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columnNo.21権利証がない!? 万が一の場合の対処法

「金庫に保管しておいたはずの権利証がない。」紛失したのか、盗まれたのかと、権利証が見当たらず、焦った経験をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

また最近では、地面師の偽造文書による成りすましで、大手企業が多額の被害にあったニュースもありますので、不動産を勝手に売られてしまわないか、ご心配になるのも当然です。

今回は、権利証を無くしたときの対処法、及び権利証が無い場合の登記の仕方についてご説明いたします。この機会に一度ご確認いただき、万が一、紛失、盗難が発生した場合でも、落ち着いて対処しましょう。

盗まれたときは、不正登記防止の申出を

不動産の売買、譲渡、金融機関より融資を受けて不動産に担保を設定する等、一定の登記を申請する場合には、登記義務者の確認として「権利証」を法務局に提出する必要があります。

「権利証」とは、登記が完了した後に登記所から買主等の登記名義人に対して交付される書面で、正式には「登記済証」といいます。

現在は、登記申請のオンライン化に対応するため、「登記済証」の代わりに「登記識別情報」が発行されています。もちろん、既に交付された「登記済証」も、これまでどおり利用可能です。

「登記済証」・「登記識別情報」は、重要な書類ですので、保管には十分ご注意ください(以下、便宜的に「登記済証」、「登記識別情報」を合わせて「権利証」と明記)。

万が一、「権利証」を紛失してしまった場合、悪用され不正な登記をされないか心配されると思います。その際に不正な登記を未然に防ぐ手段として、「不正登記防止の申出制度(不動産登記事務取扱手続準則第35条)」があります。

この制度は、「不正登記防止申出書」を法務局に提出することにより、不正な登記を防止することを目的とする制度です。申出をしておけば3ヵ月間、法務局が下記の対応をしてくれます。

① 申出にかかる登記申請があった場合、登記申請があったことを申出人に対して通知する

→申出人が通知を受けたら、裁判所に対して不動産の処分禁止の仮処分の申立などの対策を立てることができる

② 登記申請人に対して出頭を求め、質問をしたり文書を提供させることにより、本人確認(登記申請権限の有無の調査)をする

→登記官が登記申請人の本人確認を行なうことにより、申請された登記が却下されることが期待できる

登記識別情報の失効制度

「登記識別情報」の場合は、不正登記防止の申出制度のほかに失効制度(不動産登記規則第65条)も利用できます。失効とは、発行(通知)されている「登記識別情報」を無効にする、つまり利用できなくすることです。

この失効制度は、不正な登記をされる危険のある場合に限られず、理由は問われません。但し、「登記識別情報」は一度失効すると再発行(再通知)はされないので注意が必要です。なお、「登記済証」を紛失した場合も再発行はされません。

権利証がなくても登記はできる?

「権利証」がないと登記はできないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、以下の代替措置により登記を行なうことができます。

① 法務局からの事前通知による方法

例えば、売買の登記を申請すると、法務局より登記名義人(売主)に対して、登記の申請があった旨、及びその内容について事前通知が発送されます。

事前通知は、登記名義人の住所地にあてて本人限定受取郵便にて送られます。 受け取った登記名義人(売主)が、申請に間違いない旨の通知(実印を捺印)を法務局に対して返送することで、確かに本人が売買登記の申請をしたことを確認し、「権利証」の確認に代えるものです。

② 司法書士等の本人確認による方法

登記の申請を司法書士等の資格者に依頼する場合には、その司法書士等が登記名義人について確認した本人確認情報を提供することで、「権利証」の確認に代えるものです。

また、公証人に本人確認情報の作成を依頼することもできます。

権利証」を盗まれた場合、紛失した場合には、速やかに司法書士等の専門家へ相談し、その後の対応を検討することをおすすめします。

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