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columnNo.24アパートの修繕費を経費計上する際の注意点とは?

アパート経営において、建物の修繕時期は必ず訪れます。

「修繕費」は通常、支払った金額をそのまま経費計上できます。しかし、修繕の内容によっては、一度に経費計上することができないものがあります。

これを「資本的支出」といいます。

今回は、「修繕費」と「資本的支出」の違いをお話ししていきたいと思います。

アパート経営

一度に経費計上できない「資本的支出」とは?

「資本的支出」とは、建物や室内設備のような固定資産の修繕等にかかる費用のうち、その固定資産の使用可能期間を延長したり、価値を高める支出をいいます。

「資本的支出」に該当する費用は、一度に経費計上するのではなく、修繕した資産の耐用年数に応じて減価償却により経費化していきます。

例えば、アパート本体の修繕が「資本的支出」に該当する場合、本体の耐用年数は構造(木造:22年、軽量鉄骨:19年か27年、重量鉄骨:34年、鉄筋コンクリート:47年)により異なりますが、いずれの場合も非常に長い期間で分割して経費化していきますので、1年あたりの経費計上額が非常に少なくなります。

こうした場合、支出負担が大きい割に、所得税や住民税の負担を軽減する節税効果が思うように得られないため、建物の修繕を計画する際に注意が必要です。

アパート経営における「修繕費」・「資本的支出」の区分とは?

アパート経営における代表的な修繕工事は、下記の通りです。

  1. 共用部分の蛍光灯の取替え
  2. 入退去における鍵の交換
  3. 壁紙の張替え
  4. ルームクリーニング
  5. 建具の修理
  6. キッチン、お風呂、トイレの修理
  7. 外壁塗装工事
  8. 屋上防水工事
  9. エアコンの取替え
  10. 給湯器の取替え
  11. キッチン、お風呂、トイレの取替え
  12. 和室から洋室へのリフォーム

このような修繕工事の費用について、下記のフローチャートに示される基準によって、「修繕費」とするか「資本的支出」とするかを判断します。

「修繕費」と「資本的支出」の区分のイメージ

この基準から考えると、上記①~⑧については「修繕費」に該当し、⑨~⑫については「資本的支出」に該当すると考えられます。

但し、「一括償却資産」として3年で均等償却(経費化)するものや、「少額減価償却資産」として一度に経費計上できるものもあります(これらの特例については後述します)。

工事金額の大きい「⑦外壁塗装工事」「⑧屋上防水工事」については、「修繕費」か「資本的支出」かの判断で税務署と見解が異なる場合がありますが、おおよそ10年周期の工事で原状回復(維持)のためのものであれば、全額経費計上になると考えられます。

しかし、例えば、サイディングの外壁をタイル貼りにしたり、トタン屋根を鋼板屋根に変えた場合は、資産価値を高めるものとして「資本的支出」に該当しますので、ご注意ください。

経費計上の特例~「少額減価償却資産」・「一括償却資産」の特例とは?~

アパートで新たな設備を取り付けたり、設備を交換するときは、原則「資本的支出」に該当しますが、一定額以下の費用であれば、全額を「修繕費」として計上できます。

また、経費計上の特例として、費用を3年間で均等に割って経費化したり、支出した年に1度で経費計上できるものがあります。それが、「一括償却資産」、「少額減価償却資産」の特例です。

それぞれの方法は、費用の金額によって次のように使い分けられます。

「修繕費」と「資本的支出」の区分のイメージ

例えば、エアコンの取替え工事で、40万円(5台)を支払った場合、1台あたりの工事金額は8万円で、「10万円未満」になりますので、全額経費計上できます。

また、給湯器の取替え工事で、90万円(5台)を支払った場合、1台あたりの工事金額は18万円ですので、青色申告者であれば、「少額減価償却資産」として全額経費計上できます。

青色申告をしていないならば、「一括償却資産」として、3年間に分けて、毎年6万円(5台合計30万円)を経費計上することになります。

このように、一口に修繕と言っても、工事内容や工事金額によって税務上の取扱いが異なっており、所得税・住民税の納税額に大きな影響が出てきます。

節税対策を考えるならば、工事業者にできるだけ工事内容を細かく分けて明細書を作成してもらい、1つ、または1組の工事金額を少なくすることが大切です。そうすることで、修繕工事の費用を一度に経費計上可能になり、所得税・住民税の負担を軽減することができます。

以上の点を考慮頂き、計画的に修繕を行なっていくと良いと思います。

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