税法上の所得は、実際の収益(現金収支)とは異なります。実際の収支は、家賃・共益費・駐車場料金などによる年間収入から、元金返済、及び実質経費を差し引いたものとなります。
これに対し、税法上の所得は年間収入から実質経費、及び減価償却費、専従者給与を含んだ税務上の必要経費を差し引いたものが、不動産所得となります。ここでのチェックポイントは、いかに「税務上の必要経費」を増やし、不動産所得を減らすかにあります。
税務上の所得計算では、リース建物が経年変化により損耗する減価部分を費用化する減価償却費が、必要経費として認められています。減価償却費は、建築費を耐用年数(構造・用途により、年数が定められている)に応じて、毎年の経費に計上するというものです。この減価償却費は、リース建築経営による所得税を低減する上で、きわめて重要となります。
■減価償却の対象となるものは、下表の通りです。 | 定額法 | 定率法 | |
---|---|---|---|
建物 | 本体建物 | ○ | × |
建物附属設備 | 本体から取り外せない設備 (電気、ガス設備、エレベーター等) |
○ | × |
構築物 | 本体とは付着していない築造物 (フェンス、舗装、植栽等) |
○ | × |
器具備品 | 本体に付着せずに単独で使用できる備品 (エアコン、消火器、物置等) |
○ | ○ |
減価償却費の計算方法には、定額法と定率法があります。定額法とは、毎年一定額の償却費を計上するものです。これに対し、定率法は毎年一定率の償却費を計上するので、返済当初の償却費が多くなり、年を経るに従い少なくなります。最終的な償却費累計はどちらも同じですが、定率法を併用して早期に償却費を多くしたほうが、当初の不動産所得を減少(または赤字化)させることができ、他に多くの所得がある場合には経営上有利です。
リース建築経営の不動産所得は、給与所得など他の所得と合わせて課税される(総合課税)ことになっています。つまり、累進課税により、所得が多い程、課税率が高くなります。したがって、給与所得のあるサラリーマンの方は、減価償却費で不動産所得を赤字にして給与所得と合算(損益通算)すれば、総所得金額が減少して給与で源泉徴収された税金が還付され、たいへんメリットが大きくなります。