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columnNo.25高齢の方とのアパート賃貸借契約の留意点 ~遺言と死後事務委任契約~

少子高齢化社会が進む現代の日本では、高齢の方が居住用の賃貸住宅を探しているケースは多く、賃貸経営オーナーの方も、そのような方に出会われたこともあると思います。

ひとり暮らしの高齢者と賃貸契約を結ぶ場合

賃貸経営オーナーの方からすると、貯蓄が十分にあり、年金収入もあって、家賃の支払いが滞る心配がなくても、高齢なだけに、万が一のことがご心配になるかと思います。

今回は、そんな、高齢の方とのアパート賃貸借契約の留意点についてお話をさせて頂きます。

賃貸経営オーナー様からの相談

賃貸経営オーナー様から、次のようなご相談を頂くことがあります。

「高齢の方が、今住んでいる賃貸住宅が老朽化で取り壊されることになり、住み替えたいので、賃貸住宅を貸して欲しい。貯蓄も十分、年金収入も十分、何よりもすごく困っているから貸してあげたいけど、その人には親族もいないとのことで、万が一のことがあると心配。どうしたものか?」という内容です。

賃貸住宅を借りている方(高齢者)がお亡くなりになった際は、以下のような心配が生じます。

  •  a. お亡くなりになった方の、お葬式はどうなるか?
  •  b. お亡くなりになった後の、事務処理の手続きはどうすればよいか?
  •  c. お亡くなりになった際の、賃貸借契約はどうなるか?
  •  d. お亡くなりになった後の、賃貸住宅の残置物の処理はどうすればよいか?

これらのご心配を抱えて、その高齢の方と賃貸住宅 賃貸借契約を締結することは難しいと思います。しかし、一方で優良な借主へ貸せる機会を失うということにもなってしまいます。

賃貸借契約に関する実情を専門家に相談

また、借主の方も、賃貸住宅を借りるお金があるのに、こうしたことが心配で賃貸住宅を借りるのを躊躇するという悲しい事態を招きかねません。

では、このようなご心配を取り除くために、どのような法律の仕組みがあるのでしょうか?

遺言と死後事務委任契約

このような場合、私たちからご提案できるのは、「遺言」と「死後事務委任契約」です。この遺言と死後事務委任契約は、前述のようなご心配を取り除くために使えます。

具体的には、

① 実際の葬儀を、生前に頼みたい人と「死後事務委任契約」をしておけば、その人が葬儀の手配から、お亡くなりになった後の各種の事務手続きをやってくれます。こうすれば、上記「a. お亡くなりになった方の、お葬式はどうなるか?」「b. お亡くなりになった後の、事務処理の手続きはどうすればよいか?」という心配は解決します。

② 借主様の財産の処分方法を決めて頂きます。例えば、価値のあるものは、お世話になった方に引き継がせて、価値のないものは遺言執行者に処分(廃棄)してもらうように遺言書を作成します(遺言執行者というのは、遺言の内容を実現する人のことです)。
そうすれば、賃貸住宅の中のものは一切処分できるので、上記「d. お亡くなりになった後の、賃貸住宅の残置物の処理はどうすればよいか?」という心配は解決します。

③ 遺言書で遺言執行者に契約中のものを解約し換価換金の権限を与えることで、遺言執行者において、賃貸住宅の契約も解除でき、上記「c. お亡くなりになった際の、賃貸借契約はどうなるか?」という心配も解決します。

このように、遺言と死後事務委任契約は、貸主様、借主様双方にメリットがあります。

遺言と死後事務委任契約の確認

しかし、人の死後に係るこのような提案を賃貸経営オーナー様からされることには、心理的に障壁があると思います。このような場合には、専門家へご相談をして、専門家から借主様へ説明をいただければ、ご理解されることと思います。

本事案は一例です。個別の事案により対応する法律は変わりますので、実際に遺言書の作成や死後事務委任契約をされる場合は、司法書士、弁護士等の専門家へ相談の上、ご対応をお願いします。

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