建築施工マニュアル


4.土留め
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  土留めは土を留める為の構造体であるが、表面の仕上、適切な配置計画により、高級住宅としてのイメージを高めることが出来る。また、使用場所、使用用途によりCB積、既製品デザインCB積など計画によって組み合わせて使用するなど工夫して使用するのが望ましく、以下の4点に注意して施工すること。

    1.

日本建築学会編「壁構造関係設計基準・同解説」に従い施工する。

    2. 施工管理については、建築施工管理技師、ブロック建築技能士、ブロック工事士などが指導する施工業者に依頼する。
    3. ボーダー(笠木)の施工については積上げたブロックの天端に、モルタルを十分付着させ、その上に笠木を付着させ、完成時にはしっかり固定されている事を確認する。


 
【ブロック】
  [1] コンクリートブロック積(化粧ブロック含む)
空洞コンクリートブロックC種普通又は防水のものを使用する。(JIS:A 5406)
コンクリートブロック積の場合、素地仕上は厳禁で、必ず下記のいずれかの仕上を施さなくてはならない。 化粧ブロックについてはこの限りではない。
    A : モルタル刷毛引
    B : 吹付けタイル(下地モルタル刷毛引)
    C : タイル貼り(50角、100角)
 
[2] 鉄筋 : JIS G3112(鉄筋コンクリート用棒鋼),JIS G33117(鉄筋コンクリート用再生棒鋼)に規定するSD295A、SDR295以上の品質を有するものを使用する。
[3] 目地詰め : 化粧ブロックは積んだ状態で仕上となる為、縦目地は突合せ(突き付け)が一般的であるが、1mm~2mm隙間が生じる事があり、この場合隙間が目立つ場合は目地詰めを行う。
 


 
  [1] 積上げ高さ
    1.

塀の高さは2.2m以下が望ましく、高さは地盤面より測り、地盤面に高低差のある場合は低い方より測る。

    2. 塀の厚さは、高さ2m以下の場合は12cm以上、2mを超える場合は15cm以上とする。
    3. 側溝に接した塀の高さ及び根入の深さは、側溝の底面より測り、使用する側溝がJIS A5305(鉄筋コンクリートU形)の規格に適合するものを使用する場合は、その上面より計測する。 (図1塀の高さの測り方参照)

 
 
堀の高さの測り方
(a) (b) (c)
敷地の内外に高低差のある場合
JIS規格によるU形側溝のある場合
簡易な側溝のある場合

  [2] 基礎の形状と塀の高さ
    1.

塀の高さは、表3に示す布基礎の標準形状の種類に基づき、布基礎、控壁、控柱の根入れ深さ、及び地盤の性質に応じて、表1より表2に示す数値以下にすること。

    2. 地盤の含水比が高く締め固めが困難な軟弱土の場合、表1及び表2に示す塀の高さは、それらの表の普通土の場合の数値より20cm以上減じること。
    3. 地盤が液状化のおそれのある砂質土の場合、布基礎の形状はT形とし、上記2の数値を適用する。

 
 
標準形布基礎を有するブロック塀の高さ (単位:㎝)


標準形布基礎より根入れを10㎝増したブロック塀の高さ (単位:㎝)

 
布基礎の形状および標準寸法

 
鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さ

 
 
塀の布基礎の標準形状

記号 Df  :  根入れ深さ B  :  基礎スラブの幅
  D  :  布基礎のせい e  :  基礎スラブの厚さ
  b  :  立上り部分の幅 t  :  ブロック壁体の厚さ
  s  :  基礎スラブの張出し幅    

  [3] 基礎の構造
    1.

塀の下部には、塀を安全に支持しかつ連続する鉄筋コンクリート造の布基礎を設けること。

    2. 控壁・控柱及び門柱の基礎は、塀の基礎と一体とする。但、門柱の基礎で塀の基礎と連結できない場合は、水平荷重に対して安全であるようにする。
    3. 塀の布基礎の形状・寸法・根入れ深さなどは、表3および図2に示す数値以上にすること。
    4. 控壁・控柱の基礎底面形は、控壁・控柱の断面以上とし、かつ表4に示す鉄筋の必要かぶり厚さを満たすこと。
    5. 布基礎には型枠ブロックを使用することが出来、その場合、型枠ブロックは防水性能を有するものとし、打ち込みコンクリートの厚さは塀の厚さより3cmをひいた数値以上とする。


 
  [1]
    1.

