建築施工マニュアル


1.シート防水
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一般事項
  常に作業に適した服装、装備で、安全保護帽の着用を徹底する。
  資材の落下、墜落防止に留意し、必要な安全対策を講じる。
  プライマー、ボンドなど溶剤型材料を使用の場合は、有機溶剤による中毒症状を起こさぬよう、換気に注意する。また塗布作業中は火気厳禁とする。
  絶えず作業場の整理整頓に注意し、関係者以外は立ち入り禁止とする。


 
標準仕様
 
 <シート防水 屋上陸屋根>
 シート防水の標準仕様書です。
  [ シート防水:屋上陸屋根 標準施工仕様書 ]


 
材料
  [1] 防水シート            …… 合成高分子系ルーフィングシート(合成ゴム、塩化ビニル樹脂)
  [2] プライマー(特殊合成樹脂) …… 下地処理材
  [3] ボンド               …… 下地とシートの接着
  [4] テープ(非加硫ゴムテープ) …… シートの接着部や張り仕舞い部端末に使用
  [5] 捨て張りシート         …… 複雑な形状、納まり部、役物廻りの捨て張りとして使用
  [6] 押え金具(アルミニウム)   …… シートの張り仕舞いの端末押え用
  [7] カバーペイント(アクリル樹脂) シートの保護塗料(シルバー仕上げ)
  [8] コーキング(不定形シーリング材、プチルゴム)

 
 
【防水シート】


【押え金物】
【コーキング】
作業管理
  [1] 材料の保管及びチェック
    1. 損傷のないように留意する、又雨に濡れないようにする。
    2. プライマーは、火気に留意し直射日光に当てないよう注意する。
    3. 材料のロット、製品番号を確認する。

  [2] 下地面の確認
    1. 下地の亀裂、凸凹、異物の有無。
    2. 充分に乾燥しているか

  [3] 作業環境条件
    1. 天候に注意する。(晴れた日が望ましい。)
    2. 作業場は採光、照明、換気に注意し、他業種の工事と重ならないようにする。
    3. 日没前に作業を終了し、日没後の作業は行わない。

 
  [4] 副資材の塗布作業
    1. プライマー、ボンド、カバーペイントは使用直前に開缶し、十分にかくはんしてから使用する。(薄めて使用しないこと)
    2. プライマー、ボンドの塗布に際しては、所定の塗布量と指触乾燥時間を守り、ムラのないように塗布する。
    3. ボンドは接着面両面に塗布し、当日施工する部分のみ塗布して粘着力のあるうちに後工程の張りつけ作業を行う。
    4. 溶剤型の材料は、必要以上に使用してシートを膨潤させないように注意する。

 
  [5] 施工の中断及び中止
    1. 施工時の天候が、降雨、又は降雨が予想される場合、もしくは降雨で下地が乾燥不足の場合は、施工を中断する。(下地の乾燥不足は、シートの接着不良になるので十分注意する。)
    2. 強風、高温、高湿など気象条件が悪く、施工や安全上支障がある場合は施工を中断する。
    3. 外気温及び下地の温度が5℃以下で、防水下地とシート間などの接着が妨げられる恐れがある場合は、施工しない。

 
  [6] 養生
    1. 作業周辺は、飛散などにより汚れないようにあらかじめ養生する。
    2. 火花の散る恐れのある溶接溶断の作業や、グラインダーがけの作業をする時。
    3. ネコ車などの運搬車や脚立などを使用し作業をする時。
    4. 左官、塗装、配管作業をする時。
    5. 鉄材、機器類の運搬又は取り付け作業をする時。


施工手順(管理ポイント)
  [1] 下地の確認、清掃
    1. 下地面は目違い、凸凹、段差のないこと。
    2. 勾配は所定通りに下地で確保してあること。
    3. 入隅は直角であること、出隅は通り良く面取りとすること。
    4. ドレンなどは、防水施工に適したもので下地に強固に取り付けてあり、錆、欠損がないこと。
    5. 下地を清掃し、塵、泥土などを充分に除去し、乾燥状態にあること。
 
防水下地モルタル

  [2] プライマー塗布
    1. プライマーは充分に攪拌し、ローラー、ヘラ、刷毛などを用いて下地にむらなく均一に塗布する 0.2kg/㎡。

 
  [3] 役物廻りの処理
    1. ドレン、出隅、入隅、配管などの取り合いは、増し張り(捨て張り)シートで補強する。
    2. シートを切断しないと下地に成型できない時も増し張りを行う。
    3. 大屋根への立上がりは、屋根面まで400mm以上立あげること。

  [4] ルーフィングシートの位置決め(墨出し)
    1. 墨出しをしてルーフィングシートの張る位置を決める。
    2. 割付は原則として「水しも」側から行ない、役物などの納まりの複雑な箇所にはなるべくシートの接合部がこないように配慮する。
    3. シートの4枚重ねが生じないように千鳥に張ることを考慮する。

ドレン廻り
  [5] ボンド塗布
    1. プライマーの指触乾燥後、ボンドを充分かくはんし、ローラー刷毛などを用いて下地面及びシートにむらなく均一に塗布する。( 0.2~0.5㎏/㎡。)

 
  [6] ルーフィングシート張付け
    1. ボンドの指触乾燥後、シートを勾配に対して直角に「水しも」側から敷設する。
    2. シートは空気を巻き込んだり、シワを作らないように注意しながら、過度に引っ張らないように丁寧に張りつける。
    3. シートとシートの重ね幅は100mm以上とする立ちあがり部で接合する場合の接合幅(横ライン)は、150mm以上とする。
    4. シートの接合部及び張り仕舞い部端末には、接着テープを挿入して張りつける。
    5. シートの3枚重ね部(シートとシートの段差)には2枚重ねの段階でコーキングを適量打設する。
    6. シート張付け後、全面にわたりローラー転圧作業を行ない、肉眼により接着面のウキ、フクレ、ハガレ、シワなど不具合箇所のないことを確認する。

重ね幅

  [7] シート端末処理
    1. 剥離防止の為、シート端末を押え金物でビス止めする。
    2. 金具端末及びビス上にコーキングを適量打設する。
    3. その他、ドレン、役物廻り、増し張り部分など、コーキングを施す方が適切と考えられる箇所には、防水補助材としてコーキングを適量打設する。

【端末処理】

  [8] 保護仕上げ塗装(シルバー仕上)
    1. 塗装するシート面をきれいに清掃し、水分、塵などを除去し、防水層の不具合がないか点検する。
    2. 点検後、カバーペイントを充分にかくはんし、ローラー刷毛を用いてシート表面に均一にむらなく塗布する。
    3. 塗装後は、養生の為2日以上立ち入り禁止とする。
シルバー仕上

報告
  業者は防水工事完了後3日以内に会社指定の「防水工事施工完了報告書」を作成し提出する。(※使用材料の数量確認をする)
  報告(提出)後、すみやかに社内検査を実施する。