曲線美（キョクセンビ）

「曲線美」とは、滑らかなカーブを描く曲線の美しさのこと。総じて女性の肉体の美しさを表すときに使われることが多い。反対語・対称語は「直線美」（ちょくせんび）。絵画や彫刻などでは特に女性の体の曲線美を強調したものが多く親しまれており、例えば紀元前４世紀の彫刻家である「プラクシテレス」は、ギリシア神話を題材にした作品を得意としていた。プラクシテレスの代表作は、「クニドスのアフロディテ」や「ヘルメス」、「とかげを殺すアポロン」など。どの作品も優美で繊細であり、かつ肉体の持つ曲線美を遺憾無く表現しており、見る者を魅了し続けている。プラクシテレスが表現する神像は、「神」という人間離れしたイメージというよりは、非常に人間らしい曲線美が溢れている点に特徴があると言える。

「直線美」とは、住宅建築においては平行・垂直な直線群を主な構成要素とした現代的でシンプルな外観及びインテリアの設計様式を評価する美的基準を言う。建築様相ではコンクリートの外形によるシャープな直線構成をそのまま活かしたデザインを表現する。そして建材としては金属やガラス材を多用し、反射光でエッジの効いた直線的質感を強調する。使用される色調は多くはモノトーンがベース。イメージとしては無機的・都会的な要素も強く含んでいる。インテリアデザインのスタイルとしては、がっちり重厚なモダンスタイルと細線でより軽いシンプルモダンスタイルがある。洋風建築のみならず、和風建築においては古くから白銀比に基づいた直線構成の建築物が数多くあり、やはりモダンな雰囲気を有していた。その元々の文化的土壌から日本家屋とモダンスタイルとの新たな融合性が試みられて、現代和風スタイルもしくは和モダンスタイルとして広まってもいる。