塀の高さが、1.2m(コンクリートブロック塀設計基準3条及び5条の適合する場合は1.6m)を超えるものは、塀の長さ3.4m以下ごとに、基礎ならびにブロック塀に接着する控壁、控柱を設けること。(図3参照)


 
 
控壁・控柱の配置
 
(イ)
地盤が普通土の場合
(ロ)
地盤が良質土の場合
(ハ)
地盤に関係ない
(ニ)
地盤に関係ない
(a)控壁のない塀の高さ


(b)控壁の間隔


    2. 塀は原則として、長さ50m以下ごとにエキスパンションジョイントを設けること。(図4参照)
 
控壁・控柱の配置
 

    3.

塀の端部より80cm以内は控壁、控柱などで補強すること。(図4参照)

    4. 塀が交差する場合は、その交差角度が塀の直角方向に対し45°以下でかつ交差角度により塀の長さが最少40cmから60cmある場合は控壁と同などとみなす事が出来る。
    5. 同一面で高さが異なる塀の構造は、高い塀の長さが塀の長さの過半を超える場合は高さが高い方の規定によるものとし、かつ高さが変化する部分は、縦横ともD13以上の鉄筋で補強すること。
    6. 透かしブロックは、縦筋が挿入できる形状のものとし、2個以上の連続、塀の最上部・最下部および端部に配置しない。
    7. 笠木ブロックは、縦筋が壁頂横筋にかぎ掛けされ、または空洞部内に定着できる形状とする。
    8. 塀は土に接して設けないこと。但、土に接する部分の高さが40cm以下でその部分の耐久性、安全性を考慮した場合は、この限りではない。
  [2] その他
    1.

既設の塀には、上部に増設計画がある場合を除き、増積みしないこと。

    2. 既設の塀に連続して塀を増設する場合、増設計画がある場合を除き原則として接合部をエキスパンションジョイントとする。
    3.

鉄筋コンクリート造などの高さ1m以上の擁壁の上部に塀を設ける場合、その高さは1.2m以下とし、擁壁の高さが1m未満の場合には擁壁下部の地盤面より2.2mまで塀を設けることができる。塀は擁壁の施工と連続して行ない、縦筋を擁壁に十分定着させ、やむを得ず後施工になる場合は、縦筋の養生を十分行うこと。

    4. 塀には原則として開口部を設けないこと。但、開口幅の狭い出入口などで安全上支障のない構造とした場合はこの限りではない。
    5. 既設塀の上部には、屋根・工作物などを設けないこと。


 
  [1] ブロック
    1.

塀に挿入する縦筋および横筋は、D10以上の鉄筋とし、その縦筋間隔は表6に示す数値以とし、横筋間隔は80cm以下とする。

    2.

横筋は横筋用ブロック内に配置し、壁頂には横筋を挿入する。

    3. 横筋は、堀端部において控壁、控柱および門柱に定着する。
    4. 縦筋は、ブロックの空洞部内で重ね継ぎをしない。
    5. 塀の縦筋は基礎に定着するほか壁頂横筋にかぎ掛けするか、壁頂の空洞部内に定着させる。
    6. 控壁の縦筋および横筋は、D10以上の鉄筋とし、横筋は間隔80cm以下とし、縦筋にかぎ掛けすること。外側部の縦筋は、表5に示す数値以上とする。

 
 
控壁の配筋

 
ブロック塀の縦筋間隔

 
  [2] 基礎
    1.

塀・控壁および平門柱の布基礎は、D10以上の主筋を配置した複筋梁とする

    2. 塀の布基礎は、D10以上のあばら筋を50cm以下の間隔で配置し、主筋に180°フックでかぎ掛けとする。
    3.

基礎スラブ部分のベース筋はD10以上の鉄筋を50cm以下の間隔で配置し、その先端にD10以上の配力筋を配置する。

    4. L形基礎におけるあばら筋およびベース筋は、D10の鉄筋をL形に曲げ配筋することができる。
    5. 控柱・門柱の主筋は基礎に定着させる。
    6. 控壁・控柱および門柱の基礎と接合する塀の布基礎の主筋は、通し配筋とするか、基礎に定着させる。

 
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