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columnNo.5相続税対策の王道~戦略的な生前贈与による相続税対策~

相続税の節税対策として、「生前贈与」があります。今回は、「生前贈与」の概要と注意点、特例をご紹介します。

相続税・贈与税

相続税とは?贈与税とは?

『相続税』とは、亡くなった人から財産をもらったときにかかる税金のことを言います。 では、生前に財産をもらったときにも税金はかかるのでしょうか。

亡くなった人から財産をもらったとき(相続するとき)にだけ税金がかかって、生前に財産をもらったとき(贈与を受けるとき)に税金がかからなければ、不公平ですよね。

そのため、生前に財産をもらったとき(贈与を受けるとき)には『贈与税』が財産をもらった方にかかることになります。

相続税・贈与税

暦年贈与について

暦年贈与とは、毎年1月1日~12月31日の間に、贈与を受けた金額が受贈者(財産をもらう方)1人当たり年110万円までは贈与税が無税となる制度です。110万円を超える部分は、累進的に課税されます。

相続税が課税される方にとっては、暦年贈与を活用して、長期間にわたって多くの人に贈与することにより相続税の節税効果が大きくなります。ただし、相続、または遺贈により財産を取得する者に対する相続開始前3年以内の贈与は、相続財産に加算されるので、相続税を少なくする効果はありません。

なお、孫や子の配偶者などで相続、または遺贈により財産を取得しない者は、相続開始前3年以内の加算はありませんので、贈与日から3年以内に相続が発生しても相続税の節税効果があります。

例)1年の間に父から300万円、母から300万円の贈与を受けた場合

暦年贈与

贈与価額ごとの贈与税額早見表

(20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合)

贈与価額 (万円) 税額 (万円) 税負担率 (万円)
110 0 0.0
120 1 0.8
140 3 2.1
160 5 3.1
180 7 3.9
200 9 4.5
220 11 5.0
贈与価額 (万円) 税額 (万円) 税負担率 (万円)
240 13 5.4
260 15 5.8
280 17 6.1
300 19 6.3
340 24.5 7.2
380 30.5 8.0
400 33.5 8.4
贈与価額 (万円) 税額 (万円) 税負担率 (万円)
500 48.5 9.7
600 68 11.3
700 88 12.6
800 117 14.6
900 147 16.3
1,000 177 17.7
2,000 585.5 29.3

なお、生前贈与を活用している間に相続があったときは、相続開始前3年以内の贈与財産も相続税の対象となります。

相続税

暦年贈与における注意点 (現金、または預金の贈与)

贈与とは、『あげる人』と『もらう人』の双方合意の契約であり、一方の意志だけでは成立しません。相続対策として暦年贈与を活用する場合には、『あげたつもり』では贈与は成立しませんので、以下のように贈与が成立したことを証明できる資料を作成しておくことが重要です。

(1)適正な贈与契約書を作成する

民法上の贈与は口頭による場合でも成立しますが、贈与の内容を明確に書面で記録しておくことが重要です。

(2)贈与の記録に残す

贈与者(財産をあげる人)が受贈者(財産をもらう人)の通帳に振り込む方法が望ましいです。また、それぞれの通帳に「贈与であること」をメモ書きしておきましょう。

(3)通帳・カード・印鑑の管理について、財産をもらう人が しっかり行なう

  • 受贈者(財産をもらう人)固有の印鑑を銀行届出印として作成する。
  • 届出住所も受贈者(財産をもらう人)の住所とする。
  • 通帳等を受贈者(財産をもらう人)が管理する。など

(4)受贈者(財産をもらう人)が自由に財産を使えるようにする

(5)贈与税の申告納付をする

110万円以下の贈与をお考えの場合でも、証拠付けのために、110万円を上回る贈与を行ない、贈与税の申告をしておくのも手です。

贈与税の非課税特例

贈与税については、暦年贈与の非課税枠とは別に、以下のような特例があります。 この特例をうまく活用することで、さらなる相続対策が可能です。

(1)贈与税の配偶者控除(居住用財産)

非課税枠2,000万円

(2)住宅取得等資金の贈与

一般の住宅700万円、優良な住宅1,200万円 (~H32.3まで)

(3)教育資金の一括贈与

受贈者1人につき1,000万円まで

(4)結婚・子育て資金一括贈与

受贈者1人につき1,000万円まで

(5)相続時精算課税制度

特別控除額2,500万円まで

ただし、(5)は暦年贈与制度との選択制で、相続時精算課税制度をいったん選ぶと、それ以降暦年贈与の非課税(年間110万円まで)は使えなくなり、たとえ10万円であっても非課税枠を累計で越えてしまうと、一律20%の贈与税がかかります。

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