東建の特許技術/耐震性・制震性・遮音性では、弊社が取得した建築にかかわる5つの特許技術をご紹介します。賃貸住宅で快適な暮らしを送るためには、地震や騒音への対策が欠かせません。特に地震大国・日本では、強い地震に備えた建物の対策(耐震・制震)は不可欠。
そのため、東建コーポレーションでは、入居者様と賃貸住宅を地震災害から守るための技術開発に加え、工期短縮やコスト削減を可能にする建築技術を開発し、特許を取得しています。
さらに、室内外の防音(遮音)技術によって騒音を低減し、高い遮音性を備えた居住空間を実現する技術についても特許を取得しました。入居者様の安全・安心な暮らしを支え、オーナー様の賃貸経営を長期にサポートするために、弊社はこれからも建築技術の研究開発に邁進します。
「アウトウォール工法」とは、地震の揺れから建物と入居者様の安全を守るための耐震構造のひとつです。また、室内に耐力壁を配置しなくても耐震性が保たれるため、間取りを自由に変えられる工法になっています。
高耐力フレーム(赤色の部分)を建物の外側に二重に配置した全体イメージです。
これにより、高い「耐震性」を誇ると共に、出っ張りのないすっきりとした室内空間を確保することができます。
耐震の原理は、トラックのダブルタイヤのようなイメージです。積載重量が大きいトラックは、2本のタイヤにより重い積み荷をバランス良く支えています。
この原理を応用し、建物の外側に二重(ダブル)の「高耐力フレーム」を設置しているのが「アウトウォール工法」の特徴です。
アウトウォール工法は
トラックのダブルタイヤの原理と同じ
従来の間取りは室内にある柱や梁の出っ張りにより、スペースが狭く感じたり、ベッドや家具を上手く配置できず、デッドスペースができたりするといったことがありました。
しかし、建物のまわりにバランスよく高耐力フレームを配置することで室内空間の出っ張りをなくし、すっきりとした住空間を実現。アウトウォール工法を採用した賃貸住宅であれば、室内に耐力壁がなくても耐震性は変わらないため、入居者様のライフスタイルの変化に合わせて、間取りを変えるような大規模なリフォームにも対応可能です。
地震の揺れを抑える技術のひとつが、東建コーポレーションが自社開発した「制震フレーム」です。
粘弾性ダンパーが地震の揺れを吸収することで揺れを軽減。また、柱や梁の損傷を防ぎます。
「粘弾性ダンパー」とは、高分子ゴム(粘弾性体)を2枚の鋼板に接着させて挟んだもの。「粘弾性体」とは、速度をゼロに保つ粘性体と変形をもとに戻す弾性体、それぞれの性質を合わせ持ったものです。
地震による外力が発生すると2枚の鋼板が平行移動し、高分子ゴム(粘弾性体)が振動エネルギーを吸収して、建物の揺れを低減する仕組みになっています。
建物の骨組内に取り付けられた制震フレームが地震エネルギーを吸収し、家具などの転倒を防止すると共に、柱・梁の損傷を防ぎます。制震フレームは揺れがおさまるともとに戻るため、取り替える必要がありません。
制震フレームの性能については、実験でも検証されています。早稲田大学理工学部建築学科の曽田研究室にて震度7相当の揺れを再現し、制震フレームの性能についての実験を実施。
その結果、揺れの大きさが50%以上低減されることが確認されました。実験結果から、制震フレームの性能の高さを証明しています。
「制震フレーム」 を設置した建築中の賃貸物件
高耐力フレームと「制震フレーム」をバランスよく配置することで、地震による揺れを軽減。震度6強の揺れを震度4程度へ低減でき、家具などの転倒を防止します。
「壊れない家」から「揺れない家」へと進化し、より安全性の高い生活が可能です。
固定していない重い家具が移動、転倒する。戸が外れて飛ぶことがある。
つり下げ物は大きく揺れ、棚にある食器類は音を立てるが重い家具などは、ほとんど倒れない。
高耐力フレームと「制震フレーム」を設置した建築中の賃貸物件
高耐力フレーム(左)と制震フレーム(右)
従来の基礎工事は、職人が1本1本結束した鉄筋に型枠を使用してコンクリートで覆う「鉄筋コンクリート基礎工法」により行われます。しかし、高度な技術が求められるため、職人の確保や施工精度の均一化への対応が必要です。
そこで、高耐震鉄骨造アパートの基礎工事の精度向上を図るため、「鋼管杭」の上に「鉄骨地中梁」を設置し、コンクリートで固める工法「TC基礎工法(鉄骨地中梁基礎工法)」を名古屋工業大学と共同で開発しました。
「TC基礎工法(鉄骨地中梁基礎工法)」は、基礎工事で鉄筋を組む必要がないため工期が短いだけでなく、施工者の技量に左右されずに基礎工事の精度を高められます。
また、「鋼管杭」は東建のグループ会社であるナスラックが独自に開発した地中に打ち込む杭で、「鉄骨地中梁」と連結することにより、残土処理や施工時の養生期間も必要ないことから、工期短縮に加えてコストダウンも実現。さらに、地盤の弱い土地への対応も可能です。
