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columnNo.19アパート建替え時の税金のポイント
~相続税と所得税の影響を考える~

アパート立替え時の税金ポイント

1. 老朽化したアパートの問題点

老朽化したアパートを所有されている賃貸オーナー様の多くは、何らかの不安や問題を抱えておられることでしょう。老朽化したアパートには、以下のような問題点が挙げられます。

  • ① 空室が増える
  • 老朽化したアパートは、周辺の新築アパート・築浅アパートに比べて商品競争力が低下しているため、空室が長期化する傾向になります。
    長期間空室状態が続いた場合、家賃の値下げ、大規模な修繕・リフォーム等を余儀なくされるため、収入よりも支出が多くなり採算が悪化する可能性が出て来ます。
  • ② 耐震性が低下する
  • 老朽化に伴い、建物の劣化も問題となります。特に、1981年(昭和56年)以前に建てられたアパートの場合、新耐震基準を満たしていない可能性があるため、地震による倒壊のリスクは極めて高くなります。
  • 地震によりアパートが倒壊し入居者様に被害が出た場合、アパートのオーナー様が管理責任を問われるケースもあります。
  • ③ 所得税が増える
  • 老朽化したアパートの場合、減価償却期間が終わっていることがほとんどです。また、借入金の返済も終了しており、経費として計上できる金額が少なくなるため所得税の負担が増加していることでしょう。
  • 特に、相続により親からアパート経営を引き継いだ場合、引き継いだ相続人はご自身が働いて収入を得ていることも多くあるため、所得税の負担が非常に大きくなってしまうケースも少なくありません。
  • ④ 空室が増え、賃貸割合が下がると相続税効果が下がる
  • 貸家の評価 = 固定資産税評価額 × 1.0 ×(1 – 借家権割合 × 賃貸割合)
  • 貸家建付地の評価 = 
    自用地の評価額 -(自用地の評価額 × 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)

ここで重要となるのは、賃貸割合です。賃貸割合100%(空室率0%)であれば、減額効果を十分に受けることができますが、逆に賃貸割合0%(空室率100%)であれば、減額効果を全く受けることができなくなります。

したがって、相続税の節税対策でアパートを建築したにもかかわらず、老朽化により空室が多くなってしまうと、十分な節税効果が得られなくなってしまうのです。

2. 老朽化したアパートを建替えた場合の所得税のメリット

老朽化したアパートは、様々な問題点がありますが、ひとつの対策として、アパートを建替える方法が有効です。特に、所得税でのメリットが高くなります。

  • ① 減価償却費を経費として計上できる
  • 老朽化したアパートは、償却期間が終わっていることがほとんどですが、アパートを建替えることにより、新たな減価償却費が毎年発生し、所得税の負担を減らすことができます。
  • ② 立退料、取り壊し費用を経費として計上できる
  • 建替えに際し、アパートの入居者様に立ち退いてもらうために支払う立退料の他、老朽化したアパートの取り壊し費用も経費として計上することができます。
  • ③ 資産損失(アパートの取り壊しによる損失)した分を経費として計上できる
  • アパートの償却期間が終わっていない場合、その未償却残高は経費として計上することができます。ただし、事業的規模(アパート経営の場合は10室以上など)でない場合は、資産損失計上前の不動産所得の金額を限度として経費計上されます。
  • ④ 損益通算、純損失の繰越し控除ができる
  • アパートを建替えた年は、一時的な家賃収入の減少、前述のような諸経費の増加により、不動産所得が赤字になることもあります。この場合、不動産所得の赤字と給与所得などの他の所得の黒字を損益通算することができます。
  • また、損益通算する他の所得がない場合や、損益通算してもなお、不動産所得の赤字が残る場合、青色申告を行なっている場合に限り、翌年以降3年間損失を繰越すことができます。
老朽化したアパートを建替えた場合の所得税のメリット

3. 老朽化したアパートを建替えた場合の相続税のメリット

老朽化したアパートは、相続税対策効果が低下しているのと同時に、それまでのアパート経営で得た家賃収入が現金として蓄積している場合があります。
そのため、蓄積した現金を使いアパートを建替えることで、相続税の節税メリットを受けることができます。

相続税評価額

上記でも説明しましたが、相続税を計算する際、アパートなどの家屋やその敷地は以下のように評価します。

貸家の評価 = 固定資産税評価額 × 1.0 ×(1 – 借家権割合 × 賃貸割合 )

貸家建付地の評価 = 自用地の評価額 -(自用地の評価額 × 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)

アパートで空室がある場合には、賃貸割合の問題で、相続税の節税効果を十分に受けることができませんが、建替えを行ない、管理会社とサブリース契約を結んだ場合には、例え空室があったとしても、賃貸割合は常に100%となり、相続税の節税効果を十分に受けることができるようになります。

また、現預金の相続税評価額は、例えば1億円の現預金があった場合、そのまま1億円が相続税評価額になりますが、建替えを行ない、現預金を建物(アパート)に変えることによって、評価額を大幅に下げることができます。これは、借入をして建替えた場合でも同様となります。
以下に具体例を示します。

【 具体例 】

老朽化したアパート(固定資産税評価額500万円、賃貸割合50%)を 1億円のアパートに建替えた場合

借地権割合
50%
借家権割合
30%
現預金
1億円

現状

現状
矢印

建替え後

建替え後

上記の事例では、建替えを行なうことにより、相続税評価額を最大で6,975万円圧縮することが可能となります。相続税の節税効果を十分に受けることができると言うことが分かります。

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