、現状維持と言った保守的なものをイメージされる方が多いと思いますが、信託の受託者は、そういった保守的なことだけではなく、信託契約等の内容により、受託者の名をもって、積極的に信託財産を増やすいわゆる「資産運用」をすることができます。

では、信託における信託財産の運用とはどのようなものでしょうか?
分かりやすく金銭を信託した場合と、不動産を信託した場合を例にとってお話させて頂きます。

財産運用

信託財産の運用にあたっての注意点

受託者は、信託契約等の内容の本旨を達成するために、善良な管理者の注意をもって信託に関する事務を行なわなければなりません。

信託財産の管理も同様の注意が必要ですが、管理には、維持という側面が強くあるので、受託者固有の財産の管理方法とそれほど違いはないと思われます。

しかし、委託者から預かった信託財産の運用(株式投資や不動産投資など)となると、やはり管理よりもリスクが大きいため、受託者固有の財産の運用を行なう場合よりもより注意が必要となります。

信託財産の運用1(金銭を信託した場合)

例えば、委託者が自分を受益者として、受託者に1億円の金銭を信託したとします。
受託者は、信託された金銭を信託契約等の内容にしたがって、得られた利益を受益者へ給付することになりますが、その方法は、信託契約等の内容で特に指定のない限り受託者の判断で行なうことができます。

すなわち、受託者は、この1億円を預金し金利を得るのみでなく、預金利息よりも収益率の高い株式を購入することも、投資信託を行なうことも、また、収益不動産を購入することも可能ということです。

このように資産運用した場合には、受託者の手元には、当初委託者が信託した金銭は残っていませんが、これは信託が終了したと言うことになるのでしょうか?
では、信託が終了していないならば、何が信託財産となるのでしょうか?

このような場合は、もととなった信託財産が形を変えたとされます。つまり、信託財産である金銭が株式や投資信託、収益不動産と形を変えて信託は継続し、その形を変えた信託財産からの収益を受益者へ給付するということになります。
このように、受託者は、信託契約の内容を実現するために、信託財産をより収益性の高いものとしていくことが可能となります。

信託財産の運用2(不動産を信託した場合)

また、次は、委託者が自分を受益者として、受託者にアパート、賃貸マンションなどの収益物件を信託したとします。

金銭を信託した場合と同じく、受託者は信託された収益不動産を信託契約等の内容にしたがって、賃料等により得られた利益を受益者へ給付することになりますが、金銭と大きく異なる点は、信託不動産を担保として融資を受けることが可能ということです(これは、運用と同時に、次回お話させて頂く「信託財産の処分」にもあたります)。

すなわち、信託された収益不動産を担保として受託者が金融機関から融資を受け、その融資をもって他の収益不動産を購入することも可能となります。

このことにより、新たに購入した収益不動産からの収益が、融資の利息・元本の返済額等の支出を上回る場合には、結果として得られる収益が当初信託財産のみの運用よりも大きく得られることとなります。

この場合の信託財産は、当初信託された収益不動産と新たに購入した収益不動産となります。
また、融資を受けた金融機関への債務は、信託の債務として受託者が、収益の中から返済していくこととなります。

信託財産の運用2

信託財産の運用につき、金銭を信託した場合と収益不動産を信託した場合を例にとって簡単にお話させて頂きましたが、信託における受託者が行なう信託財産の運用について、イメージをお持ち頂けましたでしょうか?

次回は、「民事信託での財産の処分」についてお話させて頂きたいと思います。

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