「TC基礎工法(鉄骨地中梁基礎工法)」の性能については、名古屋工業大学との共同開発の際に行った実験でも検証されています。鉄骨にコンクリートを覆った地中梁は、鉄骨だけの状態と比べて耐震性能が何倍にも上昇することが判明。この方法を使えば、安全で耐震性の高い賃貸住宅を造ることが可能となりました。
また、工場で生産した鉄骨を現場で組み立てることができるため、工期の短縮につながります。
※建築技術にかかる任意評価とは、建築物の工法等の性能に
ついて、建築基準法、品確法の基準、及びその他技術基準を
用い、その分野の専門とする学識経験者によって審査・評価を
行うもの。
TC基礎工法(鉄骨地中梁基礎工法)による建築中の賃貸物件
「TKS-55(東建高遮音床-55システム)」は、東建コーポレーション独自の高遮音床で、木造2×4工法のアパートに採用しています。2階の床下に設置した「防振ダンパー」や「防振吊木」などを組み合わせることで、床の振動を低減。「防振ダンパー」は床からの音や振動を吸収し、「防振吊木」は1階に伝わる衝撃を抑える役割があります。
「TKS-55(東建高遮音床-55システム)」は、木造アパートで最高レベルの遮音性能「LH-55」を実現(LHとは重量床衝撃音のことで、床を通って階下に伝わる床衝撃音のひとつ)。「LH-55」は、上階の歩行音などに対する鉄筋コンクリートスラブ厚200ミリ相当(分譲マンションと同等レベル)の遮音性能を持っています。(国土交通省が指定する公的機関(財)建材試験センターでの測定結果)。2階からの音や振動を大幅に低減できるため、入居者様に快適な住環境を提供できます。
「TKS-55(東建高遮音床-55システム)」を上回る遮音床の「TKS-50(東建高遮音床-50システム)」も特許取得しています。「TKS-55」に比べると約1.8倍の防振ダンパーを使用し、「LH-50(※)」を実現。上階のライフスタイルに左右されることなく、かつてないほどの静けさを体感できます。
※LH-50:床の遮音性能を表わす数値です。上階の歩行音(重量床衝撃音)などに対する
〈鉄筋コンクリートスラブ厚270ミリ相当〉の遮音性能です。
TKS-55(東建高遮音床-55システム)を使用した建築中の賃貸物件
「シェルワイド」は、地震の振動を抑えたりメンテナンスの手間を省いたりできる制震建築金物です。「シェルワイド」を柱と梁の交点である仕口(しぐち)と呼ばれる部分に設置することで、地震時の木造建物の揺れを板バネの原理でしなやかに吸収。
家具の転倒や建物へのダメージを軽減します。また、仕口に取り付けるだけなので、施工が簡単でコストダウンも可能。シンプルな構造であり、耐久性のある金属製のため、メンテナンスの手間がかかりません。
「シェルワイド」は、東建コーポレーションが独自に開発した制震技術で「板バネの原理」を応用しているのが特徴です。
板バネは、大型トラックや鉄道に使われており、建物のゆがみを抑え、外壁への被害、建物の構造への負荷を軽減します。
コンパクトで場所を選ばない設計であるため、新築住宅やリフォーム工事など、幅広い木造住宅に対応できます。
早稲田大学で行われた実験では、層間変形(各階の水平方向における変形量の差)を最大45%減少する制震性能があることが証明されました。
制震建築金物「シェルワイド」は、優れた制震技術が、家族の笑顔と明るい未来を守ります。
シェルワイドの詳細「シェルワイド」 を設置した建築中の賃貸物件
上記でご紹介した特許の他に、建物は建築基準法に基づく「型式適合認定」を取得。鉄骨の「カチオン電着塗装」など、国土交通省の大臣認定を取得しています。
以上、東建コーポレーションが取得した「特許技術」についてご紹介いたしました。
今後も引き続き、制震や防音など、入居者様が安心して快適に暮らせるよう、様々な技術を開発し、賃貸マンション・アパートに積極的に取り入れてまいります。
地震が多い日本では、揺れを抑える建物により被害を最小限に抑えることが必須です。
しかし、耐震を優先するあまり、間取りに制限があったり、居室の内観を損ねたりするような部屋では、快適な暮らしは叶いません。弊社では、性能はもちろんのこと、部屋の景観にも影響が出ない技術を採用。同時にコストダウンも可能にしており、土地活用をお考えのオーナー様にとってもメリットの多い建築商品となっています。
優れた建物性能を持つ東建コーポレーションの賃貸住宅を、ぜひ土地活用に採用してみてはいかがでしょうか。
東建コーポレーションのグループ会社・ナスラックでは建物の鉄骨部材や内装・建具を生産する工場を5工場所有しています。
中でも、NK深谷工場(埼玉県)とシェルル神戸工場(兵庫県)は、今回ご紹介した耐震建築向けの鉄骨部材の生産を担っています。コンピューターシステムによって制御されたフルオートメーションラインやカチオン電着塗装設備など、最新鋭の生産設備を導入しており、低コストで高品質な製品の生産が可能。特許技術「高耐力フレーム」は、高耐震鉄骨造賃貸マンション・アパートの「シェルルシリーズ」にも採用され、耐震等級最高ランクの高い評価を受けております。