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columnNo.26生産緑地2022年問題とは? ~都市農地が一気に宅地化する!?~

土地活用のなかでも「農地」を今後どのように活用するのかが大きな問題となっています。

今回は生産緑地制度の内容と、改正のポイントを中心に解説いたします。

生産緑地

生産緑地とは?

生産緑地とは、1972年に制定された「生産緑地法」に基づき指定された農地のことをいい、市街化区域内の農地のうち、農地として残すことが必要であるとの要望に応えるために導入された制度です。

生産緑地の概要を図にすると以下のようになります。

生産緑地の概要図

また、生産緑地の指定条件としては、以下のようなものがあります。

500㎡以上の一団の農地であること
権利者全員の同意があること
用排水等をはじめとする農業継続可能な条件が備わっていること
農林漁業と調和した都市計画を守る緑地機能を持っていること

「生産緑地の指定」を受けると、営農(農業を経営すること)義務が生じますが、固定資産税は純農地課税となり、生産緑地でない市街化区域内の農地と比べて大幅に安くなります。

農地の固定資産税をまとめたものが以下の表となります。

区分 評価方法 課税方法 税額(10a)
一般農地 農地評価 農地課税 千円
市街化区域農地 生産緑地 数千円
一般市街化
区域農地
宅地並評価 農地に準じた課税 数万円
特定市街化
区域農地
宅地並課税 数十万円

このように、生産緑地に指定された市街化区域農地については、固定資産税が非常に安くなることが見てとれます。

2022年問題とは?

現在、生産緑地の指定を受けている農地は、平成3年の生産緑地法の改正を受け、平成4年に生産緑地の指定を受けたものが多いと考えられています。

平成4年に生産緑地の指定を受けてから30年を経過する平成34年(2022年)以降に、生産緑地を市区町村に対して買取りの申出ができるようになりますが、市町村は財政負担が難しいという事情等から、買取りはしないケースがほとんどと言われています。

その場合には、生産緑地が解除され、解除された農地を売却したり活用したりできるようになります。

2022年以降、一斉に買い取りの申出が行なわれた場合、生産緑地の指定が解除されると共に、不動産市場に大量の売却物件が供給され、値崩れが起こる可能性があります。

このように不動産市場が大きく変動することが問題視されており、このことを2022年問題と呼んでいるのです。

生産緑地の買取申出制度について

生産緑地の指定を受けた農地は、次のような事由が生じた場合には市町村に対して買取の申出を行なうことができます(生産緑地法10条)。

生産緑地地区指定から30年経過
主たる従事者(※)の死亡
主たる従事者が農林漁業に従事することを不可能にさせる故障(事故や病気等)

上記のような場合には、市町村に対して買取の申し出をしますが、先ほど説明した通り、市町村が買い取るケースは少ないため、生産緑地の解除になることが多いと予想されています。

※「主たる従事者」とは、「農業に専業従事する者」、または「農業に兼業で従事する者で、その者が従事することができなくなった場合、客観的に見て農業の継続が不可能となる者」のことを言います。

生産緑地法の改正について

平成29年5月12日に生産緑地法の一部改正を含む「都市緑化法等の一部を改正する法律」が公布され、平成29年6月15日(一部の内容は平成30年4月1日)より施行されています。

改正の内容は、以下のようになっています。

生産緑地の指定を受ける面積が、市町村の条例で300㎡を下限に面積要件を引き下げることが可能となりました(従来は500㎡以上)。
生産緑地地区内で、直販所や農家レストラン等の設置(建築)が可能となりました(従来は農産物の生産又は集荷の用に供する施設等)。
「特定生産緑地」が創設され、生産緑地の指定を10年ごとに延長できるようになりました。

上記のような改正により、生産緑地の宅地転用に歯止めをかけ、生産緑地の維持を図ろうとしているのです。

まとめ

2022年以降の生産緑地をどのようにするかの選択肢としては、以下の3つが考えられます。

特定生産緑地の指定を受ける(10年毎の更新制度)
⇒固定資産税は安いまま
生産緑地解除後も農業を継続する
⇒固定資産税が宅地並み課税で大幅に上昇する(5年間で段階的に上昇し、最終的に宅地並みの課税になる)
生産緑地指定を解除し、売却または土地を活用する
⇒売却をする場合、2022年問題による土地売買価格の値崩れが懸念される。

農業従事者が大幅に減少している昨今ですが、農地をどのように活用するかは今後の大きな課題となっています。

また、市街化区域農地の相続税評価額は、一般の宅地と同様の評価額となっており、生産緑地についても更地価額の95%と相続税の負担が大きいことから、生産緑地を含む市街化区域農地については、相続税対策を検討しておく必要があります。

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