建築施工マニュアル


1.土工事
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  [1] 工事の範囲
    土工事の範囲は主として、敷地の整地、根切り、山留め、埋め戻し、盛土、地ならし及び建設発生土の処分などとこれら工事の実施に附帯するものも含む。あらかじめ地盤調査をしてどのような工法を用いるか綿密な施工計画を立てることが必要である。
 
  [2] 施工計画書の作成方法
    災害、公害の防止の為に、工程表、山留めの工法、根切りの工法、残土の処理方法、のり勾配、並びにのり面の養生方法、排水計画、埋戻し土の種類・方法、安全管理対策、公害対策、品質管理などの確認方法などについて、施工計画書を作成すること。


 
  [1] 測量機器
    一般的な測量機器には、トランシット、レベル、鋼製巻尺、下げ振り、墨つぼ、さしがね、スタッフ、コンベックスなどがある。
 
  [2] 鋼製巻尺
    鋼製巻尺は、JIS B 7512に規定されている1級のものを使用する。
通常は工事着手前にテープ合せをし、同じ精度を有する巻尺を2本以上用意して、1本は基準巻尺として保管しておく。

 
 
トランシット使用中
左レベル ・ 右トランジット
スケール


  [1] 敷地の状況確認
    敷地境界の確認。
    地下埋設物などの確認。
    現状及び騒音・振動の影響と敷地周辺の状況の確認。

  [2] 遣り方
    縄張り…………… 建築物の位置や道路、隣接建築物との関係などを確認する。
    ベンチマーク …… 正確に設置し、移動のないようにその周囲を養生する。通常2ヵ所以上に設け、相互にチェックできるようにする。


 
縄張り

ベンチマーク

  [1] 土砂崩壊防止
    周囲の状況、土質、地下水の状態などに適した工法とし、土砂が崩壊しないよう関係法令などに従い適切なのりをつけるか、又は山留めを設ける。

 
建築基準法施行令第136条の3


  [2] 根切り深さ
    根切り深さは、割り栗石などの突固めによるくい込み量(突しろ、突べりは、土質などにより0~30mm位まで)を見込んだ深さとする。

  [3] 機械掘削の注意
    機械掘削で、根切り底の地質が乱される恐れのある場合は、最終仕上げを手堀りで行う。

  [4]

根切り深さの検査

    深さの確認検査は、レベルを用いたり、遣り方に水糸を張り、スケールを用いるなどして行う。

 
根切り

地 業

  [1] 排除方法
    工事に支障を及ぼす雨水、湧水などは適切な排水溝、かま場などを設け、ポンプなどにより排除する。
集水ますは、図1の様に基礎に影響を与えない場所に設ける。

 
 
集水舛の位置

 

【 ポンプ 】
  [2] 注意事項
   

上部構造の応力を地盤に伝える為に設けたフーチング基礎やべた基礎、スラブ下の地盤は、地下水で乱してはならない。

  [3] その他排水工法
    その他排水工法は、ディープウェル工法、ウェルポイント工法及びバキュームディープウェル工法があり、工法は排水の実施位置及び必要とする揚水量などを考慮し決定すること。

 
  [1] 締固め
    締固めは、川砂及び透水性のよい山砂類の場合は水締めとし、透水性の悪い山砂類及び、粘土質の場合は、まき出し厚さ300mmずつローラ、ランマーなどで締固めながら埋戻すのが原則である。

  [2] 余盛
   

埋戻し及び盛土には、土質による沈みしろを見込んで余盛りを行う。

  [3] 材料
    埋戻し土には、腐食土や粘性土の含有量が少なく、透水性のよい砂質土を用いるのがよい。
尚、表層をリサイクル砕石などで敷き詰めて、路盤を先造りしておくこと。

 
埋戻し

  [1] 建設発生土の運搬
    建設発生土の運搬は、「土砂等を運搬する大型自動車による交通事故等に関する特別措置法」に基づき、地方運輸局、陸運支局の許可を受けたトラックとする必要がある。

  [2] 計画書の作成
   

『廃棄物の処理及び清掃に関する法律』並びに各地方公共団体による規制・指導に基づき建設発生土処理計画を作成し、適切に処理すること。

 
残土搬出

  山留めは、根切り周囲の地盤の崩壊や土砂の流出を防止する為の仮設物である。

 
労働安全衛生規則第368~375条

 
【鋼製矢板方式】

  [2] 図2・表1の工法より、総合的に検討した上、適切な工法を選択する事。
建築工事で多用される山留めの種類(山留め設計施工指針より)
 
山留め壁



既製矢板方式


親杭横矢板壁(H形・I形)
鋼製矢板方式

トレンチシートパイル壁(軽量・簡易鋼矢板)
鋼矢板壁(U形・Z形・H形)
鋼製矢板方式

場所打ち方式

柱列山留め壁

場所打ち鉄筋コンクリート柱列山留め壁
既製コンクリート柱列山留め壁
鋼管柱列山留め壁
ソイルセメント柱列山留め壁

連 続 地 中 壁 場所打ち鉄筋コンクリート地中壁
  プレキャストコンクリート板地中壁
(泥水固化系)

 
使用条件と山留め壁の選択基準の目安(山留め設計施工指針より)