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columnNo.23共有不動産の賃貸借について その②

共有不動産の賃貸借について、前回のNo.17では共有している更地を第三者に貸す場合の法律問題についてご紹介いたしました。

シリーズの二回目は、兄弟で共有している更地で、共有者の一人が勝手に立体駐車場を建てて賃貸し、収益をあげているというケースについて見ていきましょう。

共有している更地の活用

兄と共有している更地に、兄が勝手に立体駐車場を建てて賃貸経営を始めた。どうすればいい?

【 事例 】
地方在住のAさんとBさんの兄弟は、2年前に父が亡くなった際に、都心の駅から程近い約100坪の更地を、持分2分の1ずつで引き継ぎました。

ところが、最近、Aさんの知らない間にBさんがこの更地に三階建ての立体駐車場を建て、賃貸経営を始めたということを偶然耳にしました。

AさんはBさんと共同でこの土地を有効活用したいという計画をBさんに持ちかけようとしていた矢先の話だったので、自分に無断で立体駐車場を建てて収益を得ているBさんに腹を立てています。

AさんはBさんに対して、どういったことを主張することができるでしょうか。

共有する更地の土地活用トラブル

立体駐車場を壊して更地に戻せということを請求できるか?

まず、Bさんに対して「勝手に建てた立体駐車場を壊して、更地にして戻してくれ」と主張することが考えられます。

確かに、Bさんが勝手に行なっている立体駐車場経営はAさんの持分権を侵害しているため、Aさんとしては「立体駐車場を取り壊して更地に戻せ」と言うことができそうです。

しかし、最高裁判所の判例によると、今回のような場合であっても、Bさんにも土地の持分に応じて更地を使用して収益をあげる権利があるため、「立体駐車場を取り壊して更地に戻せ」と請求すること(建物収去土地明渡請求)はできないとされています(最判平成12年4月7日)。

したがって、Aさんは、Bさんに対して「立体駐車場を取り壊して更地に戻せ」と請求することは難しそうです。

Bさんに駐車場収入の半分を請求することができるか?

もう少し穏便な方法として、Bさんが駐車場経営から得ている収益について、「土地の持分に応じてAさんにも収益を分けるべきだ」と主張することも考えられます。

例えば、Bさんの立体駐車場経営がかなりうまくいき、駐車場収入が約300万円あることが判明したとします。この場合、駐車場収入である300万円のうち、土地の持分割合2分の1にあたる150万円をBさんに請求することが認められてもよさそうです。

しかし、立体駐車場経営のように「土地から得られる収益を持分割合に応じて返還すべきである」とストレートにうたった判例はありません。

ただし、先ほどの最高裁判例(平成12年4月7日)によると、現に土地を占有していない共有者(本件のAさん)は、持分に応じた使用が妨げられているとして、占有している共有者(本件のBさん)に対して、勝手に占有されている部分の地代に相当する額の不当利得金、または損害賠償金の支払いを請求できる旨が判示されています。

不当利得金、または損害賠償金の支払いを請求できる

つまり、本件土地を第三者に賃貸して得られるべき地代相当額のうち、Aさんの持分である2分の1については、BさんがAさんの許可を得ず不当に得た収入であるとして、AさんはBさんに請求することができるということになります。

したがって、立体駐車場の所有者はあくまでBさんなので、賃料収入である300万円のうち、Aさんの持分割合2分の1にあたる150万円をBさんに請求できるかどうかについては難しいと思われますが、少なくとも本件土地を第三者に賃貸して得られるべき地代の2分の1相当額については、Bさんが不当に得た収入であるとして請求することができることとなります。

まとめ

以上、Aさんに無断で立体駐車場を建て、ちゃっかり立体駐車場経営を行なっていたBさんに対して可能な主張を検討してまいりました。

「立体駐車場を取り壊して戻せ」と主張することや、「土地の持分に応じて収益を分けるべきだ」と請求することは難しいですが、BさんがAさんの持分権を不当に利用して利益を得ていることに着目すれば、Aさんは土地の持分に応じた地代相当額をBさんに請求することができるとされています。

共有土地を無断で使われてしまったケースについてはこのような判例がありますが、もしそのようなことが起こってしまった場合は、すぐに弁護士などの法律の専門家にご相談されることをおすすめします。

法律の専門家に相談しましょう

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